カレン隊の隊長格
カレン隊の隊長格
何とかイリアさんとの打ち合わせを終えて次の予定場所へと急ぐ、すでに午後5時を回り約束の時間まで1時間と少し。
取り敢えず電車に乗って世田谷方面へと足を運ぶ。
「ガタンゴトン」
『次は明代前~』
時間が時間なだけにやはり電車は少し混んでいた。
満員電車から降りて駅のホームを歩いて行くと後ろから羽交い絞めにされてトイレへと押し込まれた。
振りほどこうと思っていたのだが、どうやらその必要はなさそうだ。
「おい金出せ」
「人間違いですよ」
「いい時計してるじゃねーか」
「あげましょうか?」
「マジ」
「嘘です」
「てめー」
こういった輩に対抗するのも最近は少なくなったが、まさか本日手に入れた高額商品を狙われてカツアゲという行為に出遭うとは思っても見なかった。
だがそこに勇敢な女性が一人待ったをかける。
「ハーイ、そこまで!」
「なんだてめー」
「恐喝の現行犯で逮捕します、これ警察のバッジね」
「うそだろ」
「君もついてきて」
アクシデントはつきものだが、なぜかそういう事件に巻き込まれやすい。
ロボスキルによって尾行している人物が何をしようとしているのかぐらい事前に分かっていた。
ちなみに、彼女は宝石店の外ですでに待ち構えていた、デートの邪魔をしないようにイリアさんと別れるまで待っていたようだ。
「ではこちらで取り調べは行っておきます」警官A
「頼んだわね」
「えーと?」
「聞いているわよ、宗助君」
(ヤッパリ蓮華さんの部下か…)
乗り合わせた電車は予定していたという事であり、たまたまそこに恐喝犯がいただけ。
警視庁組織犯罪課、警視 織神誓通称デンゲキのチカ(元警部の時の通名仕事が早いという意味、パフュームドッグという呼称もあるがこちらは本人が認めていない)。
彼女はカレン隊所属であり何らかの超能力を所持している、犯人を鉄道警ら隊に引き渡し、駅からはタクシーを利用する。
別に歩いて行っても構わないのだが、彼女の足元を見るとかなりなハイヒールを履いているのがわかる。
どこかの会合に行った帰りで呼び出されついでに俺の後を尾行してきたらしい。
「バタン」
「〇〇邸までお願い」
「はい」
「別に触ったからって逮捕しないわよ」
「能力者ですよね」
「よくわかるわね 貴方、刑事にならない?」
(なんでわかったのかしら、おばさまから聞いてたってことかな)
「カレン隊のお話は聞いてます」
「なら話が早いわ、今人手不足なのよね」
「すみませんがまだ学生なので」
「そうだったわね」
超能力絡みの事件が増えて警察も未解決な事件が山積みになっているというニュースは聞いている。
普通の犯罪者だけじゃない、手の込んだ能力絡みの事件が増えているのだから有能な警察官が一人でも多く欲しいのは当然のことだ。
「バタン」
「これでお願い」
黒塗りのカードを運転手に渡すと次の一言が。
「領収書もらえるかしら」
公私はしっかりと分けて考えているらしい、まあ当然の事ではあるが。
なんとなくイリアさんに似ている雰囲気がある。
「おばさまの家には初めて?」
「3回ほどお邪魔しています」
「ふーん、そうすると今日はあそこが使えるかもしれないわね」
「何か問題でも?」
「いいえ、うーんイケメンね」
「ありがとうございます」
『二人とも入って』
二重扉の内扉へと進むと手前の扉がゆっくりと閉まっていく。
そちらの扉が閉まったことが確認されると今度は内扉が開いていく。
「行きましょ」
どうやら誓さんは何度もこの家に来ている様子。
蓮華さんの言葉を待たずに先へ先へと進んでいく。
「おばさま、誓が参りました」
「来たわね、宗助君もいらっしゃい」
本日蓮華さんはいつもとは違うやや年配の外見で現れた。




