たった二駅
たった二駅
痴漢は一駅で去り、次の駅ではリーさんが下車する、彼女はそこからバスに乗る。
多分バスではそれほど痴漢を気にすることなどないだろう。
「ありがとう、またね」
「機会があったらね」
「バイバイリーさん」
『ドアが締まりま~す』
ちょっとした出来事だが、それだけでも恋に落ちる人はいる。
【宗助様、また虜にしてしまいましたね】
【なんの話?】
【リー様は宗助様に恋をしましたよ】
【マジで?】
【はい、モテ期ですね】
【それ本当なの?】百合奈
【間違いないかと】
【俺にはその気ないからね】
「何見つめ合っているのかしら」アイリーン
一度乗客が入れ替わったおかげで俺の周りには百合ちゃんとアイリーン、そしてエミリアが俺の側まで移動してきた。
ようやく父から安堵の顔が見えるが、逆に俺は少ししんどいことに。
「そう見えた?」
「見えましたが…」
「百合ちゃんずるーい」
「何が?」
「私も見て!」エミリア
「あなたね…」
「あ 乗り換えの駅だ」
「もー」
『足元にご注意ください』
「おにいちゃんまたね~」
モリソン姉妹は乗り換えのため電車を降りると、ようやく百合ちゃんと二人きりになる。
「さっきの話、大丈夫なのかな~」
「リーさん?」
「そうよ」
「一応彼女は26歳で北都国際大学主席卒業みたいだよ」
「そうなんだ」
「5か国語を話せるし、非の打ち所がないよね、でも断る」
「なにそれ」
「アニメのセリフだよ」
すでに10人以上の女性を虜にしている宗助、日本人だけではないUKでもUSAでも。
超能力を身に着けると相手の力を自動的に感じるのか、それとも遺伝子にそういった感知プログラムが組み込まれていたりするのだろうか。
別にそんなことまで調べてみようとは思わない宗助、でも目の前にいる女の子は大いに気になるようだ。
途中で地下鉄に乗り換えて最寄りの駅まで行くと、そこで目に入った景色にはいつかの宇宙戦艦襲来以来のアクシデントが待っていた。




