救出完了
救出完了
月で各種の消毒と埃を取り払う、いつも転移時に行っていた作業だったはず。
だが見落としていたのかもしれない、透明なドローンそれはいつの間にか宗助に付着していた。
宗助の惑星間転移は仮想スキルで行われる、実際の転移装置と同じ方法だ。
縦横高さの数値を設定して転送先の同じ座標にある質量を丸ごと入れ替えると言う方式。
そうなるとその範囲内に含まれている埃や微生物まで持ち込む可能性がある、だから月で一度身の回りをリセットする必要があるためだ。
その時あの隔離室(氷の壁の中)で動いていたであろう透明なドローン、それが一緒にくっついてきたのを見逃してしまった。
そんな事とは知らず、月からホワイトハウスの敷地内にあるゲストハウスへと転移してきた。
【何とか救助できたな】
【それよりもこの方をどうします?】
そう言えば彼女は素っ裸だった、この状況を打開するには一つしか方法が無い。
ストレージにしまい込んでいたデイバックを取り出すと中から着替えをいくつか取り出す。
ついでに携帯食を3つほど封を開けて口の中へと放り込む。
【Tシャツしかない…】
(常に携帯食を食べないといけないとは…)
「モグモグ」
そんな事を考えながら口を動かしている。
目の前の女性はそれほどグラマーではないが、背丈は宗助と同じぐらいで体型はアイリーンに近かった。
【これを着せるしか無いな】
【記憶を入手しますか?】
【そうだな、何をされたのか分からないから彼女のデータを見てみよう】
連れてくる前にロボ化しておいたので今は眠っている、外見には傷などは無いが脳内に支障があったり、どこかに通信機を仕掛けてあると後々面倒だ。
【ピーピー】
【なんだ?】
【アラームです、何か動いています】
電波探知機及びサーモグラフィーなどを使用して部屋の中をサーチする。
【こいつか!】
それは先ほど惑星YAK181の北方、翼人族の施設内にあった隔離室で見た透明なドローン、中まで透明なのでどんな機能がある機械なのかは調べてみないと判らない。
【侵入できるか?】
【やってみます】
浮遊タイプ自動運転、ステルス仕様、地球には無い未知の機能を有している可能性が高い。
【メディカルドローン、VVXXIKNH…】
【メディカル…】
確かこのタイプのドローンが3体ぐらい動いていたはず、そのうちの1体を連れてきてしまった。
【参ったな】
【危険性はなさそうですが】
【危険は無くても地球に置いてこいつは爆弾みたいなものだ】
その機能は対象の生物に完全追尾と完全看護、攻撃システムは無いが。
治療が必要な生体にとりつき補助をすると言う、地球に有れば誰もが欲しがるだろう。
【ドローンドクター】
【フルオートで完璧に医療を行うようです】
大きさは手のひらサイズなのに、何処にそんな機能があるのだろう。
しかも機械と認識しているが、どうやらそうではないらしい。
【生体兵器と同じシステム?】
【はい】
そうなると要救助者から引きはがすのに色々としなければいけないことがある。
【システムに侵入して指令を変更できないか?】
【やってみます】
生体ドローン、しかも医療用。
そんなものを翼人達が何故持っているのか?彼らの頭の中を探れば何か分かったかもしれないが。
彼らの記憶形式を取得する時間が無かったため要救助者救出を優先した宗助。
だが彼女の記憶からとんでもないことが判明した。
それは彼女の能力によるところが大きい、テレポーテーションだけだと思っていた彼女の超能力。




