買い物楽しや
買い物楽しや
惑星YAKの服装は質素であり、布を巻くだけの簡単なものだ。
下着などという物は無く、地球で言うところのふんどしやさらしとほぼ変わらない。
超能力による身体能力改善や身体能力強化といったことが可能な種族が多い、60(240)歳ぐらいまでは無病息災で生活を送れるが。
そんな種族にも各種の成人病が無いわけではない。
ラケイスのように対象機能取得能力などという能力が無ければ周りのヤコブ人と同じようになっていただろう。
《これなんかどう?》
《おー 綺麗》
女子5人の中に男が一人という場合やることはほぼ決まっている、荷物を持つか相槌を打つかのどちらかだ。
(ソウスケの考えはなんで読めないのだろう、そういう能力なのか)ラケイス
目の前に並ぶカラフルな布を手にとっては自分に合わせる、まるで神殿にいた時の侍従や使徒達を思わせる。
だがここは地球という星であり、彼女たちの他にも大勢の人族が行きかう場所。
(この者たちの考えは読めないのに、他の者の考えは読めるのか…)
《アーもう小汚い手で触りやがって、買うならとっとと選べや》
《でか 外人でかいな、なんだあの胸、何食ったらあんなにでかくなるんだ》
《わーあそこだけ別世界やー》
《あれってもしかしてタレントの…》
日本人の思考を読み取っては見たのだが、惑星YAKバージョンの変換アプリを通さないとちゃんとした意味までは分からない。
だが彼女、そういう能力に長けていた。
(早く出て行けとでも言いたそうだわ)
(そうかこの体が特別に映るのですね、確かにここの民族は私よりはるかに小さいわ)
(これが皆〈ヤコブ人〉の見ている世界か、だから皆私を見下しているのですね)
ヤコブ人の中でも背の低いラケイス、昔は少しコンプレックスがあったが。
今は超能力も増えたことでさほど気にはならなくなった。
だが逆の立場になると他のヤコブ人の考えが少しわかる、心を読めるということがどれだけ助けになっているか。
《これは似合うか?》
《?俺に聞いてる》
《異性はソウスケだけ、この子らは似合うと言うけど…》
《うん似合っているよ》
《あは♡》
【なんだ?】
【あーあ罪作りだ~】エミリア
【俺なんかしたか?】
【してない訳ではないわよ、でも仕方がないのも分かる】アイリーン
【そうちゃん、私は信じているからね】百合奈
【うふふ】母
そうやって約2時間、ラケイスの洋服だけではなくみんなの服を最低3着ずつ買いまくる。
両手にはいくつもの袋がぶら下がり、行き交う人が振り返る。
多分俺のことを彼女らのマネージャーか何かだと勘違いするのではないだろうか。
(は~なんて日だ)
そしてお昼を過ぎてどこにいるかというと、駅ビルの中にあるレストラン街。
【和食でいい?】アイリーン
【ウン】エミリア
【そうしよう】百合奈
【そうね】母
《店というの たくさん人がいる、全部食事をしに来ているのか?》
《そうだよ、待っている人が多い店ほどおいしいという口コミだね》
《なかなか良い香り》
《こっちよ》
駅ビルにあるテナントは10店舗以上もあり、和洋中華アジアンと何でもそろっている。
別にどこに入っても料理はおいしい物ばかりなのだが、取り敢えずここは日本ということで、和食のお店へと6人は入っていく。
《この店は待たなくても入れた、おいしくないのか?》
《そういうことじゃないわ、予約を入れておいたのよ》母
《予約?》
《予約を入れるとその場で待たずに入れる場合があるんだよ》
《なるほど》
「6名様ですね」
「はい」
昼飯時ということで、本来ならば満員のはずだが。
人数配分なのか6席まとめての予約がちょうど空いていた、うまい具合にそこに予約で入り込んだというわけだ。
他の客はほとんどが2名様だということもありわずかに早く席に着くことができたようだ。
「こちらがメニューになります」
「好きなものを頼んで」
《私は…》
《肉は食べられる?》
《いいえ、動物は食べない》
《じゃあ天ぷらとそば御膳だね》
野菜の天ぷらと蕎麦のセットだが一応天ぷらの中にエビが入っているのでそこは説明しておいた。
動物を食べないと言っても、すべての動物を食べないというベジタリアンから。
一部の動物を食べない菜食主義まで、地球人の生き方も今は様々な食生活がある。
惑星YAKでもそこいら辺はいくつかに分かれているらしい。




