できれば会いたくはない…
できれば会いたくはない…
先日会ったばかりでこの状況はなんなのだろう。
最寄りの警察署で事情聴取とやらを受けている、目の前には薄笑いをこらえている柄山さん。
「君が問題ごとにわざわざ首を突っ込む人だと思わなかったが…」
「僕の事そんなに嫌いですか?」
「そういう意味じゃないよ、まさかお人よしだとは思わなかっただけさ」
「それで、何か分かったことは?」
「話すと柄山さん転勤になるかもしれませんよ」
「なんで?」
「CN宇宙軍所属ESP部隊、宗豆沃と陳麻帥」
「ESP部隊!」
「知ってたんですね」
「その話は在中大使から外務大臣経由で入った情報だ」
「CNで新たな動きがあるって話ですね」
「機密情報なんだけどね」
「すでに100人規模で超能力者を訓練しているようです、日本には10人が潜入中」
「ほんとか!」
「他の部隊員の名前まではわかりませんが、そろそろ外務省も本腰を入れないと」
「…」
「じゃあ蓮華さんの部隊に連絡しておきましょうか?」
「蓮華 徳川蓮華か?」
「ご存じで」
「顔は知らないが公安調査庁のトップから内密の連絡があったことだけは覚えている」
「隠密部隊」
「これ以上は俺も話せない」
「そうか上層部も秘密にしているんだね」
「言えないことがいくつもある、君ならわかるだろう」
「分かっていますよ、じゃあ僕から蓮華さんに伝えておきますよ、そうすれば直接彼女が外務大臣に話を持っていくだろうから」
「そんなことができるのか?」
「まだ信用してくれないんですね」
「そのぐらい疑い深いからまだこの部署にいられるんだよ」
「分かりました、じゃあCNが特殊部隊を使用してなりふりかまわず、この国の情報を取得しようとしていると上にはお伝えください」
取調室での事情聴取は終わり百合ちゃんと一緒に警察署を後にする、一応事故に見せかけて殺されそうになった2名にはカラフル戦隊リリーズからコバルトを尾行としてつけておいた。
折角体を治してもまた殺されるようなことがあってはならない、俺が治した人にはできれば二度と危険な任務などしないでほしいのだが。
彼らがスパイ活動をやめなければそれは難しいだろう、体を治すついでに彼の方にはスパイをやめる道筋を記憶させておいた。
取り調べは数分で終わり、俺が警察署のロビーで待っているとすぐに百合ちゃんも取調室から出てきた。
「そっちは?」
「女の子なのによく危ない場所に飛び込んでいけるねって」
「確かに」
「宗ちゃんのおかげでケガもないし服も汚れないし」
「どんな感じ?」
「達成感がすごい、私が人助けしたんだって」
「それは良かったね」
「ありがとう」
「いえいえ、どういたしまして、それより講義は?」
すっかり忘れていたが結局午前中の講義はすっぽかしてしまい。
午後からの講義を全て受講する羽目になった。




