岩田さん、お疲れっ!
岩田さん、お疲れっ!
約1時間の答弁、まるで宗助が語ったようにすらすらと受け答えられたのは。
目の前のモニターにリリーさんが答弁内容を瞬時に作成して表示させたからだ。
岩田さんはこの文章を宗助が作っていると思うだろう、まあ作れなくはないが実際にアプリを作ったのはリリーさんなのだから宗助が答弁書を作成するより製作者に作ってもらった方が確実だ。
《それではアプリの件はここで打ち切ります、Mrイワタまことにありがとうございました》
「パチパチパチ…」
中央の白いテーブルの前で何度かお辞儀をするイワタ二等陸佐、あれから二階級も昇進して現在は宇宙防衛隊の隊長を任されている。
そのうち宇宙防衛庁にランクアップするという話も出ており、そうなれば初代宇宙防衛庁の長官になるのだという。
「宗助君!本当にこれでよかったのか?」
「ばっちりでしたよ、答弁もばっちりです」
「ほんとうです、さすがですね先輩」三田二等陸尉
「心臓に悪いんだよ、私は早死にしたくないのだが…」
【宗助様岩田様にもロボ化いたしますか?】
【そういう場面が来たらね】
今すぐ死ぬとは思えないが、できればそんな簡単に死んでほしくはない。
日本からは俺と岩田さんそして前にも同行したことがある三田さんの3人がこの場に参席している。
外務次官は会議ではなく別な用事で今日は大統領に接見しているという。
「もうすぐお昼ですね」
真新しい会議場、隣にはショッピングモールがあり。
そこにはいくつものテナントが出店している、ここにはNASAの宇宙開発局があり20k先には発射実験場が見える。
「午後の議題は転送装置か、そっちの話はMS工科大の博士がやってくれるから楽だが、できればこういう場所に出る任務は少なくしてほしいよ」
「あら先輩、2階級特進はこういう仕事ありきでしょう」
「そうだった…」
給与倍増、その代わり激務が付きまとう。
北は北海道から南は沖縄まで惑星間転移装置の件で行ったり来たり、緊急時の物資輸送を円滑に行うためと称して。
四国と九州の次に転送装置を設置すると決まった、自衛官いや自衛隊の管轄の中に新たに加わった国家事業。
宇宙へも行ける輸送方法が軍事目的に利用できるならば、日本において自衛隊が管轄するという決定が下された。
利用許諾については2系統の統括を防衛庁が行う、民生用と軍事用(宇宙用)と言う住み分けだが。
現段階では自衛隊が全てを統括する。
「食事しに行きましょう」
「そうね」三田
議事堂からは歩いても行けるが、モールへの巡回バスがおおよそ7分置きに出ている。
今回の議会に参加している列席者は300人を超える、そしてUSDの議会で働く人は千人規模になる。
小さなレストランではこの人数の腹を満たすことなどできない、だからそういう場所を宇宙開発開拓連合の本部に選んだらしい。




