定期航路
定期航路
定期的に行っている惑星RIZへの定期渡航、携帯食1個で3人までなら一瞬で何万光年も離れた星へと移動できる。
それが俺の能力の一つだが、先日の渡航によってやらなければいけないことがさらに増えた。
まずは惑星YAKで見つかったメディロンを母星に返す事。
ただ返すだけで済むかと言うとそうはいかない、この生物は雌雄同体らしいが基本的にはそばにいる生物と共存を図る。
そうなると送り返すだけで済むのかという事になる。
科学力は地球より進んでいると思われる宇宙人達、特に竜人種はヤコブ族を避けている節がある。
まあ俺も惑星YAKの事は出来れば避けて通りたいが、ヤコブ族がライズ族に対して攻撃を続けるのなら何とか辞めさせるようにしなければならない。
それにはメディロンと一緒にいた竜人種の協力を得た方がやりやすいだろう、そこにメディロンを勝手に連れ出して、黙って返還すると言う状況はどう思われるのだろうか。
もしもバレたなら竜人種との間に溝ができてしまうだろう。
問題はメディロンに、これっぽっちも他意が無い事だ。
彼らには悪意が無い、欲もない いや唯一の欲は食欲であり、必要なのは水と言う所か。
多分地球に住むかと尋ねたら「住む」と答えるだろう。
だから悩んでいたりする、俺は無責任なブリーダーにはなりたくないし、かといって竜人達に見つからない方法はないだろうか。
いやできれば竜人達に話を付けて協力を取り付ける、その方が良いのかもしれない。
【今回は百合ちゃんも行くんだよね】
【行くわよ】
【そうなると今回は全部で3人か…】
【どうしたの?】
【アイリーンはどうやら気付いている可能性がある】
【もう話しても良いんじゃない?】
【そうなるとエミリアちゃんにもバレるよね】
【モリソンパパにも知られちゃうわね】
【もう仕方ないんじゃないかしら】母
【やっぱり?】
【うんうん】母・百合ちゃん
1日とはいえ土日に絞って父の出張の日に限って惑星航行の予定を入れている。
平日でも良いのだが、普段の日は母にも予定が有ったりするのを忘れてはいけない、近所付き合いや宅配の受け取りなどなど。
そして買い物や洗濯をする時間は思ったより時間を取る、最近はリリーズがお手伝いしている為、前より短縮されているが。
それでも一緒に暮らしていれば家族の異変には気が付いてしまうと言う事だ。
【隠すより、話してみて分かってもらう方が良いわよね】
【大丈夫よ、宗ちゃんから頼まれたら二人とも断れないでしょ】
【うーん】
そう言えば姉妹をROBO化する計画もあったのだ、今は様子を見ている。
今の所アイリーンもエミリアにもおかしな尾行は付いていない、せいぜいマスコミの記者や写真家ぐらいだ。
まあ彼らも張っているのは木下・呂方家であり、この家がどんな状況なのかはすでに調査済みという形になっている。もちろん超能力の事は一切バレていない。
電話もメールも危険なので呂方家は大事な連絡は全てテレパシーで行っているからだ。
【分かった、考えて見るよ】
だが、アイリーン姉妹には何処からバレたのか、数日同居すれば勘の良い子であれば気が付く可能性がある。
それよりも今は外国の超能力者組織の尾行が増えている、こちらは父の仕事や俺のUSA渡航などが原因だろう。
日本の組織だけではない一度接触したことがある組織や、既存の組織それも国際機関のエージェントらしき人物らの尾行が増えてきている。




