惑星RIZの現在は
惑星RIZの現在は
数日後、かねてからの予定を消化すべく今月の惑星定期便を発動させる。
同行者は俺の母とそして百合ちゃん、そして間違って連れてきてしまったメディロン君。
一度惑星RIZへとジャンプして母と百合ちゃんをRIZに残し、俺はメディロンと共に惑星YAKへと移動する。
滞在時間は両方合わせて8時間以内を予定している、但し不測の事態を考えて惑星YAKでは2時間以内で仕事を済ませる予定だ。
つまり惑星YAKの竜人達とは極力接触しない、要するに味方につけるつもりだったが今回は見送るという事。
では何故メディロンを返すだけにしたのか?どうやら蓮華さん主導の元、俺の能力である強化システムの正式導入が決まったということで。
近いうち彼らの助けを借りて惑星YAKへと探索調査を行う計画が持ち上がった。
もちろん今月来月の話ではない、計画を練るだけでなくカレン隊の人選や能力判定などという細かい作業を済ませてからの話。
それにシオンさんの方からも同様のオファーが来ている、こちらは採用が決まった能力者の選定といった感じだが。
今の所シオンさんの部下選別は予定がかみ合わないということで、今月中は無理ということになった。
まあ超能力者は採用に充たって最初にどんな能力が使えるのかを確認している、俺に頼まれたのは追加の調査という形になるだろう。
「持っていくものは?」
「用意できたわ」
「百合ちゃんは?」
「ばっちりよ」
「じゃあ、出発!」
本日はアイリーンもエミリアもそして愛菜も用事があり午前10時には俺達3人しかいない状態。
父は本日も蓄電池のブースターや小型化の研究で本業である電機会社の研究所に出勤しており。
CNの研究員リーさんは本日CNの大使館に呼ばれて要人と接見する予定。
要するにCNのESP部隊のトップと惑星間転移装置の件で話をする日、もちろん全て彼女絡みの話はロボ化の能力、仮想アクションカメラでこちらに筒抜けになるのだが。
やばい話がない限り俺は彼女を泳がせておくことにしている。
なにせあちらさんはその規模が大きく、どんな人がかかわっているのか?底が見えない組織でもある。
ESP部隊だって現在は2系統確認しているが、他にも遊撃部隊とか隠密部隊とか作っているとなると俺一人ではどうにもならなくなってくる。
まずはCNの動向を見て何をしたいのかを把握し、それに対してどう対応するのかを検討することだ。
やみくもに動いても警戒されてしまうだけで、こちらの事ばかり探られてしまうことになる。
敵の動きを読んで確実に対処する、まるで医療行為のようだがこれは大事なことだ。
「シュン」
まずは惑星RIZの転移室まで移動、その後で平太と朱里そしてアーロンたちと会う。
もちろん惑星YAKからの訪問者3名とも会って話をしてから、惑星YAKへとメディロンを返還しにいく予定だ。
《ついた~》
《そんなに疲れてないでしょう》
《旅行している気分を味あわないとね》百合奈
《それもそうね》
《主、ママ様、百合奈様お疲れ様です》朱里
《お疲れ様です》アーロン
《お待ちしておりました》平太
どうやら不測の事態は発生していない様子。
転移室から出て応接室に向かうと3人が待っていた。
《何か変わったことは?》
《特にないです、そうそういくつかの星から帰還した宇宙戦艦から新たな情報が入っています、今送りますね》
アーロンから送ってきた映像データ、そこは緑豊かな星だった。
すでに開拓は進められていて、調査は90%程終わっている。
現在の惑星開拓方法は完全殲滅方式から安全確実調査方式へと変更されている。
惑星に住んでいる現住種を調べながら徐々に自分たちが住む場所を広げていって、共存を図るというやり方だ。
時間はかかるがその分コストが少なくて済む、宇宙戦艦の派遣も10艘に限定し。
殲滅ロボットは調査ロボットへと換装してある。
《きれいな星だな~》
《こちらの星には危険な生物は確認されておりませんので、最初に研究チームを派遣する予定です》
《分かった、任せるよ》
《かしこまりました》
宗助の傘下になったからと言って今までしていたことの全てを止めるというわけではない。
できる事を無理なくそして危険なことを最小限に、先住している動植物を荒らすことなく。
第一に共存を図るようにすすめていくこと、それが一番効率が良いと感じたからだ。
《ではビオトープへまいりましょう》アーロン
惑星YAKの神兵は3か所の食料製造工場に分かれて仕事をしている。
彼らの仕事はほとんどが雑用だが、それだけではない彼らにはこの星でいろいろな知識も身に付けてもらうことにした。
食料になる植物の栽培方法や保存方法、そして調理方法なども教えている。
「シュン」
最初にやってきたのはベジタール、第1区画(首都メガロンがある場所)の食料を製造しているプラントがある場所だ、ここにはシンカーが働いている。
《シンカー》
《ソウスケか?》
《そうだ、変わりはないか?》
《変わり?何もないぞ》
《そうかそれならよかった》
《ああ》
《どうだ、もう慣れたか?》
《なれたよ、最近はいろいろ勉強もしている、俺達ヤコブ族はそれほど勉強していないからな》
《そうなのか?》
《ソウスケの国でいうとショウガクセいとかいうクラスまでの勉学しか俺たち一般市民は学べないんだよ》
《そうなのか…》
《だから今は結構楽しいぜ》
《アマリアは?》
《別の区画だ、確か第3区画のキャロットだったかな》
《そうか、じゃあまたな》
《ああ》
《そうだ一応聞いておくが故郷へ帰るつもりはないんだよな》
《ないぜ、ここの方が楽しいからな》
《分かった仕事を続けてくれ》
《多分みんな同じだと思うぜ》
《ありがとう、またな》
《いいってことよ》
彼らの近況はすこぶる快調といったところらしい、何の苦情も無ければそれに越したことはない。
だがヤコブ族の女性陣はどうだろう、その前にリリーズの交代を先に終わらせておこう。
【アーバン、ルミナス】
【あーようやく交代できます~】
【遅いです主】
【ごめん、何もなかったようだね】
【まったくありませんでした】
【キャンディ、クローム引き継ぎ頼む】
【かしこまりました】
【はーい】
背中に背負ったデイバックから2体を取り出し代わりにアーバンとルミナスをバッグにしまい込む。
光学迷彩を使用しているので一連の作業を見て不思議に思われるが、すでにテレパシーで俺のフィギュア部隊の事は説明してあるからとくに問題はない。
《それじゃ次へ行こう》
「シュン」
都市間移動転移装置で数千キロを移動する、第3区画の食料管理都市キャロット、ここにアマリアが仕事をしている場所だ。
《アマリア》
《あ、ご主人様》
《どうだ?》
《楽しいですよ、みんな優しいし》
《それは良かった》
《何か困ったことはないか?》
《何もありませんよ、食事もおいしいし、自由を満喫してますから》
《なんだ、楽しそうだな》
《そりゃ故郷が恋しくないと言ったら嘘になるけど、ここよりひどい扱いですからね》
脳内通信でデータを見てみると、神民という普通の人達でさえ圧政に逆らえない。
逆らえばすぐに奴隷階級へと格下げされ、それでも言うことを聞かない者達はさらに下層の最下人という位まで下げられてしまうらしい。




