約2時間
約2時間
車での移動は30分程度、ホワイトハウスに戻ると大統領の執務室へと移動し、そこで今後の話を続ける。
「あー警備は増やさなくていいわ、後は明日までフリーにしてくれる」
「イェスマム」
映画でも見たことがある大統領の執務室へ俺とラケイスは通された。
ここに来るのは3回目なのでそれほど緊張はしないが、事務次官とSPが数人ドアの向こうで待機している。
《Mr宗助の話だと、猶予は半年でその間にまたあなたが裏工作をしに行くということで良いのね》
《ええ、半年経っても和解できなければ皆さんに協力してもらうかもしれません》
《むしろそっちの方が望ましいのですけどね》
《…》
《ジャクリーンも能力者なのね》ラケイス
《ばれちゃったわね》
《ラケイス神王は100以上の能力持ちらしいですから、一応危険な能力は封印させてもらっています》
《そうなの?》
《私はソウスケに従います、そう決めました》
勝手に婚約して宗助の下に着く、成り行き上ではあるが別にラケイスを鹵獲しようとしたわけではない。
流れに沿った行いが良いのか悪いのか、ラケイスを結果的に鹵獲できたのは偶然の産物に近い。
惑星YAKの親王を一人、篭絡してしまったというのだから。
USAの大統領から見ると、ありえないと言われても仕方がない。
《では当分日本にいるということですね》
《ええ宗助のそばにいます》
《あなたもそれでいいの?》
《彼女を一人でこちらに置いて置くのは難しいと思います、僕から離れた場合彼女の能力はフリーになりますから》
大統領としては一つの国の王が秘密裏に国賓として滞在する、それ自体それほど難しいことではないが。
持っている能力がスキルコピーだというのなら話は別だ、その手で触れた物はどんなものでも解析してしまうということになり。
ソウスケがガードしていなければUSAの国家秘密まで知られてしまう恐れがあるという事。
《分かったわ、何かあったら知らせてくれるということね》
《ええ、それより惑星RIZへの団体旅行はいつごろになりますか?》
《来月を予定しているわ、まだエネルギープランに改良が必要だけどジャパンの技術を導入すれば解決しそうだから》
《分かりました、決まったら教えてくださいサポートします》
《そうするわ》
《そういえば他のSVRに知らせなくて良かったのでしょうか?》
《今回は特別よ、何人かは私に任せると言ってくれているわ》
(あの人たち全員集めるのは面倒なのよね、それなりに有名人だし)
本来ならもう少し余裕をもって渡米したかったが、ジャクリーンは来年の選挙もあってか暇が殆ど無くなったらしい。
《了解しました》
《今日、帰りはどうするの?》
《迎賓館横の小ホールを使います》
《分かったわ、準備させておくわね》
『ハイ ジム、迎賓館前の小ホールを片付けてもらえる?』
『イェスマム』
「ガチャ」
「それじゃよろしくお願いねMrソウスケ、そしてミスラケイス」
大統領と握手を交わし迎賓館へと向かう、すでに小ホールの準備は済んでおり。
スポットライトがいくつか中央を照らしている。
「シーユーグッバイ」
「シュン」
「ワオ!」
何度見ても驚きを隠せないだろう、目の前から人間が2人瞬時に消えてしまうのだ。
「まったく、彼の事をどうしたらいいのか分からなくなるわね」
「初めて見ました、彼が消えるのを」ジミーオーウェン秘書官
「消えたのではないわ、あれが瞬間移動の超能力よ」
「明日は選挙演説でジョージアね」
「イェス」
(他の国の代表とも話をしなければいけなくなったわね、でも神王の事はまだ早いかしら)
(彼に全てをゆだねるのも限界だわ、そろそろ他の方法を考えないといけないわね)
出来ればUSA主導で全ての事を進めたい、そう考えているだろう。
まあそこはソウスケも分かっている、だから最初にUSAの大統領とラケイスを接触させたのだ。
今の所、対惑星戦略としては宗助が先に動いているので、彼らが途中から何をしても後手に回ってしまうことになる。
一人の学生に未来を世界の行く末を任せてしまって良い物だろうか、そういった議論が出て当たり前なのだ。
その結果、超能力を持つ人達がその存在を縛られてしまうのは、USAの大統領としてもできるだけ避けたいところだろう。
USAの大統領もSVR(超能力者)であるからこそ、宗助の事を理解して任せてくれているのだから。




