惑星YAKの改造宇宙戦艦
惑星YAKの改造宇宙戦艦
移動先の座標はだいぶ前に入手して置いた、軍港に隣接している格納庫は現在あまり使われておらずシンと静まり返っている。
「シュン」
《よし少し移動しよう、あの小型襲撃艇の前に移動してくれ》
《了解》
「ズンズンズン」
思ったより乗り心地は良くない、中に詰まっているジュレ状の緩衝材は、生体兵器の脂肪のようなもので、動くたびに揺れて搭乗者に直接振動が伝わらないようにしている。
だが、俺の体が小さいからなのか?その揺れ幅が大きく三半規管を刺激する。
《乗り心地の改良まではしないのか、もしくはできないと言った所か…》
《主にはそう感じるのか?俺達にはさほど揺れなど感じないけどな》
要するに体が大きいほど揺れが感じない、もしくは鈍感だと言う事なのだろう。
《ピー ピー 惑星軌道上に行方不明になった戦艦の発信ビーコンをキャッチしました》
《まさかこんな時に!》
間が悪いとはこの事か?折角地球から連れてきた一行の観光案内をするつもりだったが。
どうやらそれだけをさせてくれるつもりは無いらしい。
《多分惑星YAKの戦闘部隊だな、少し早くないか》
《どうするんだ、主?》
《戦うしかない》
《このままいくのか?》
《ああ、衛星からの位置は割り出した、だがお前は良いのか?》
《どうせ戻っても奴隷に落とされて重労働だ、それよりもここにいた方が楽だし惑星RIZの人類も友好的だからな》
俺はガイアギアに乗ったままカラフル戦隊を呼び戻す。
【ボルドー、クリスタル】
【主】
2体のフィギュアは到着したと同時に呼び戻しておいたが、光学迷彩を作動した状態でガイアギアの肩にとりついてもらっていた。
そして異次元収納庫からアーバンとルミナスを取り出し彼女らもガイアギアにとりついてもらう。
【ようやく出動ですね】
【ゴメン本来は交代するだけだったんだが、アクシデントだ】
【警報が鳴っていますね】
【ああヤコブ族の戦艦が迫っている】
【忙しくなるが、頼んだぞ】
【待ってました~頑張ります】ルミナス
【お任せください】アーバン
【久しぶりに動き回れます】ボルドー
【お仕置なのですー】クリスタル
ガイアギアに乗ったまま外宇宙へとジャンプする、そこにはすでにヤコブ族のガイアギア10体が展開していた。
『あーあー』ヤコブ族
『ちゃんと聞こえているわよ』
『さっきまで音信不通だったぞ』
『敵の惑星だから、少し障害が出たのでは?』
惑星YAKのヤコブ族にテレパスは少ないと聞いた、彼らの意思伝達方式は地球と同じであり声帯を使用した音声での言葉のやり取り。
一応無線システムは導入しているがその性能がそれほど良くは無かった。
『先に偵察に出た2名のガイアギアへ通信してみてくれ』
『出力全開』
『こちら武神第一攻撃部隊バルカス隊長だ、応答せよ』
当然だがその受け答えをするのは宗助だ。
『こちら惑星RIZのマザー代理だ』
『? 誰だ!なぜこの通信帯に敵が答える!』
『そちらの神兵は既に捕虜となった、引き返してくれるなら2名を返還するが返答してくれ』
まさか2名の斥侯が捉えられてしまうとは思わなかったヤコブ族の戦闘部隊。
本来ならば先行した2人からライズ族の情報を受け取り侵攻するはずだったのだが、その作戦は最初から躓いてしまったと言える。
『どうします隊長?』
『斥侯がやられたとしてもこの星への侵攻作戦は変わらない、敵には分かったとでも伝えて置けばいい、我ら神の軍勢に逆らう者は駆逐するのみ』
どうやら人質と言う概念は無いように感じる、相手の事を見下しているのが見え見えだ、自分達の方が位が上だとでも言いたいのかもしれない。
『分かった2名の返還を求める』
『侵攻は辞めると言う事だな』
『2名は返還してもらうが侵攻は予定通り行う』
『ならば2名は返還できない』
『交渉決裂と言う事か?』
『交渉と言うのは相互に利益が有って成り立つものだ』
『こちらの予定は変わらない、この星は殲滅予定だ』
『分かった、ではこちらも遠慮なくやらせてもらう』
宇宙空間、宗助は何度か宇宙空間での移動を経験しているが、果たしてヤコブ族はどうだろう?惑星YAKの衛星にいた兵士の動きもさほどスムーズとは言い難かった。
もしかしたら無重力と言う物を軽く考えている可能性がある。
殆ど超能力でガイアギアを動かすのだから、宇宙空間での戦闘もさほど心配していないのかもしれない。
だが、光学迷彩を纏った敵にどこまで反応できるのだろうか、俺の作戦は音を立てないように10機の手前まで移動してカラフル戦隊リリーズを使い敵のガイアギアを動けなくすると言う物。
その後は背後に見えるヤコブ族が乗ってきた宇宙戦艦の攻略と言う手順だ。




