モデルデビュ―?
モデルデビュ―?
この事件はTV局のドッキリ企画という形でニュースにもならずに終わった。
当然のことだが、警察が出動していたこともありTV局側は始末書を書かされたのだが。
カレン隊とNADLはCNの作戦だと考えている、今回の出来事を単なるミスとして考えているのは報道とTV局側のみ。
「どこがおかしいかは分からない訳ね」織神誓
「出された企画書はTV局側の判もあり、日時が遅かっただけという事でした」
「でもおかしいんです」シノ(山波忍)
「どこが?」
「カメラには黙って座っている胡桃ちゃんの映像しかないんです」
「それはどういうこと?」
「本当にドッキリならば、対象者が驚く場面が必要ですよね」
「そうね」
「ちょっと調べてみた方が良さそうね」
この件はもちろん徳川蓮華から宗助へと打診があった。
胡桃には宗助からも護衛としてリリーズを一体尾行させていた。
だがあの場所で行われていたことが分かったとしても、TVカメラの向こう側で何が行われているのかまでは推測できなかった。
『宗助君?』
『蓮華さん、こんな時間にどうかしましたか?』
『手伝ってもらえないかしら』
『えーとまた隊員の強化作業ですか?』
『違うわ、昨日の連れ去り事件よ』
『連れ去り?』
『詳しいことは電話じゃ話せないわ、明日時間とれるかしら』
『ちょっと待ってください』
『夜ではだめですか?』
『夜ね、午後6時からでどう?』
『分かりましたそれまでに用事を済ませます』
『ごめんなさいね、忙しいのに』
『大丈夫です』
この日は一応大学で講義を受けることになっていた、午前中に受ける講義は2時間。
昼食をはさみ午後の講義を受ける予定、その後は松田伊里愛さんからの仕事を受けるかどうかの話合いをする。
講義は3時に終わり大学を出てイリアさんの指定したカフェまでは電車で5分。
徒歩の時間も入れると20分もあれば着く。
場所はイリアさんの務める化粧品会社のオフィスからすぐの場所らしい。
今の所イリアさんにはスパイなどが近づいておらずリリーズを使っての尾行は行っていない。
次の日…
【宗ちゃん午後の予定終わった?】
【あと一つ講義が残っているけど、その後はイリアさんとのお話がある】
【ああモデルの話?】
【あまり顔出ししたくないんだけどね】
【AI処理してしまえば大丈夫じゃない?】
【その手も考えたけど、あまり露骨にやるのもなー】
百合奈は一度出演依頼を断っている、そちらの仕事が忙しくなって学業がおろそかになるのを嫌ってのことだ。
胡桃ちゃんのように若い時から仕事をしていれば二足の草鞋も難しくないのだが。
なにせロボ化されている状態でアクシデントが起こると普通の暮らしを送るのが難しくなってしまう。
芸能界というのは一旦デビューすると断るのも難しいと聞いたことがある、事務所に所属している友人達から聞いた話。
彼らがデビューするにも数千万と言うお金がかかっているのだから、OKしてからすぐに辞めますは絶対通らない。
【それから蓮華さんからも話があるみたいだ】
【スパイの話ね】
【さすがよくわかったね】
【わかるわよ】
前に一度話したことがある、NADL主催のパーティでの出来事は記憶に残っているだろう。
仲間に引き込む際強烈な超能力を浴びせかけられた。
その後の話の中で何度か徳川蓮華さんの事を話したことがある、惑星RIZへ連れて行ったことも。
現代の九ノ一を統括する人物であり、メアリーさんの師匠的な人物。
そんな人から頼まれごとがあるとなれば、断ることなどできないと言って良い。
【じゃあ先に帰っているね】
【うん】
ちなみに百合ちゃんといつも一緒に帰っているわけではない、カップルであると公言しているわけでもないのだが。
一緒にいる機会が多ければ周りからそういう目で見られても仕方がないだろう。




