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まさかそこへ行く?

まさかそこへ行く?


それで終わりのはずだった、普通はそう考えるのだが。

シオンさんのわがままはこの後も続く。

軽く朝食を取り今度は車で移動することに、有無を言わせず同行させられてしまった。


「この後お暇?」

「あ えーと」

「近くにイリアが来ているから、貴方も一緒に行かない?」


どういうつもりなのだろう、確かイリアさんの本日の仕事は化粧品の宣伝でコマーシャルの撮影だったと記憶している、そこにはアイリーンもいるはず。


「仕事の邪魔をしてはまずいのでは?」

「あら、邪魔はしないわよ、見るだけだから、それとも気にならないかしら?」

「何をですか?」

「もう一人の彼女に私が近寄っても?」


これは罠だ、多分シオンさんにはそんなつもりは無い、イリアさんに手を出さないでくれときつく言われているのだから。

だが、それを口に出しておいて俺が無反応だと言う事をもしアイリーンの耳に入れたならどうだろう。

後でアイリーンに何か言われて今の関係にヒビが入るなどと言う事にならないだろうか。


「少しなら」

「OKいきましょう」


了解が取れたと思ったら速攻でグイグイと誰彼構わず引っ張りまわす。

松田竜太郎の気持ちがなんとなくわかるような気がする、別に彼の考えなど読んだ事は無いのだが。

数分車を走らせるといつの間にか日比谷公園の脇へと駐車する。


「車は駐車場へ入れてまいります」

「頼んだわ」


まだ自動運転は勝手に駐車場まで運んでくれるところまで開発されていない。

ちなみにEVは殆どが自動充電方式になっており、相当距離を走るかもしくは夜間の走行が千キロ以上にならない限りコンセントからの充電はしなくて良いらしい。

この公園では様々なイベントにも使用される、都内にある公園の中ではそれほど大きくはないが。

近場には有名な観光名所が数多く点在する。


「どこかしら」

「噴水の前では?」


確か大きな噴水があるとデータに載っていた、少し歩いて行くと水の落ちる音が聞こえて来る。


「いたわ」


モデルがアイリーンと言う事もありすでに野次馬のような人だかりができている。

勿論そこに交じって見学しようなどという気はない。


「駐車場に入れてまいりました」

「カチッ」


地頭さんが大きめの日傘を広げシオンさんに近寄る。


「ありがとう」


この一角だけまるで違う空気が流れているように感じる。


「あの子ね、なるほど綺麗ね」

「イリア様はあちらですね」


現場監督だろうか、ポニーテールに袖まくりをしてなにやら激を飛ばしている。

化粧品会社の宣伝部長が自ら指揮を執っているように見えるのだが、目の錯覚か?


「あのこ、監督もやるのかしら」

「こちらをお使いください」


何処から取り出したのか、最近ではほとんど見る事が無くなったメガネタイプの望遠鏡。


「こちらにお座りください」

「ありがとう」


さらに折り畳みの椅子まで設置する地頭さん。

まるで避暑地でクリケットでも見学しているような錯覚に陥る。

どうやらイリアさんがこちらに気付いたようだ。


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