国防
国防
そこには日本の有名人、普通の人は知らないが。
日本の防衛を考える会と称してその世界では有名な人物が一堂に集まっていた。
ここは有事の際に日本の首脳が集まり会議をする場所。
別に国会議員だけが日本を考えているわけではない、日本を守るのは命令だけする人ではなくそれを実行できる人であり、実力と共に行動できる人である。
「それでは2053年度国防会議を行います」
この場所に集まっているのは総理大臣と各方面の陸海空を守る幕僚長クラス。
そして政財界からは松田シオン(松田財閥)、富士田卓(藤田財閥)、徳川蓮華。
そしてNADL(日本能力啓発研究所)の所長である赤川恭介と自衛隊の新しい組織である宇宙防衛隊の責任者(岩田幸三)
そこに防衛大臣と国家公安委員会から吉住兼好、他数名(秘書官)ら国を守る実質的な人物達が集合していた。
「最近の事件で気になった物は?」
「多重事故に見せかけた粛清事件がありますね」
「ああ千代田区の?」
「車の暴走事件で片付けられていますが、CNのESP部隊が裏で暗躍しているようです」
「ESP部隊か、私も聞いたときは耳を疑ったがね」相川総理大臣
「この時、対応したのは呂方宗助と木下百合奈さんという東教大の学生です」秘書官
「あの子達やるわね」
「ご存じなのですか?」
「呂方宗助君は宇宙戦艦を追い返したヒーローですわよ」シオン
「ああ、あの子かなるほど」総理
「人的被害は無かったという話でしたわよね」シオン
「はい、幸いにも全員軽症で済んだということです」秘書官
「他にもCNのスパイが起こした事件が数件発生しています」
「モニターをご覧ください、この映像は10日前に起こった事件」
何者かが研究所に忍び込んで機密書類を盗んでいくという事件だが。
その手口があまりにも鮮やかなため、盗まれたのが発覚したのは10日も経ってからだった。
「カギは施錠されたまま、屋根裏の小窓から侵入」
「屋根裏?」
「中からも外からも開けた形跡は無し」
「ではなんでそこが侵入経路だと?」
「真新しい手の跡がいくつかついていました」
「ハシゴも重機も使用せず10メートルの高さをよじ登りカギがかかったままの小窓を開けて侵入、痕跡は手の跡だけ」
「なんでESP(超能力)だと断定できる?」防衛大臣
「地面には足跡がありましたが、そこから壁伝いに登ればどこかに手の跡が付くはずです」
「手の跡は窓の部分のみだったと?」
「その通り」
「空中浮遊の能力ですわね」シオン
「後は念動力でカギは外せますね」岩田
「調査をしたところ人が屋根の上で浮いていたという近隣住人の話もあります」
「それで盗まれたのは?」
「双方向伝導体技術です、なんでも光ファイバーの100倍の速さで通信が可能になるとか」
「他にも数件の事件が起こっています」
「全部盗まれたのは企業の機密情報の様ですね」
超能力が悪いことに使用されれば国家機密どころか、犯罪を取り締まること自体難しくなる。
必要なのはFSP犯罪を取り締まる組織の早急な確立だ。
そして現在ESPの組織を私的に設立し行動しているのがシオン会とカレン隊、そしてNADLの研究所というわけだが。
そこに自衛隊と国家公安委員会が協力して国際犯罪に歯止めをかけようという話になった。
「シオン会は悪いけど独立して動くわよ、だってそうでしょ私の組織は夫である松田竜太郎をサポートするためにあるのだもの」
「勝手な…」
「まあまあ、カレン隊の方は?」
「私の所は既に国防とリンクするよう進めております」
「我々はこれからです」赤川恭介(NADL)の所長
「では蓮華殿のカレン隊に任せてもよろしいか?」
「ではNADLはカレン隊のサポートをします」
「シオン会は情報共有迄ね、後はお金次第かな…」
「な…」
「うちの子達を危険にさらすのだもの、国家予算からいくら出すのかぐらい最初に提示して欲しいものだわ」
情報一つで人殺しを請け負うやつ、超能力が無かったとしても、そのぐらいの犯罪予備軍は金次第でいくらでもいる。
そういうブラックな仕事が超能力さえあればもっと簡単に楽にこなせる。
そんな奴らと戦うのだから普通の給料で請け負うやつなどいやしない。
「今は内閣機密費で考えている、予算が付くのは対ESPの仕事がいかに重要か分かってからになる」総理大臣
「最低導入人数×100万(月極)は必要よ、もちろん経費は別途ね」シオン
さすが詩音未来を見通す超能力者、だがそれも前持って全体の方向性を定めてやればもっと楽に思ったように進めることができる。
シオン会は松田財閥に特化してはいるが、日本の利益は松田財閥の利益でもある。
協力しない訳ではなく国の仕組みに縛られないと言いたいのだろう。
ちなみに大臣クラスは殆どシオン会の会員だったりするが、この場では内緒だったりする。




