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嘘と本当

嘘と本当


そう言って俺は自分の頭を人指し指でコツコツと打つ、確かにやつらの宇宙船を送り返したときはパソコンを使用したと言ったが、それは嘘だそれならデータはパソコンの中のはずだが。

倒壊した家を調べれば分かる、パソコン関係は父親の部屋にあったが今では瓦礫に埋もれ壊れて使えないガラクタと化している。

調べても内部ストレージにあるデータにはそのような内容は無いと言っていい、だがここでその話を切り出したのは苦肉の策だといえる、これで俺が超能力とまでは行かないが、非常に稀な能力を持っていると話して置かないと後々面倒だからだ。

それでも全体の一部なのだが、そうしないとつじつまが合わないということになり、俺の嘘がばれるのは時間の問題となる、その後は何故嘘をついたのかと疑われるだろう。

そうなれば最後にはロボスキルまで話さなければいけなくなるからだ。


「君は能力者か?」

「僕の事、宇宙人ではと思っています?違いますよレントゲンで撮ってもらってもかまいません僕は地球人です、秘密にしていたんですが僕には完全記憶って言う特技が有ります、一度見るとその場面を忘れないっていう能力です」

「本当か?すごいな」


どっかのドラマで見たようなスキルだが、一応同じような能力ではあるので何とかごまかせるだろう。


「だがその装置データがあっても作れるものなのか?」

「それは分かりません、ですがそれを作らなければやつらが先に攻めてきて全てが終ります」

「どうすればデータをもらえる?いや虫が良い話だな君はそのデータを我々に提供してくれるのか?」

「はい、そうしないと僕達も終わりますから」

「分かったそのデータを貰うには何が必要だ?」

「とりあえずパソコンですね、ノート型でもタワー型でもかまいません」

「直ぐに用意しよう」

「USBも出来れば」

「それも手配しよう」


その後は宇宙人の詳しい情報と星の位置そしてテクノロジーの一端を会議室で話して聞かせた、詳しいデータは後でUSBにコピーして提出する形になるが、それでも自衛官の幹部達には仮想の話しにしか聞こえていないようだった。

だが全員があの悲惨な状況を目の前で見ているのだ、俺の話が嘘か本当かこの後パソコンを操作しデータを出して見せれば、疑う余地のない内容だと分かるだろう。

それを見て自衛隊がどうするのかはこの段階ではわからないが。

それに座標空間転移装置が今の地球の科学力で作れるかどうかもわからない。


「データのコピーはいつできる?」

「道具さえあれば2・3日で出せますよ」


そこに下士官が箱を持って訪れる、濃緑色のダンボールには陸上自衛隊謹製と書かれ。

箱を開けると同じ色をしたノート型のPCが出てきた。

マジ!、今まで見たことも無い自衛隊専用ノートPCしかも衝撃防塵耐水仕様、日の丸のマークもしっかり刻印されており、勿論N○C製。


「これを君にあげよう、陸自仕様だがスペックは今市場に出ているノートPCの数倍の能力がある」

「いいんですか使っちゃって?」

「かまわない、その代わり座標空間転移装置のデータは頼んだよ」


そう言うと同時にUSBも数個渡された。


「では本日の会議は以上だ、数日後呂方君からデータがきたら各自その内容を精査し改めて自衛隊としての会議をする、宇宙人からわが国を守るための会議だ、空自の三品さんにも言っておいてくれ」

「了解しました、では我々はこれで」空峰

「お先に失礼します」正木


航空自衛隊の2名はビシッと挨拶をすると直ぐに自分達の本部へと戻って行った。

ここでの会話は全て録音されており空自側にもデータは共有される、たぶん空自のトップは最初信じられないと思うだろう。

俺でさえ未だに起こったことすべてが夢のような感じがする、だが問題はこの話自衛隊に話したことでかなり大事おおごとになっていくのは避けられない。

最初は俺と母だけで対応しようと思っていた事だ、それを自衛隊に振ってよかったのだろうか。

だがまだ全部を話すことは出来ないし、俺の能力ロボ化を自衛隊員にまで拡張すれば敵の本部を叩くのに楽なのではと思うが、結果として俺は不自由な暮らしを強いられるだろう。

それが想像できてしまうのだから仕方ない、今はここまでその先は時が煮詰まらないとなんとも言えない。

家に帰ったら母とも相談しないと。


「次は呂方君からデータを貰い次第会議する事とする、以上解散」

「呂方君送っていくから少し待てるかな?」

「あ はい」


次々に帰っていく陸上自衛隊作戦本部のエリート達、後に残されたのは俺と赤松指令と岩田陸尉。

たぶんこれからの事や俺に対しての処遇などを話しているのだろう、ロボスキルのおかげで拡張音声聴覚機能で話し声は10メートル以上離れていてもよく聞こえる。


「ごめんね待たせて、話は終わったから帰ろうか」

「あ はい」


俺は貰ったノートPCを小脇に抱えると岩田陸尉の後ろを付いていく。

陸自の本部へ来たのも初めてだが、これからの事の方が今は心配でならない、もし自衛隊にデータを渡し、座標空間転移装置が出来たとして、たぶん敵の惑星に転送出来るのは人体にして数人が良いところ。

それが成功したとして相手のインベーダーと戦いマザーコンピューターをハッキングして敵を無効化できるとは現段階ではゼロパーセントといえるだろう。

まあその前に俺が敵の惑星に転移して無効化する方が早いと思うが、そうした場合敵の惑星はすでに無害な異星人に変更されているわけで。

そこへ自衛隊が訪れた場合どう対応するのかは見ものだが、まあそれはそれで戦争が無ければ良しとしなければ俺がこれからする事が意味のないことになってしまう。

自衛隊員がインベーダーと戦うところを見て見たいとは思うけどそれはどう考えても一方的に殺される場面しか思い浮かばない。

いくらなんでもそれはひど過ぎる、俺は血を見たいなどとは思わないし、母がやられた事を考えると今でもやつらを許せないのだから。


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