エミリアにも
エミリアにも
その日同じようにエミリアにも能力を付与することになった。
心は子供、体は大人な彼女。
なぜかすんなり言うことを真面目に聞いて俺の能力を受け入れた。
【これでいつでもお話しできるんだね】
【一応緊急時やこういう音声で話したくないときに限って使用するんだよ】
【大丈夫任せて】
【本当に大丈夫なの?】アイリーン
【私だってもうすぐ16だよ、言ってなかったけど危険察知の能力は前より上がっているんだから】
【そうなの?】
【あ 話しちゃった】
【そうなんだ、他にもありそうだね】
【そこは内緒】
【わかった、聞かないでおくよ】
と嘘をつくが、エミリアにはやはり男を虜にする能力も備わっている。
危険回避(予知)と魅了の超能力、但し誰彼構わず魅了するのではなく、ちゃんと指向性を限定できるらしい。
【でも…愛菜ちゃんには話さないの?】
【今のところはね】
【あの子の場合体育会系だから身体能力強化は付与するのが難しいわ】
【うん、LV1でも倍の力が出せるからね、サッカーで使用すると無敵になるよ】
【そうか ズルをするみたいになるのね】
【ああ、今はそれを話す必要ないし、でもすでに愛菜には俊足の能力はあるんじゃないかな】
数日前の朝練、彼女のあとをリリーズ・クロームに尾行してもらったが。
電車を降りたそのあとからは一時見失ってしまったらしい。
瞬間移動とまではいかないが、人込みを縫うようにスピードを全く落とさず駆け抜ける愛菜。
しかも学校に着いたのは40分後ではなく35分後、乗り換えの駅まで快速電車で25分かかるとしても。
そこから学校までの10k以上を10分で走り抜けるのはオリンピックの陸上選手でも無理と言える。
【どうやら100メートル9秒台でしかも障害物はすべて避けて走れるみたいだよ】
【そうなんだ】
【だからあえて教えなくても大丈夫】
【わかった、でも愛菜ちゃんには話しても大丈夫な気がするよ】
【そうかもしれないけどいらぬ心配をかける必要もないでしょ】
【わかった、万が一質問されたらお兄ちゃんに話を振るからね】
【それで構わないよ、ありがとう】
ちゃんと話せばわかってくれる、どうやら彼女も薄々危険を感じているようだ。
これで頭のおかしい新人超能力者から身を守れることができるのならばいいのだが。
超能力、それは普通の人から見れば夢のような能力、最近では宇宙人の男女が使用していた浮遊能力や念動力がそれだ。




