実食
実食
結果から言わせてもらうとかなり気に入ってくれたようだ。
バジルの風味が惑星YAKに自生している植物に似ているらしい。
たぶん材料さえそろえばあっちでも同じような食べ物を作れると思われる。
《うん おいしいわ、これなら私の星でもつくれそう、でも冷凍保存するのはかなり難しいわね》
《冷蔵という発想は無いの?》
《一年中温暖な気候です、北と南は氷に閉ざされていますがわざわざ凍らせる必要がないからです》
確かに一年中温暖な気候で植物が年中育つのならば保存する必要はあまりなくなる。
それに超能力を使用すれば冷やして保存することも可能らしいので。
器械的な装置を使用して冷凍保存することはしないという事らしい。
《食感も素晴らしいわ》
《お口に合って良かったわ》
パスタとは別にサラダも用意したが、そちらは殆ど惑星YAKで食べるものと変わらないらしい。
但しドレッシングは地球ほど多くは無いのでほとんどが塩と植物油にわずかなビネガーを混ぜて使うのが主流だという。
食事がすんでからは少し体を休めることにした。
つい1時間前にはUSAにいたのだ、時間の感覚がマヒしてしまっている。
スキルロボのおかげかすぐに現在時間がわかるので、時差酔いという状況にはならなくて済むが。
世界をまたにかけて仕事をしている商社マンはどうしているのだろう。
飛行機の移動はかなりハードだと聞いたことがある、そのうち瞬間移動装置を利用してあっという間に商談を終わらせることができるようになるのだろうか?
まあ現在は遠く離れていてもリモートで会議も可能だから、現地へ出向くのはあまり発達していない田舎での仕事になるのだろう。
いずれ他の惑星へ仕事をしに行く未来が訪れることだろう。
それまでに戦争などと言う物が無くなっている世界を作れるようにしておかなければならない。
《ソウスケは学生で、まだ勉強が必要なのね》
《日本では年齢によって知識を測るんだ、まあ例外はあるけどね》
《能力は才能には加算されないのね》
《今の所はね、でもそのうち所持している能力で職種が決まったりする時代が来るかもね》
《この白いドレスが番になるための儀式なのねなるほど…》
いつの間にかWEB検索で地球式の結婚情報などを手に入れているラケイス。
出来ればそこは見てほしくない情報だったのだが、いまさら見せないようにすると変に勘繰られてしまう。
【洗濯物干してくるわね】
【俺も手伝うよ】
女ばかり5人もいると1回の洗濯では終わらない、どうやら母は午前と午後に分けて2回干すことにしたようだ。
一応乾燥機もあるのだが、女性物はあまり乾燥機に掛けるとすぐに生地が傷んでしまうので。
母はできるだけ天日で乾燥させることにしているようだ。
屋上の物干し台スペースはガラス張りになっていて雨の日でも干すことが可能にしてある。
しかもスイッチ一つで外からは見えないようになるので女物の下着を隠すことが出来たりする。
【あの人いつまで居候する予定?】
【一ケ月以内かな、できれば惑星YAKに行くときついでに返却した方が良いでしょう】
【返却ね…母としては複雑だけど別に宗ちゃんのお嫁さんが何人いても構わないわよ】
【いや、それはちょっと】
【だって皆きれいな子達ばかりじゃない、子供が沢山出来ても楽しそうだし】
まだ19歳というのにそれは早すぎる、惑星YAKでは15になると神殿においてお見合いみたいな儀式があるのだとデータには記されていた。
そこから恋愛が始まるかどうかは本人たち次第ではあるが、日本はいつからこんなに行き遅れが増えてしまったのだろうか。
それこそが出生率が増えない理由だとおもうのだが、取り敢えず自分ではあまり考えないようにしている。
本来ソウスケは百合ちゃんと暮らすことができればそれだけで万々歳だったりする。
それじゃ他の女子達がかわいそう、確かにそう思われても仕方ないのだが。
救世主の恋愛事情など一般人からすれば知ったことではないだろうし、宇宙開発が進めばそういった物事も改革されていくのだろうし。




