先走る二人
先走る二人
来客として通された友愛の間、別にそこに何か特別なものがあるわけではない。
そこで待てと言われれば他にすることも無く、誰かが次の知らせを言いに来るのを待つしかない。
「あの方なのね」ラケイン
「ええ そうよ」
「神王様、お知らせは?」
「ロマンテとゴリアンには知らせないで」
「よろしいのですか?」
「あの二人は私の知識が欲しいか、それとも自分の下に私を組し抱くことしか考えていないわ」
「ようやく番になる日が来るなんて、なんて素敵な日でしょう、お姉さまの番になるという事は私も…」ラケイン
「それはあの方の許可が出てからの話です」
「それよりも早く知識をリンクしましょう」ラケイン
ラケインとラケイスは双子のような形だが、本体とコピーにはいくつかの違いがある。
ラケイスの知識と能力によって作られたキマイラ(人工生物)、ラケイスはいくつかの力をラケインに与えはしたが。
基本的にはラケイスが全権を握っているので、勝手に物事を進めることはできない。
ラケイスの命令があればラケインもそして巫女達もそれに付き従う、この神殿ではラケイスに逆らう事などできないようだ。
どうやらラケイスとラケインは他の神王を呼んで婚約の披露宴を行うつもりでいるらしい。
食堂ではすでに10人もの巫女が準備を進めている。
ラケイスの治めているこの国では肉類を食べることは禁止されており、料理にはほとんどが植物系の食材ばかり。
一応小麦のような植物は存在しており、地球と同じ食べ物を作れないことも無い。
地球から得た知識を使用すれば今までとは違う料理が沢山作れるだろう。
「このような調理法が…」ラケイン
「ええ後は任せるわ、あなたは他の神王にはまだ内緒ですから、今日は裏方だけどよろしくね」
「任せておいて、楽しみだわ」
パスタにピザ、うどんにそばなど地球の食材をまねて作成される新しいレシピ。
それらを40人前以上作成するのは至難の業だが。
一応全員が超能力の保持者であり、力をうまく使用すれば料理を作る時間が半分以下に短縮できる。
「それじゃ頼んだわ」ラケイン
「神王様、沐浴の儀式 準備が整いました」
「私もご一緒したいけど今は我慢ね」ラケイン
「ええ、必ずここが気にいってもらえるはずよ」
「神王様、早くいきましょう」巫女
神殿に着くや否やラケイスが考えたこと、それは婚姻前の沐浴儀式。
そして他の神王を呼んで行われるお披露目の宴会だった。
もちろんそれらは宗助に知らされているわけではなく、ラケイスが先走って推し進めているわけだが。
果たしてそれを宗助が受け入れるかどうかは別である。




