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ラケイスの神殿

ラケイスの神殿


ここは惑星YAKにある都市のひとつ、特産品は農作物や薬草など。

知識の町ともいわれるこの町に住むヤコブ族はテレパシーや記憶能力など。

頭脳労働者が多く住んでいる町だった、そして彼らは地球で言うところのベジタリアン。

別に動物を食べないというわけではなく、食肉として竜種の肉を摂取することを嫌っている。

それはラケイスの元にもメディロン達の仲間がいるのが理由だった。


「ラケイス様は?」

「何か?」

「ラケイス様、今期の収穫を収めに参りました」

「ありがとう、いつものように第4倉庫にお願いね」

「かしこまりました」


留守を預かるラケイスの生体コピー(ラケイン)、姿かたちはもちろんのこと考え方もまるで同じ。

但し持っている超能力は本物の約4分の一。

ラケイスが手に入れたコピー能力をこの分体もいくつか使用できるが、コピーとしてこの世に生み出されてから得た能力の為、持っている超能力は本体より少ないという。

まるで双子のような分体は双子の姉妹よりも本人に近い形らしい。

一緒にいるときは常に情報を交換するため、片方が寝ていたとしても瞬時に情報を共有できる。

だがラケイスは分体を1体までに限定したようだ。

実はこの分体には人の血肉ではなく竜族の血肉を使用している。

科学力は地球より進んではいるが、意志のある生命体を生み出すには通常の受精出産以外となるとそこには大きな壁が立ちはだかった。

生命、生きている物体を何もないところから作るには限界がある。

器となる骨格そして筋肉や地肌など、それらをコピーできても魂まではなかなかコピーできなかった。

だから自分の魂を一度メディロンが持つ意志共有細胞へと移し、自分とコピー体との橋渡し役を担ってもらうことにしたのだ。

宗助のロボ化と違うのはほぼ完ぺきに人間と同等の肉体をコピーしたことだ。

しかもコピーした生体には再生能力があり、腕や足を切り離しても数分で再生してしまう。

但し脳にあたる部分を破壊されれば生きてはいけない所は普通の人間と同じ。

彼女も自分が作られた存在だと知っているが、本体と全く同じ考えだと言うことも分かっている。

ここまでくると本当にどちらが本物かという区別がつかなくなってくる。

仕えて居る侍従達でさえ分からないのだから。


「ラケイス様!ヒュプロス様が!」

「なんなの?」

「ようラケイス、今日も来てやったぞ」


12神王の一人ヒュプロス神王、もちろん男神でありいくつかの超能力を持っている。


「この間の話、返事はまだか?」

「何の話かしら」

「わしの嫁になるという話だ」

「知らないわ」

「おいおい、今度来るときまでに答えを出すと言っていただろう」

「そのことなんだけど、私あなたとはつがいになれません」

「なんだと!わしの5番目の伴侶になるのがそんなに嫌なのか?」

「何度もお断りしていますわよね」

「いやよいやよも好きのうちだと、バルカスも言ってたが違うのか!」

「私、野蛮な人は嫌いですわ」

「わしのどこが野蛮だ!」

(こいつ、そういうところが野蛮だと分からないのかしら、あの子が居たら大変なところだわ)


いつもはラケイス本人がのらりくらり交わしていたのだが、ラケインはそこまで彼らの行いを躱わそうとは思わなかった。


「私の能力を知ってる?」

「知の神ラケイス、記憶力と戦術に優れ相手の話は全て覚えていると聞いたが」

「それは表向きの情報ね、私が今何歳かは知っているのよね」

「40(160)歳だったか?」

「50(200)歳よ」

「わしより年上だな」

「そうよ、あなたまだ41(164)歳だったわよね」

「それが?」

「知っているわよね、女は30(120)歳までじゃないと子を作れないって、神王会議で決めたはずよね」

「それが何か?」

「あなたの下に付くなんてまっぴらごめんだわ、それに私の体に傷がつくのも嫌だし」

「わしがそんな乱暴なことをする…いや しないと約束しよう」

「それを信じろと」

(約束など後でどうにでもなる)

「約束など後でどうにでもなる」

「な 心を読んだのか!」

「そうよ あなたの考えなど読めない訳ないでしょ」

「ぐぬぬ」

「それとあなたの愚息はもう用をなさないのではなくって」

(なぜそのことを)

「私の従者から噂で聞いてます」

(ラケイスにはそれを治す力があると聞いておったのに)

「もう20人以上子をなしたのにまだ足りないと」

「そ それはだな」

「ラケイス様!」

「今度は何?」

「ジェイロン様が…」

「おーいたいた、庭で待っていたがなにやら声がしたのでな」


ジェイロン神王、12神王の一人でありラケイスには薬を調合してもらっている神王の一人。

彼はモテモテの神王であり、外見も体も他の神王がうらやむほどの肉体と風貌をしている。

但しそれは惑星YAK内だけの話だ。


「邪魔ものが来たな」

「俺は薬をもらいに来ただけだぞ」

「部分強化のくすりか?」

「それすらも効かない体にはなりたくないものだな」

「くそう俺より年上なのに何でだ」

「そういう超能力だからな」


ジェイロンの歳は88(352)を超える、なのに外見は30(120)代にしか見えない。

実はラケイスは彼から能力をコピーした、それは今から20(80)年前。

先代の神王マリーシャから親族の一人から次世代の神王として取り立てられたラケイス。

外見はその当時も美しかったが、頭の良いラケイスを神王の次の位、知神として取り立てたため。

マリーシャの片腕としてその力を奮ってきた、その時からジェイロンもラケイスを口説いていたのだが。


「それにラケイスは若い男が好きだぞ」

「え!」

「決まっているだろ、俺も20(80)年前に口説いたが、きっぱり断られた」

「まさか俺と同じ能力持ちだとは思わなかったがな」

「え!」

(だから歳をとっても変わらぬのか?)

「それ以上私のことを話すと薬は出しませんよ」


先代の神王マリーシャは特に医療に優れ、その能力も治癒能力や心意操作といった治癒と頭脳系能力のスペシャリティだった。

表向きは死んだことになっているが、現在は後任のラケイスに全て任せこの星のどこかで隠居生活をしている。


「ん それは困る」

(今日は3人と約束があるからな)

「あまり薬に頼るとバルカス様みたいになりますわよ」

「ははは」


ちなみにラケイスは今まで一度も結婚はしておらず子供も作っていない。

単純に言わせてもらえば超奥手なのだ、そしてこの地位が彼女の足枷にもなっている。

コピー体であるラケインも同様、目の前の男共をどうやって遠ざけることができるのか、そんなことばかりを考えている。

ラケイスからもらった超能力で目の前の男の考えが全て分かってしまう。

(いやらしいやつら、もっとピュアな考えを持つ者はいないのかしら)

もちろんそんな男、探せばいないことも無いが、神王としてはまさか下々の者から相手を募るわけにもいかない。


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