久々の学校
久々の学校
宗助の大学受験は後一校残っているが今の所そこへ行くつもりは無いと言って良い。
俺の名前は願書を出した時点ですでに知られてしまっている、前もって天道教授には連絡を貰っているが一応滑り止めですとしっかり伝えてあったりする。
まあ大学へ進学した後でも各大学の教授とは話すこともあるだろうし、同じ研究をするのなら学部交流も行っているはずなので特に問題は無いだろう。
翌日いつものように学校へと登校すると、たった1週間のご無沙汰なのに懐かしい感じがした。
「今回の土産は?」米田
「久々に会ってすぐそれか?」
「今日は東山が受験でいないからバカ話をする相手がお前しかいない」
「それでお前はどうなんだ?」
「お前の様な土産話ならないぞ」
「違うよ、進学の話」
「後1校残ってる、何とかなる予定だ」
「という事はここまでの受験はやばいってことだな、勉強はしなくていいのか?」
「それは大丈夫だ」
「あら、先週はやばいやばいって、騒いでなかったかしら?」委員長
「終わった事は気にしない事にした」
「そうなんだ…」
「委員長こそどうなんだよ」本当はやばい
「一応合格する予定だけど何か?」
(くそー、俺だけかやばいのは…いやまだ東山がいる)
委員長も一応国立を受けているが本命は私学で俺がこれから受ける大学と一緒の所だ。
「はいはい、自慢話はそのぐらいで、こっちを手伝って」百合奈
百合ちゃんは今期アルバム委員などと言う仕事を賜っていたりする、もちろん卒業アルバムの話だ。
そして男子のアルバム委員は俺と言う事になってしまった、これまでに撮りためた写真を一冊の本にするのだが。
ちなみに今は半分がデジタル化されいくつかの写真は学校のホームページから好きなものをダウンロードする、昔のような分厚いアルバムではなくなっている。
「ガラガラガラ」
「きりーつ、れい」
既に午前中の授業が終わり午後は自習時間になっている、本日の授業は午前中のみ午後は自習で2時には帰宅していいのだが、一応部活動の引継ぎや試合を控えている生徒などは午後の活動も許されている。
【宗助様!問題が発生しました】
【え!】
現在は昼休みも終わり自習の時間となっているのだが、一応滑り止めである某大学の問題集をいくつかタブレットにダウンロードし解いているところ。
そこにリリーさんから緊急報告が入ってきた。
【どうした?】
【メディロンが増えています】
メディロン(メディカルドローン)の略称、惑星YAKの宇宙人が使用していた医療用とみられるドローンがいつの間にか増えていると言う話。
俺はメディロンを机の中にしまっておいた、それは持ち帰った後数時間で活動を止めてしまっていたからだ。
スキルのストレージにしまおうとしても生物は入庫することが出来ず。
動かないのならば問題は無いだろうと思っていたのだが、やはり外宇宙の生物など早く捨ててしまった方が良かったのかもしれない。
【どんな状況?】
【いつの間にか引き出しから出て動き回っています】
【何匹?】
【少なくとも5匹以上です】
リリーさんの目を通して部屋の中を見渡すと、空中に数匹が飛び回っている。
何匹かは机の上や棚に乗り触手を出しながら動いていたりする。
【まずいかも…】
今家にいるのは母だけだったはず、今朝は洗濯物を出してきたので俺の部屋へ入る事は無いはずなのだが、心配になったので連絡を入れてみる。
【母さん】
【宗ちゃん?】
【今どこに?】
【買い物よ】
【少し問題がおきた】
【何?恋愛の話?】
【それは問題じゃないよ】
【そうなんだつまんない】
【それより、俺の部屋には絶対入らないで】
【今朝入ったわよ】
【え!】
【宗助様母上が入られた時は今の状況にはなっていませんでした】
【となると10時以降か】
【もしくは机の中で増えていた可能性もございます】
【どうしたの?】
【連れてきた宇宙生物が増えているみたいなんだ】
【宇宙生物、あの映像で見たふわふわ飛んでいるやつ?】
【ああ、無害だと思ったから引き出しに入れてそのままにしておいたんだけど、今になって活動を始めたらしい】
【何かしなければいけない事は?】
どうやら母は自分に任せて欲しいらしいのだが、母が大丈夫だと言っても何が起こるかわからない以上、今ここで託すわけにはいかない。
【うーん】
【リリーちゃんはどう思うの?】
【この生物に危険性はなさそうですが、すでにロボ化によってその機能は把握しています】
【それで?】
【通常3体で行動しますが群れると合体します】
【え?】
【でもなんで増えたんだ】
【微妙に大きさが変化しています、少し小さくなったようです】
【という事は分裂した?】
【そのようです】
まだこの生物の事が全部分かったわけではない、一応怪我をしたり病気になったりすると対象にとりつき不具合を調査し修復すると言う機能を持っている。
だからメディカルドローンと言う名称を付けたのだが、問題なのはこれが生物だと言う事なのだろう。




