友人のパパを救おう
友人のパパを救おう
先日の胡桃ちゃん誘拐未遂事件、いや正式にはドッキリTVの収録お蔵入り事件だが。
その事件、森山パパを嵌めるために取った作戦だとしたのなら、既にその作戦はうまくいったという事なのだろう。
であるならば宗助としては森山胡桃経由で森山パパにも、リリーズの1体を護衛に着けるのは当然だ。
難しいことではない、現場を押さえてスキルロボで全員眠らせて記憶を改竄。
全ての計画を無かったことにしてしまえばよい。
宗助にはそれだけのことをできる能力があるのだから。
「なんだ!」
「どうした!」
「侵入者だ!」
倉庫の中には10人ほどの人間がいる、4人が銃を持ち周りを固めるが。
聴こえるのはお互いの吐息だけ。
そして自分たちの心臓の音がドクドクと聞こえてくる。
「バツン」
「うわっ誰だ!」
今まで点いていた明かりが急に消えると、緊張に耐えられなくなった護衛が銃の引き金を引く。
「パシュパシュ」
「馬鹿野郎うつな!」
「シュシュシュ…」
拳銃の音が耳鳴りのようにこだまする。
だが次の瞬間。
「ドン」
「バン」
「ドズン…」
護衛の4人がバタバタと倒れていく。
「なんだ、どうしたどうなってる!」
暗闇の中残っているのは二人の人物のみ、他の者は全てスキルロボで眠ってもらった。
拳銃を持っている奴だけは少々痛め付けたがそれは自業自得。
「おい」
「だ だれだ!」
「せこいまねしてるな」
「なんだ?」
「どこから聞こえる!」
「他にはいないようだな」
(超能力者は他にいないみたいだな…)
光学迷彩機能を使用して暗闇に紛れた宗助、CNのESP部隊でさえ誰が襲って来たのかわからず数秒で制圧された。
スキルロボの遠赤外線機能を使い倉庫内をサーチすれば拳銃を持った人間など特定するのはたやすい。
どうやらこの場には宗助の侵入を阻止できる能力者はいないようだ、いたのならすぐに宗助めがけて銃弾かもしくは超能力攻撃が飛んで来たはずなのだ。
もしかしたら入口の所にいたやつらの中にいたのかもしれないが、ここまでくればすでに仕事は終わったも同然。
「だれだお前は、こんなことしてただじゃ置かんぞ」
「じゃあ証拠隠滅のために死んでもらおうかな~」
「よ よせ そうだ金をやろういくらほしい?」
「金で懐柔するんだなるほどね」
「名誉かそれとも女か?」
「ブブー、欲しいのはお前の未来だ!」
(スキルロボ)
《聞こえるか?》
《なんだ?体が動かん》
《おい》
《あ、頭の中か…》
《これからお前は全ての悪巧みを放棄する、要するに普通にちゃんと真面目に友好的に仕事をする、分かったな》
《なんだって!》
《反論は無し、許してくれも無し、これは決定事項、それによってお前が職を辞することになっても仕方がないことだ》
《よせやめろ、殺される!》
《じゃあ死ねばいい》
《今まで何人殺してきた?》
《そんなことはしてない》
《26人か、割と少ないな あーそうでもないか巻き添えで死んだ家族がその数倍いそうだな》
(なぜわかる!)
《やめてくれ、頼む後生だ》
《これは決定事項、良かったなこれからは真面目に仕事ができるぞ》
《やめ…》
【記憶の消去および修正完了しました】
【了解】
【それじゃ胡桃パパの方も直しておこう】
【了解しました】
宗助が突入してからたった5分間の出来事だった。
外にいた護衛数人を無力化し、中にいた者まで全てをあっという間に制圧してしまった。
もちろんリリーズの参加も有ってのことだ、森山パパの護衛に付けたアーバン2とは別に今回はクリスタルとコバルトの2体をお供に連れてきた。
【8人はそのままでいいのね】クリスタル
【あとは胡桃ちゃんのパパとその部下よ】コバルト
【それじゃ運んじゃいましょ】アーバン2
外に停めてある車に森山パパと秘書、そして倉庫番の部下を乗せ他の全員も倉庫の外へと運び出す。
当然のことながら光学迷彩は使用したままなので、彼らは眠ったまま動いているという事になる。
目を覚ました時が見物だが、おそらく大して面白くもない映像となるだろう。
なにせ本人達はせいぜい居眠りしていただけという記憶しかないのだから。
但しなぜそこで眠っていたのかという記憶が残るので、その部分をしっかり別な記憶で上書きしておかなければならない。




