捕虜として
捕虜として
2名の身の振り方は捕虜としてライズ族に任せる事になった、テレパシーによる意思疎通を可能にしたため、話して分からないと言う事は無くなったと思うのだが、ヤコブ族があまりにも従順なのがやはり気になる所だろう。
この2名は捕まったと同時に死を予定していたと言う、彼らの星では捕虜と言う考えはない。
最初に宗助が話した通り死を免れた場合は奴隷もしくは家畜としての未来しか無く、その後も永遠にそのレッテルが貼られると言う。
気になるのは12神王と言う人物だが、一般の神兵では彼らに面会する事すらできないのだと言う。
かれら2名が神王の姿を見たのは数十年前のパレードらしき式典であり、遠くからやっとの思いでそのパレードを見学した時の映像を少し見せてもらった。
ちなみに現在は12神王の内3名が交代していると言う、彼らの内一番権力を持っているのが
ゼロイス神王と言うヤコブ族を100年間、纏め導いて来た神王の一人だと言う。
人口は3臆を超えており、現在は増えも減りもしないと言う段階に入って安定期を迎えていると言う。
科学力はライズ族のおかげかさらに進んでしまったようだ、地球も同じようなものだが、それが今では問題事になってしまうとは皮肉なものだ。
《こちらの生体兵器は分析をしておきます》
《ああ分かれば俺が来る前に無力化できるかもしれないからな》
《かしこまりました》
《それじゃフィギュア部隊2名を置いて行くので何かあったら知らせてくれ》
知らせる方法は1年前に使った小規模惑星間転送装置、俺がスキルロボで作った発信器を地球上のどこかに転送してくれさえすれば自動で俺にしかわからない電波を発信し知らせてくれる。
まあその前に今は間宮さんからも知ることもできるので、敵からの攻撃が早まればすぐにわかるだろうからそれほど問題は無いと思うのだが。
この大きさの生体兵器が100機現れ戦闘が始まってしまえば、すぐに戦争を食い止めるなどと言うことはできなくなってしまう、ヤコブ族の船が大気圏外に現われた時にこの場に俺がいる事が一番望ましいのだが。
今回の出来事でライズ族のケガ人は5人ほどで済んだ、相手のヤコブ族が駆る生体兵器ガイアギアは打撃系武器しか持っていなかった事とその大きさが仇となった。
建物もそうだがいたるところの入り口がこの星では小さく作られている、そのため一部の建物以外移動が困難なのと、この二人が索敵やサーチなどの能力を持っていなかったことで人的被害は少なく済んだ。
そしてライズ族の方は2体のガイアギアに対してあの鉄玉を使用して根気強く相手が疲れるまで翻弄したのが功を奏した。
ちなみに生体兵器ガイアギア、ヤコブ族の精鋭だとしても10時間もすれば動かなくなるのだと言う。
超能力で動かす、その燃料は搭乗者自身の持つエネルギーであり、そのリミットが過ぎれば燃料切れ状態になり、強制的に仮眠状態になるよう設計されているらしい。
動きを止めた後はガイアギアの外殻が硬くなり敵からの攻撃が通らなくなるそうだ、その後は攻撃しても鉄の玉はほぼ弾かれたと言う。
ガイアギアの防御システムは自動で作動するが、その動きは防御のみであり30メートル以内に近寄ると動き出し主にパンチングで応戦するようになるが、あまりにも硬いそのパンチでこちら側の戦士が弾き飛ばされたと言う事だった。
燃料がまんま搭乗者の持つ生体エネルギーに由来するとなれば、そのぐらいが自動防御の限界になるのだろう。
【ここに置いて帰っても大丈夫かな?】
【宗助様、惑星YAK181に転送するおつもりですか?】
【ダメか?】
【彼らの記憶から調べた所、惑星YAKでは敗残兵は2階級剥奪です】
【それはどういう事?】
【奴隷階級に落とされます】
どうやら神兵の2つ下は奴隷であり、過酷な生活環境にさらされると言う話。
超能力のある民族なので地球人が考える奴隷階級よりもっと環境的に過酷になると言う。
【う~ん、それは考えたくないな】
【ここに滞在してもらう方が問題は少ないと思います、彼らの考えも研究できますしライズ族との交流も進みます】
【分かったそうしよう】
《それじゃ彼らの面倒は頼む》
《かしこまりました》
《もう帰るのですか?》平太
《何か聞きたい事でも?》
《えーと…》
何故か平太が恥ずかしそうな仕草をする、今までの彼からは到底考えられなかった行動だ。
《分かった、すぐに話そう》
俺は平太が何を考えているのか少し分かった、一応彼の思念が少しテレパシーに漏れていたからだ。
範囲指定で俺に向けて単独で交信するように投げかけられた質問、それはHに関することだとすぐにわかった。




