能力判定
能力判定
一応個人データなので3人には断りを入れておく、蓮華さんがどこまで把握しておきたいのかはわからないが。
大事なことなので2人に了解を得る形なのかそれとも、個別に伝えてそこから蓮華さんに教える形にするのか。
「個別でお願い、孫だからと言ってプライバシーはちゃんと守るわよ」
まあそれは当然だろう、自分の能力だけでなく現在の悩みや将来どうしたいのかなど。
いくら尊敬する大おおおおお婆様だとしても知られたくないことはある、そこは個人の判断に任せないと、俺の口から勝手に教えるわけにいかない。
「じゃあシノさんから」
一応隣の部屋で耳元にささやく形だ、この時点では彼女らにロボ強化は施さない。
(ごにょごにょごにょ)
「その通りです、ヤッパリ俊足ですか、もう一つも…やっぱりわかりました」
(彼氏って言っても幼馴染なんですけどね)
「それじゃ次の方」
(ごにょごにょごにょ)
「やはり強化でしたか…なるほど」
アキさんは3つもの超能力を持っている、まだそれほど発達していないようだが。
治癒能力は訓練すればメアリーさん並みになる可能性がある、ただしその代償として何を交換しなければならないのかはわからないが。
中には治癒能力と交換に相手の生気だとか水分だとか血だとかを吸い取る場合もある。
もちろん今のままならば代償は必要ない、要するに未発達のうちならば気にすることはないと思うが。
当然のことながら知ってしまえば任務の性質上訓練するのは当たり前だ、そうしなければ任務遂行のプラスにはならない。
「あとはそれぞれの判断にお任せします」
「ありがとう、また頼むかもしれないからよろしくね」
そういえばこの作業、シオンさんにも頼まれていたのだった。
だが、よく考えてみると他人の個人情報、しかも超能力情報をこんな形でバラしてもいいものなのだろうか。
確かにネットのクラウドに保管するより俺の頭のなかほど安全な場所はないとはいえ。
下手をするとどこかの秘密組織に狙われる可能性もあるのではないだろうか、まあ既に俺は狙われていたりするので今更だが。
「このことは内緒に…」
「もちろん誰にも漏らしませんよ」
「それじゃ謝礼はこれでいいかしら」
目の前に積まれたのは現ナマというやつ。
「え?」
「だめ?」
「そういうことではなくて」
「うーん、でもデジタルでのやり取りの方が記録が残って面倒なのよね」
「確かに」
目の前に積まれたのはもちろん紙幣、その束は3つほど暫定300万円。
払うと言われたが俺の頭の中にはこれっぽっちもいただけるとは思っていなかった。
それは、もしかしたら蓮華さんやシオンさんがこれから俺が行動するときに大きな役割を担ってくれそうだからだ。
「強化してくれるならさらに出すわ」
「本気ですか?」
「二人とも私の親族なのよ、このぐらい当然でしょ」
「分かりました但し保険は掛けさせてもらいますよ」
「構わないわ、あなたたちもそれでいいでしょ」
「はい、やっちゃってください」
(おー体育会系は、そういう感じか)
まるで解体業者の仕事みたいな対応だが、どうやらこの先なかなか面倒な仕事が彼女らに舞い込む予定のようだ。
【スキルロボ身体強化能力付与、それと操作モニターも】
【かしこまりました】
そしていくつかの仕掛けを彼女らのデータに仕込む、敵に捕まった時や能力者に機密事項を盗まれそうな時に発揮するセキュリティーシステム。
大事なデータには本人のみが使用できるようにカギをかけ、そして侵入してきた能力者にはウィルスが自動で起動するように。
別に彼女らには危害のないウィルス、敵さんの脳の中に侵入して誤作動を起こすと同時にビーコンを発信して現在地を俺に知らせるように作ったやつだ。
「どう?」
「すごいわ」
「普段の生活を普通に送るなら今見えているモニターのLVを1に設定して、敵から攻撃されそうなときは5以上に、LV10まで上げると無敵になるけどその代わり人前では注意しないと化け物扱いされるから」
「これって期限とか条件とかないのですか?」
「一応強化LVを変えるときにエネルギーを消費することになる、代償はカロリーだ」
「カロリー?って食べ物でいいの」
「そういうこと」
二人が顔を見合って驚く。
「他にはデメリット無いの?」
「やりすぎないようにセーブするぐらいかな~、LV10で100トンぐらいまで対応できるから、その力で攻撃すると普通の人は死ぬからね」
ロボ化で付与したのは強化能力の装置のみ、テレパシーの付与は辞めておいた。
そうしないと面倒な任務を彼女らが請け負ったときに俺まで巻き込まれてしまうからだ。
「それじゃまた」
「またね宗助君」
「バイバイ」
現代版九ノ一と聞いて昔の忍者を思い出したが、そんないでたちではない。
ごく普通のリクルートスーツであり、2人ともに美形だというのが、どんな仕事を任されるのか不安だが。
(仕事によって制服は変えるのかも…)
まあいつか一緒に仕事をすればわかるのだろうけど、できれば今は遠慮しておきたい。




