全世界の損害
全世界の損害
先に起こった宇宙人襲来によって受けた損害額は、東京とNYが大きく次いでUKとCNと言う順番だった。
各国、損害額の算定方法が違うのでおおよその金額と被害範囲を現したデータがモニターに映し出される。
数値はさらに人的被害の人数が表示されると以外にも日本が一番少ない数字だった。
《惑星間転移装置で得られる利益の半分は宇宙人によって被害を受けた町と人に優先的に支払うため基金を設けました、こちらはUSAと日本、そしてUKに本部を置いて対応します》
《国単位でまとめて申請していただいても構いません》
《では次に新たに加わった脅威として認定された惑星YAKについてUSAのジャクリーン大統領から発表があります》
午前中は出席していなかったが午後3時を過ぎてこの会議に参加するUSAの大統領。
あらかじめ大統領にはヤコブ人が何で攻撃してきたのか話してはあるが、ラケイス神王のことはまだ話してはいない。
それを話すにはまだ少し早い気がする、あまりにも色々なことが起こりすぎる。
まあ数日後には連絡しようとは思うのだが、大統領も今は忙しい時であり、あまり横から問題を振りかけるのも気が引ける。
できればすぐにでも家に帰ってラケイス神王から惑星YAKの内情を詳しく教えてもらいたい。
味方にできそうな神王の人数や、それぞれが持つであろう神王たる由縁の超能力。
多分彼女は神王達からも能力をコピーしているはずだ、そうでなければこれほど自由な人物が無事に神王として生きているわけがない。
他人の能力をコピーできる、それは相手の能力が全て彼女に筒抜けになるという事。
神王が持つ能力が自分にとって脅威であれば、その脅威自体を盗んでしまえばよい。
そうすれば自分の身は安全になる、何人かの神王は自らの力を彼女に知られたうえで脅威ではないと判断している可能性もある。
《ではどうぞ》
《私の呼びかけに集まってくれたことを感謝する、先日の宇宙人による侵攻は我々には思ってもいないことだった》
《新たな宇宙人の脅威は我々に覚悟を決める段階を早めたと言って良いだろう》
《ゆえに国際宇宙開発開拓連合は全世界に対して共に戦う意志を持つ者を受け入れる準備を始める》
《敵の持つ脅威を無力化するには各国の協力が必要だ、参加する国には惑星間転移装置の設置を優先的に行う用意があります》
「ザワザワ」
あらかじめ何を語るのかは相談を受けているのだが、細かいところまではUSA側でも秘密にしてあったようだ。
今回USA側は惑星間転送装置とは別にボーンエッグ(人工子宮)の開発に取り組むとも言っていた。
現段階でそれを作成するにはいくつかのハードルがあるのだが、一応惑星RIZに行けばボーンエッグを作成する材料は手に入る。
USAとしてはそちらの研究も加速させたいところだろう、USA大統領の発言の裏にはそちらの開発も合わせた協力関係を進める意図がありそうだ。
《USAは協力者を募っている、ともに戦おう》
「わー」
魅了系の超能力を持つUSAの現大統領、演説に合わせて放つ能力で参加者の半分以上が参加表明する事は分かっている。
別に超能力の使用を非難はしない、問題事の解決を早く進めるためには必要だろう。
その方がうまくいくという結論まで出ていたりするのだから、USAの大統領に反対する必要もないだろう。
まあ、シオンさんがなんていうかは分からないが、細かな修正は今後必要になるかもしれない。
そういえばあの日、シオン会の仕事があったのだが、宇宙人襲来で流れてしまった。
と言うことでUSAでの仕事が済めばすぐに、シオン会から再面接の予定の電話が来るはずだ。




