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惑星間転移装置テストの日

惑星間転移装置テストの日


12月の第2日曜日、前日からテストの準備は行われているが本日は各大臣を迎えて行われる転送実験。

2か月前に行われた試験運用とは違い人間大の大きさがある荷物を使った転送実験と言う。

その顔触れはいつぞやのリモート会議の人数をはるかに超えている、そこには忙しく動き回る宗助の父、敦之の姿。


「父さん」

「おー来たか!」

「すごい人だね」

「ここまで来るのに大変だったからね」

「これが転移装置かなるほど」


その大きさは4メートルほどの高さがあり、周りの装置は惑星リズで見た装置の倍以上の規模になっている。


「これが3社共同で開発したエネルギー増加装置と、こっちが一時増幅装置、そしてこれが例の…」

「ハーイそうすけ」メアリー

「メアリーさん」

「ナイスチューミーチュー」

「な ミーチュー」父

(父さんごめんまた後でね)

(ああ またな)


まだ父は女性に免疫が付いていなさそうだ、特にメアリーさんを含めた美女系には体自体がこわばってしまうようだ。

気を利かせてメアリーさんを連れ他の参加者へと挨拶をしに行く。


「お いたいた、呂方君!」麻生

「お久しぶりです教授」

「おお 探したんだぞ」


ちなみに麻生教授にはリモートでしか会った事が無い、前回の転送試験では予定が付かなかったと言う事で教授は欠席していた。

そして教授は思ったより背が低かった、いや周りの招待客(外人)が大きいこともある。


「内を受験するって聞いたぞ」

「はい」

「大丈夫だとは思うが、推薦した方が良いか?」

「いえ大丈夫です」

(推薦?)

【多分後日行われる2次試験での推薦枠ではと思います】


確かに1次試験はテストだが2次試験は面接やその他の志望動機などを聞かれると言う。

それに教授にも学生を選ぶ権利がある、勉学に向かないどこかの御曹司を無理やり入れるより、将来有望な逸材を逃さず入れる事が出来れば大学の株も上がると言う物だ。


【なるほど、確かにその通りだね】

「こちらの美女は?」

「こちらはメアリーエドモンドさん、元UKの大臣秘書で今は…」

「UK外交官の通訳をしていまーす」

「ナイスチューミーチュー」

「ミーチュー」

「知り合いなのか?」

「例のハッキングアプリの件でUKに行ったときに知り合って」

「なるほど、私はあまり日本から出ないからな…これからは積極的に海外にもいってみるか…」

「よう麻生君、久しぶり」


メアリーさんを紹介していると今度は京王大学の天道教授が現れた。

そこからは大人の話に入って行けず、メアリーさんも話に入って行けない様子で肩をすくめる、周りを見渡すと確かにUKで見た事のある人物が数人、それからウインクして来るのはUSAのエージェント。

中にはCNのエージェントが数人交っていたりする、なんでそれが分かるかと言うとその手にはスマホが握られていてしきりに装置の写真を撮りまくっている。

勿論写真撮影禁止のマークがそこここに張ってあるのだが、彼らは撮影を辞めようとはしないのだ。


【国によってかなり対応が違いますね】リリー

【まあね、あの国にはちゃんと出来上がってからデータを渡さないとまがい物を直ぐ作られてしまう】

【事故を起こして大問題になると言う事ですね】

【電車や車と違い機械そのものが事故に直結するからね】


後から参加表明をしつこくして来るCNの大臣や大使、TVでもそれらは拒否していたが、どうやらUSAの方が先にテストを成功させて、技術を見たいなら日本からOKを貰えばよいと大統領補佐官が言ったとかなんとか。


【大統領も根負けしたって、確か言っていたね】

【そうしないと輸出入に支障が出ると言う事でしたね】


まあいずれ公表しなければならない、惑星間転移装置は転移元と転送先の2か所に装置が必要になるからだ。

宗助のような超能力とは違い機械化した装置にはそういうデメリットが存在する、だからこちらに一つ転送先に一つ同じ機械が無ければ相互転送ができない。

これから先の事までは分からないが、機械と言う物はどんどん開発研究されて行き、小さく高性能になって行くのだろう。

(多分そのうちスマホ一つで転移できたりするのかも…)


《只今から転送テストを行います》


ここはとある会社の敷地内に政府の資金で建てられた実験場、目の前にはどこかの工場や試験場と同じガラス張りの壁があり、その向こう側には柵によって入らないように区分されている。


《皆様はガラスの奥、見学準備室の方へ移動してください》


勿論機械には誰も触れないように柵も頑丈に作られているが、何人かはその中へ入ろうとしていたりする。


《大変危険ですので柵の内側には入らないでください》


案の定研究員の声が場内にこだまする。

ガラスの奥、見学室には長椅子が10個、前方にはモニターが並びその手前にはテスト技師が腰掛けている。

宗助の父もその一人、心配そうにモニターを見ながら手に持ったタブレットのデータと見比べている。

蓄電池の電圧が必要なのは一時的に使用する電圧がとてつもなく大きいことに由来する。

いくつかの蓄電池にあらかじめ分散して電気を貯めて置いて、転送に必要な電圧を一気に放出するわけだ。

そうすることで本来の限界電圧をはるかに上回る量を使用することができる。

ただ、問題なのはその巨大な電圧を今まではどの国でも使用したことが無く、今回が初めての事だと言う。

今回は2か月前の小実験で使用した電圧の数十倍になる、だから全員が遮断された壁のこちら側にいなければ安全が保証できないと言う。

この実験場と同じ規模の施設が後2か所作られた、ここは都内某所の電気会社の構内にあり、もう2つは愛知県と福岡県に同規模の物がある。

そして転送装置の方も全く同じ物が用意されていると父から聞いていたりする、この情報は勿論誰にも話してはいけないと口止めされている。


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