父も帰宅
父も帰宅
「只今~」
「お帰りなさーい」
「お~今日は来客が来ているみたいだな」
母は席を立ち玄関へと向かう、父が背負っているデイバックを受け取り背広を反対の手に掛けてクローゼットへ。
父はそのままリビングへと入ってきた。
「お帰り父さん」
「パパお帰り」
「お お邪魔してます」
「同じくお邪魔してます」
「宗助の学友かな?」
「あ~あのフィギュアを見に来たのか」
「ご名答」
「大変だったんだぞ…」
何故か父までオタ談義を始める、まあ遺伝なのだろうそうとしか思えない。
そのままさらに1時間、歓談しながらの食事も終わり、友人2名はお帰りの時間となった。
「じゃーねーオトク仲間さん」
「オタクだよ愛」
「…ま ま また」東
2名共にいまだ対人スキルは低いままだった。
「じゃ俺送っていくから」
「また来てね」
「バイバーイ」
すでに夜8時になるが2人共に今家に連絡を入れている、マンションの25階から1階のエントランスに出ると2人はどちらからともなく話し出す。
「いいな~かわいいな~」
「あああれが俺の母だったら…」
「おまえら変な想像してると承知しないぞ」
「いやいやそれがオタだ、俺の頭の中でどう創造しようと誰にも邪魔はさせない」
「連れて来るんじゃなかった」
「それは後の祭りというやつだな」
「後悔先に立たずとも言うな」
駅までの道をそんなやり取りをしながら歩いていく、改札で2人を見送ると、今日一日の事を思い出す。
何とか復帰1日目をこなす事ができた、たぶん友人達には俺の変化など解らなかっただろう。
この調子ならば何とか普通の生活を送れそうだ。
俺はそう思いながらマンションへと引き返す、途中で少し繁華街を通過するが、その時見慣れない、いや一つだけ見慣れた顔を見てしまった。




