地下室は洋風
地下室は洋風
普通の地下室よりかなり深くそして広く作られているようだ。
エレベーターもあるが普段は階段で降りて行くのだそう。
秘密の通路的な仕掛けもあるのだそうで、蔵の扉を開けて中に進むと壁に掛けられた仕掛けを動かすことで地下への扉が開くようになっている。
それほど狭い階段ではないが、地面から7メートル以上地下へと階段を降りて行く。
そこから先は指の静脈認証式、登録してある人物以外は先へ入ることができない。
「どうぞ」
「ウイーン」
「プールにジャグジー、道場まで」
「弓道と射撃のできるブースもあるわよ」
どこかの体育館より設備的には優れていると思う、これが個人の家の地下にあるのだから驚きだ。
「さあやるわよ」
「僕も、ですか?」
「私はいつもここで訓練しているんだけど、相手が居なくて」
「もしかしてここで能力の訓練も?」
「できるわよ、各種の薬品を見分ける訓練室もあるわ」
機械化スキルでも成分の分析はできるが、すぐに毒薬を割り出すのには特化した能力の方が早い。
生身の持つ超能力の方が即判定できたりする分とっさの行動には向いていると言えよう。
「それで何を?」
「柔道・剣道・空手、武術なら何でもいいわ、少し相手してくれるかしら」
「えー」
断ると何を言われるのか分からない、それに先ほどのレクチャーでは実際の所どこまでロボスキルの防御能力が優れているのか判断しずらいと言われれば仕方がない。
「僕は武道の心得何もありませんからお手柔らかに」
【宗助様やるのですか?】
【仕方ないでしょ】
【それでは私が相手をしましょうか?】
AIに戦いを任せる、多分宗助がやるとまるで相手にならない、というより何の能力を使ったらいいかというサンプルにはならないだろう。
それならばAIリリーさんに俺の体を任せて対応してもらう方が良いのかもしれない。
「行くわよ」
「はい」
いい試合だった、いやこちらはカンニングしているようなものだ。
柔道と空手を合わせて使用しても本職とそれほど違わない動きをAIがやってくれるのだ。
しかも防御スキルを使用しているおかげで、間接技などが全て無効化されてしまう。
もちろんこちらからも関節技を使用するが。
「あなた、未経験何て嘘でしょ!」
「ネットで調べただけですよ」
(私と互角なんてありえないんだけど)
「それでどうでしたか?」
「痛みはあるけど確かに今までの感覚とは違うわ、特に関節を決めた時の感覚が」
「ここですか?」
「ええ、この関節が決まると誰でも降参するのだけど」
「こちらも同じスキルがありますからね」
「痛みは消えないのかしら」
「レベルを5まで上げてください」
「レベル5までアップ」
「うっそ」
(痛みがまるで無くなったわ)
「しかも体も軽くなった」
腕十字固めを極められて、本来ならばギブアップするところにスキルのレベルを1から5へと上げる。
レベル1では人の関節はそのままに皮膚に対する防御力だけを器械と同じにしているため、極め技を掛けられたときの関節への痛みは解除できない。
レベル5まで上げると重力に対する抵抗力が5倍になるため100kの重量を10k近くまで下げることができる。
そのため70kぐらいの体重である宗助の体を軽々と持ち上げることが可能となり。
極め技も簡単に外すことができるようになる。
「なにこれ、力持ちなんてものじゃないわ」
「調子に乗ってやるとここにある機材全て壊れますよ」
「あ! そうよね」
「ですから普段使用するのはレベル5までです、人前で披露するのも厳禁とします」
「それが条件という事ね、分かったわ」
「ようやく終わったわね、私からは二人に追加のお話があるから居間に戻りましょ」
そう、ここからが今起きている事件への対応の話だった。




