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シオン会

シオン会


本日の予定は赤坂のカフェでお話を聞きたいと言う事。

先日蓮華さんを連れて行った惑星RIZでの話が伝わったらしい。

そして彼女は先読みの能力で未来を観たところ、俺に伝えたい話が有ると直接連絡してきた。

未来がどうなるのか、そこに少し興味を持ったので、その申し出にOKを出したのだが。

どういう気なのか?どうしても俺を松田家の誰かとくっつけたいらしい、孫であるイリアの話もしてくる可能性が高いと感じている。

イリアさんは現在アイリーンとエミリアを起用した化粧品のコマーシャルをプロデュースしている。

本人がいない所でどう話を切り出してくるのか分からないが、今の所そう言う話は全部お断りすることになるだろう。

家を出て30分、待ち合わせの場所は赤坂の駅前なのだが…


「呂方様お久しぶりです」


シオンの秘書である地頭さんが声をかけてきた。

この人も多分、超能力者の可能性が高い。


「お久しぶりです」

「すぐに移動しますのでこちらへついてきてください」


駅前に停めてあるのは日本に数台しかない高級車。


「お乗りください」

「はい」


乗り込むとすぐに車は発進し都内の道を迷うことなく進んで行く。


「…」

「何か?」

「地頭さんの能力は何かなと…」

「秘書1級です」

(その返しはつまらないのだが…)

「なるほど」

「着きました」


約5分、会話もほとんど続かない、確かにそう言うタイプの人ではないだろう。

命令に忠実であり、余計なことなど一言も話さない。

俺が聞いた所でシオンさんの事など絶対に話はしないだろう、一度ロボ化で情報を見てみたいものだ。

少し赤坂から青山方面へと道を進んだ辺り、おしゃれな店が立ち並ぶ。

そのうちの一つ、ガーデン調のおしゃれなカフェがあり、そこに日差しを遮るべく大きな帽子とサングラスを付けた妙齢の女性が一人で座っているのが見える。


「お連れしました」

「有難う、貴方はこちらへ、宗助君も」

「お久しぶりです」

「久しぶりね、仲間集めは捗ってらっしゃるの?」


いきなり核心を突いてくる、確かにそれも考えてはいるが。

仲間と言っても、それは人間とは限らない。


「何か頼みます?」

「えーと」

「この時間はモーニングかしら」

「はいモーニングセットがお得です」

「ABCのセットがあるみたい、私も頼んだけどおいしかったわ」

「ではBセットで」

「パチン!」


地頭さんが指を鳴らすとウェイトレスがすぐに飛んでくる。

もしかしたらいつも使っているお店で常連なのかもしれない。


「うちのグループが出資しているお店なのよ」

(この人心も読むのか?)

「都内のおしゃれなお店は殆どマツダグループだから」

「そうなんですかなるほど」

「たいして関心ないくせに」

「はい、あまり関心ないですね」

「正直ね、今までの子達と少し違う分けね」

「何か問題でも?」

「特に問題じゃないわ、でもそれだと後で困るのよね」

「欲がない事ですか?」

「欲が無ければ誘う事が難しいでしょ」

「僕は敵になるつもりは無いので鎖をつなぐのは難しいですよ」

「あら、そんなつもりは無いわよ、でも何もない事が問題なのよ」

「保証が欲しいと言った所ですか?」

「まあそんなところかしら」

「それが無いと、未来の情報をたやすく話すことはできないと言う事でしょうか?」


相手の考えを探る事に長けている、それはビジネスや勝負事には必要不可欠なスキルだ。

一度シオンさんの夫である松田竜太郎にも会ったが、彼はどちらかと言うと仕事の鬼と言った感じだ。


「久しぶりに私の自由になりそうもない子に出会ったわ、まあこれも運命なのでしょう」

「…」

「あなた竜の惑星には気を付けないと、痛い目を見るわよ」

「ご忠告ありがとうございます、それだけですか?」

「やっぱりマツダグループに来ない?」

「一応今は学生生活を満喫しようと思います」

「できればうちの子達を使って欲しいのだけど…」

「能力次第です」

「そうよね」

「使えるとしたら」

「使えるとしたら?」

「口が堅く、全てを僕に任せてくれる人かな」

「考えて見るわ、それよりイリアはどう?」

「素敵な人ですが、僕には似合わないです」

「もう少し年下が良い訳ね」

「そうではなく、イリアさんには他に良い人ができるような気がします」

「あなたにも分かるの?」

「いいえ、勘です」


勘と言うより%と言う確率の方だ、松田財閥に寄って来る人間は多い。

逆に寄り付かない人間がいればそのほとんどが地位や名声に対して頓着しないと言う事。

仕事人間のイリアさん、本人がそれを嫌っていても地位と名声が欲しい異性は沢山寄ってくるはずだ。

だが彼女は全て断るのが見えている、もし彼女の眼鏡にかなう男性がいるとしたらそういうことからかけ離れた人だろう。

まあいずれにせよそれは今ではなく将来の話である。


「近いうちにうちの子達をテストしてもらえるかしら?」

「超能力テストですか?」

「ええ、ちゃんとお金は払うわ」

「…」


予知能力でどこまで知られているのか分からないが、少なくとも詩音さんに俺の能力で誰がどんな才能を持っているのか調べる事ができると思っている。

能力を調べる、それは可能だし未開発の能力を探り出すこともできない訳ではない。

俺の場合、覚醒した能力は分かるが未覚醒の場合、全て計算してはじき出すことになるので、誰がどういう能力を後天的に覚醒するかまでは分からない。

スキルROBOによってデータを見れば少なくともその人の傾向ぐらいは分かる。


「考えておきます」

「来たわね、どうぞ召し上がって」


本日のモーニングBセットは、フレンチトーストと生ハムサラダ、そしてダージリンティー。

トーストには、はちみつが付いている。

何を頼まれるのかワクワクしていたが、俺に部下の能力を探ってほしいと言う事だ。

それを超能力者がOKするとは思えないのだが、確かにそれを知らなければ俺の仲間になって宇宙へ行くなどと言うミッションをこなすことはできない。


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