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日本アムテル

日本アムテル


気が付いた時には会社のオフィスにいた森山省碁、なぜか森山にはここまでの記憶が無かった。

この日、森山は商談に行く予定が入っていたことだけは覚えている。

そしてその相手はなかなか厄介な人物だという事も。

時計を見るとすでに約束の時間は大きく過ぎており、目の前には機密と書かれた契約書が置かれている。


「なんでここに?」

「プーン」

『緑山君はいるか?』

『はい少々お待ちください』三村涼子


緑山彰みどりやまあきら35歳、運転手兼ボディーガード、商談の時には必ず同行している。

ドアの外にいるのは秘書課の三村涼子みむらりょうこ29歳、たまに商談にも同行する才女。


「緑山です」

「どうぞ」

「入ります」

「バタン」

「ここに腰かけて、今日の事を全部話してくれたまえ」

(え?ずっと社長と一緒だったんだが…)

「2時にお食事、中華レストラン峰命ファンメイ

「誰との約束だった?」

ファン大人との会食です」

(そうだ奴との会食だった)

「その後は?」

「4時に工場視察、7時に帰宅しています」

「おかしいな」

「何がですか?」

「会食の後のこと、思い出せない…」

(この書類はCNとの合意書、いつの間に破棄された…)

「君は何ともないのか?」

「ええ、少し眠気が残っていますが、無事にここにいます」

「私は自分の足でここに戻ったのか?」

「ええそうですよ」

(おかしい誰かに操られたのか?だがそれだとこの書類は…)

「商談は?」

「確か藩大人は急用とかで工場視察の途中で帰られましたよ」

(いや工場視察ではなく小型発電機の受け渡しだったはずだ)

「そうか、下がっていいぞ」

「はい」


覚えているのはこの商談が白紙に戻ったという事。

どうやって白紙になったのかが分からない、だが機密書類には否の判が押されており。

自分でハンコを押したことは覚えていない。


「私がやったのか…」

(誰かが私を助けるために動いている…)


本来ならばいつの間にか契約されていた商品の受け渡しを本日行うはずだった。

だが何らかの理由でその話はご破算になったという事になる。

元々この話は最初からお断りしていたはずだったのだが、何故かOKしてしまった記憶がある。

どうしてそうなったのかが思い出せないが、誰かがこの商談に介入し商品の受け渡しは無事阻止されたという事。


「プルルル」

『私だ』

『そうかそれでいい』

(EUでの機材受け渡しも撤回されているとは…)

(もしかして…)


森山省碁は超能力者でもある、だがその力はそれほど強くはない。

軽い予知能力と危険感知能力、予知の方は夢で数日後が分かるぐらいで、それも断片的に見えるぐらい。

危険感知の方は、悪い予感がすると頭痛がひどくなるといった具合だ。

要するに頭痛がひどくなると商談もキャンセルすることがある。

藩兆穀との商談の日も頭痛がひどかったが、帰宅する頃には頭痛がしなくなっていた。

もちろん今は頭痛など全く無くなっているが、記憶があいまいな部分だけがもどかしい。


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