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蓮華さんの質問

蓮華さんの質問


ここは蓮華邸の応接室、以前にもこの場所に来た事が有る。

俺がソファに腰掛けると蓮華さんは隣の部屋へ行き、高そうな茶碗にお茶を入れている。


【話って何かな…】

【メアリー様の事もあるのであまり迷惑な事は言ってこないと思われます】

【ああ うーん でもずっと神妙な感じに見えたんだよね】

【惑星RIZで見たライズ族や惑星YAKから来たヤコブ族を見て思う所があったのでは?】

【超能力の事?】

【宗助様はこれまでの宇宙人を見て何か気付きませんか?】

【少し極端だったかな、姿かたちがかなり違うのは分かったけど】

【これは仮説ですが一部地球の文献を参考に考察してみました、彼ら宇宙へと移住した宇宙人は2つに分かれたと言う事でしたが、その姿にはかなり差があります】

【確かに】

【地球から移住して数万年であそこ迄大きさに変化があるとは思えません】

【それはどういう意味?】

【仮説ですが、元々地球からは2種族が移住したのでは?】

【超能力を持った種族が2系統いて、手を組んで移住した、もしくはたまたま同じ星に2種族が移住したって事】

【仮説なので移住した事実だけは変わりませんがそのルートは種族によって違う可能性があります】

【元々人族が住める星は10以上あるとライズ族のデータにあったからな、ライズ族も今の星が5番目で今も3つの星を開拓中だったはず】

【現在は使い捨てではなくリサイクルリユースを考えて星の開発をしていますが、最初に移住した星は現在誰も住んでいないようですよ】

【今度そこに行ってルーツを探ってみた方がよさそうだな】

【かしこまりました】


リリーさんと脳内通信をしているところでお茶の香ばしい香りと共に蓮華さんがやって来た。


「粗茶ですが どうぞ お口に合うようでしたらお茶菓子も食べてね」

「はい 有難うございます」

「やはり側に欲しいわ」

「何がです?」

「君の事ヨ」

「僕ですか?」

「まあ良いわ、そのうちいやでも会う事になるから」

「…」

【どういう事だろう?】

【私にもわかりません、ですが蓮華様の能力を使えば日本での活動は無限なのではないでしょうか】

【無限?】

【普通のOLから自衛官、はたまたCAや研究員など、潜入業務はほぼ全てこなせます】

【確かに変身能力があれば誰にでもなれるな】

【その上、不老不死ともいえる能力があるので、悪いことをしない限り悪人のターゲットになる可能性もほとんどなくなります】


今迄見てきた蓮華さんの変身能力は人族に限ってだが、それが可能ならば動物への変身も可能なのではと思う。

まあそれは普段隠している可能性が高い。

昔の物語には化け狐だとか狸だとかムジナとか、そういうのがいっぱい出てくる。

ほとんどが創作物からの知識であり現実に有った話ではないと思われるが、もし変身能力がそこまでをカバーしているのであれば。

それら歴史上のお化け物語は、もしかしたら事実だったのではないだろうか。


「宗助君宇宙人の事は君に任せるとして、今後地球の事はどうするつもりなの?」

「一応各国の首脳には会わなければいけないかなと思いますけど」

「そうなるとやはり中国とロシアが問題よね」

「はい」

「それならばやはり私の組織に入ってみない?」

「蓮華さんの?」

「そうよ」

「なぜ?」

「えーと、今まで言ってなかったけど、実は」

「実は?」

「江戸村って知ってる?」

「は?」

「今はアミューズメントパークだけど、その昔日光と言えば忍者の里だったのよね」


そう言えば日光は徳川家御用達の神社だった。そして柳生一族が率いる隠密部隊の村があったとかないとか。

伊賀・甲賀に並ぶ日本の隠密忍者の組織、そう言った話はどこかで聞いた事が有る。


「もしかして」

「分かったかしら、そこで・くノ一なんてことも、昔はしていたのよね」


室町時代から生きている生き字引のような人、蓮華さんの能力を使えば江戸時代の初期から中期にかけて幕府の隠密や将軍のおひざ元を任されていた事が有ってもおかしくない。

文献では蓮華さん大奥で結構ブイブイ、いや上の地位にいたと言う話で、その後現在の福島県で余生を過ごしたと書いてあったりする。

昔の歴史の半分が脚色された文献であったとしても、一度は将軍の奥として名を遺した彼女がそういう仕事を担っていてもおかしくはない。


「もしかして今でも?」

「さすがにくノ一は卒業したわよ、でもその組織が今あったなら…」

「蓮華さんが元締め?」

「元締めじゃないわ、まあ総帥ではあるのかな」

「同じでしょう…」

「仕事はほとんど部下に回すから、私が出張る事は少ないんだけど、国際問題になると話は別よね」

「確かに」

「ね、そう思うでしょ」


要するに国内の事は自分の部下がやってくれるのだが、国際問題となるとそうはいかない。

国内で活動している招かれざるスパイ組織に外交的に対応できる部隊、現在はそこに人材が必要だと言う状態になっている。


「月1、いや月2で活動してくれると助かるんだけど、もちろん外務省から特別手当も付くわよ」

「外務省?」


そう言えば尾行を付けた時、外務省の役人と会っているシーンも見た事が有る。

ほとんどが大手の商社や巨大ゼネコンの社長達が相手なので、そう言った伝手つてが沢山あるのかなと言うだけで、裏の仕事のことなど考えもしなかった。


「仕事内容はその都度違うけど、殆ど護衛や諜報で工作員として外国へ出向く任務はそれほどないわ」

「これからは必要になると?」

「まあそれも相手国次第ね」


確かにCNやRUが日本に対してどんな邪魔をしてくるのかはわからない。

現在は邪魔と言うよりこちらのテクノロジーを奪うため、何か計画を練っているのではないかなと言う感じだ。


「考えておきます」

「まあ、そんなに構えることないわよ、一種の小遣い稼ぎアルバイトだと思ってね」


いやいやそんな軽い仕事じゃないだろう、だが1000年近く生きているとどんなピンチでも過去の事。

数年経てば死ぬような思いさえ、彼女にとって大したことなど無いと言う感じなのだろうか。


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