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眠る神兵

眠る神兵


中央都市メガロンのチューブシューター(移動通路)とは違いここのチューブは規模が小さいようだ、上空から見えていた都市も建物のほとんどが工場や倉庫のような作りになっている。

そして、その一部からは煙が上がっており、一部の市民が超能力を使用して火を消している所だ。


《主!》

《どういう状況?》

《2体の生体兵器は現在その動きが止まっていますが、近寄るとすぐに動き始めます》


2体ともに膝を付きかがんでいるような体勢になっている、そして生体機械と言う由縁はその体がわずかに動いているからだ。


《まるで息をしているように見える》

【眠っていると思われます】

【冬眠のような?】

【エネルギー枯渇による強制プログラムです、惑星YAKの衛星守備隊から得た情報にありました】

【中の生き物が限界を迎えた時に外殻である生体兵器が強制的に搭乗者を守るようになるわけか…】

【近寄るには条件があるようです、サイズ認定のようです】

【アーバン、クリスタル行けるか?】

【私達であれば反応しないかもなのですね】クリスタル

【分かりました、同時にやるのですね】アーバン

【これでダメなら別な手を考えよう】

【かしこまりました】

【はーい】

《俺の部隊が接触する、手を出さないように》

《はい》防衛部隊全員


2体のフィギュアはもちろん各種機能を作動させて誰の目にも見えず、そして2体の生体兵器の背後からゆっくりと近寄る。

取り付く場所は生体兵器の首の部分、フィギュアの身長は30センチ前後、総重量は1kも無い。

しかも俺が作った各種のエアロボ機器のおかげで空を飛ぶことも海へもぐることも出来てしまう超ハイテクAI人型エアシステムロボット。

相手の生体兵器の自動攻撃プログラムは幸い、そんな小さなフィギュアにまで反応することはなかった。


【取り付きました】

【リリーさん遠隔で中のシステムにハッキングは可能か?】

【やってみます】

【遠隔操作システム作動、対象個体名アーバン及びクリスタル、電波式設定プログラム作動】

【内部システムへの侵入開始】

【10%20%、ガードシステム発見、解除します、解除システム作動50%3・2・1・解除完了ハッキングを開始します】

【20%40%70%3・2・1、ハッキング完了しました、内部情報を解析します】


この状況は地球に朱里と平太がやって来た時と似ている、だが相手は超能力を持つ巨人が作った生体兵器。

他にもまだ知らない機能などが組まれていてもおかしくない。


【ヤコブ族は現在スリープ状態です】

【彼らにロボ化できないか?】

【そのためには彼らが生体兵器から降りる、又はだれかが搭乗者として乗り込む必要があります、無理におろすと彼らも目をさましてしまいます】

【そうか、わかった、もう近寄って平気なんだよな】

【はい防御システムは解除しています】

【この兵器の乗り方は?】

【手を外殻に触れると自動的に取り込む形になります】

(あ~昔見たアニメみたいなやつか…)

【腕だけを中に入れるだけでは済まないかな?】

【搭乗のシステムはそこまで複雑ではなく、乗ると降りるしか無いようです】


リリーさんがそう言うので面倒だが他の手段は諦めて中に搭乗することにした、ここでビビって乗るのを止めるとかはあり得ない。

フィギュアに丸投げすると言う手もあるが、中に乗っているヤコブ族を直接確認したいと言う興味もあった。

まあすでに無害化までは進んだのだ、後は中の巨人を無害化すること、それができれば彼らとの話し合い、いや彼らとの情報交換となるだろう。


【やってみよう】

《主、大丈夫なのですか?》

《ああ、リリーズに解除してもらった、だがまだやる事が有るから近寄らないでくれ》

《かしこまりました》守備隊


俺は巨体の一つに近寄るとその胸のあたりに手をかざす、既に1体の搭乗者が中にいるわけで。

別の搭乗者を受け入れてくれるのだろうか、まあリリーさんの話しだと緊急時のマニュアルには、この生体兵器には3名まで搭乗できると書いてあったと言う。

この巨体に3人まで乗れるとはどういうことなのか、まあ俺が乗ってみれば直ぐにわかるだろう。

手をかざすと、あっという間にその巨体の中へと飲み込まれて行く、まるで引き込まれるかの様。

リリーさんの能力で一時的に緊急時の搭乗者設定に変更してある、本来ならば外部の生物や異物を生体兵器の体内に取り込むなどと言うことはあり得ない。


【わわわ】

【ビビリですね主】

【しかたないだろう】

(中はこうなっているのか、なるほど…)


搭乗者は外殻である生体兵器と同じポーズで眠っている、しかもスッポンポンのようだ。

胴体部分だけにはそこそこの空間があり体のほとんどはジェル状の組織に覆われている、俺もその中に取り込まれたような状態になる。

まるで生きたままジュレで包まれたような奇妙な感覚だ。


【スキルロボ】

【対象の異星人をロボ化します、情報取得20%50%3・2・1・解析開始】

【個体名アマリア、性別女性、身長3メートル58センチ…】


何で女性の戦士を送ってよこしたのか、それと何故今なのか。

単純に考えられるのはこの2体の生体兵器と2名のヤコブ族は斥侯であることは間違いないだろう、朱里たちが地球へ来たときと同じような命令でやって来たのか、それとも他にも理由があるのか詳しく調べる必要がある。

ロボ化にしたまま脳を操りこの生体兵器からまずは降りてもらう、それが終われば二機目の生体兵器へと侵入させてもらう事にした。


【もう一台に搭乗していたのは男性でシンカーと言う個体名のようです】

【とりあえずこっちを先に降りてもらう事にしよう】

【かしこまりました】


まず彼らをロボ化して脳内のデータからわかったのは、彼らは惑星YAKの神兵であり。

今回、斥侯として進んで志願したと言う事、それからこの2体の生体兵器にはやはりこの惑星RIZが送った宇宙戦艦から手に入れた惑星間瞬間移動システムが組まれており。

しかもその装置は彼らの技術でずいぶんと小型化されている、もちろん移動の為のエネルギーも数百分の1で済むように改良されていたりする。


【なんかまずいな】

【彼らの科学力で改良が進むと、攻撃戦艦の航行スピードは10倍になります】


乗っ取った宇宙戦艦の航行システムをそのまま使うならば半年かかる所なのだが、このような改良版を組み込んだのならば、遅くてもひと月有れば惑星YAKからこちらへとやって来る可能性がある。

俺が惑星YAKの衛星に行ったのが2週間前ぐらい前、その時にはまだヤコブ族がすぐ攻めて来るような話は彼らのデータからは得られなかった。

一応衛星に派遣されていた10名も神兵と言う事で、宇宙戦艦で攻め入るのならばそう言う話は聞いていると思われる。

だが見張りである2名の搭乗者はそこまでの情報を持っていなかった。

まだいろいろと判らないこともある、衛星に配備されていた生体兵器の中から出て来た巨人は宇宙空間と言う事もありそれぞれスーツを着ていたのだが。

今回惑星リズに現われたヤコブ族は何の服も布も纏っていない事だ、これが何を意味するのかそこも調べておかなければ。


【瞬間転移に何かデメリットでもあるのか?】

【無いとは断言できません】

【調べてみないといけない事が色々有るな】

【はい、ですがその前に彼女を起こしましょう】

【ああ脳内情報は安全に設定しておいてくれ】

【かしこまりました】

「ここは?」

「起きたか?」

「私に何をしたの!」

「俺は宗助、アマリアだったよな」

「そうよ、何で知っているの?私の名前」


彼らの言葉は古代ギリシャ時代の言語に近い、翻訳アプリからギリシャ語の同時翻訳システムを使用して彼女とコンタクトしている、前回もこのアプリでヤコブ族とコンタクトできたので問題は無いだろう。


「あなたの頭の中を調べさせてもらった」

「それで私を殺すの?」

「君の星では捕虜は殺すのか?」

「…」

「野蛮だな」

「それが戦争でしょう」

「共存という考えはないと言う事か?」

「奴隷としてならばあり得るわ」

「じゃあ君は今日から奴隷と言う事で」

「殺しなさいよ!」

「やだね、ああ 言っておくけど君は自殺も俺や他の種族を殺すこともできないようにしておいたから」


そう言うと彼女をそのままにして2機目の生体兵器へと俺は手を伸ばす。

中には男性の搭乗者が1名、こちらも衣服は身に着けておらず裸のまま。

身長は4メートルを超える、生体兵器の胴体部分が6メートル前後だから、こちらはかなりギリギリの大きさだと思う。


【スキルロボ】


こちらの情報も抜き取りリリーさんに頼んで無害化処置をしてもらう。


「起きたか」

「な 小人」

「失敬な、まあそんな事はどうでもいい、君達は今日から俺の奴隷らしいよ」

「彼女は?」

「無事だよ、一応仲間の心配はするんだね」

「とりあえずここから出て」

「搭乗解除」


2名の巨人族(ヤコブ族)、2名共に見上げるぐらいの身長、そして何故かスッポンポン。


《とりあえず彼らを収容できる場所は無いか?》

《この都市ですと第三格納庫になります》


食糧管理都市の農作業用のロボット格納庫、彼らの大きさから考えると何をするとしてもそのぐらいの大きさが無いと何かと不便だったりする。


「君らの超能力は?」

「我らは強化能力と個別に持つ能力、そしてこれだ」


そう言うと目の前に布のようなものが現れる、それは初めて見る能力だった。

そしてその能力はどうやら俺のような能力者に付与された超能力らしい、彼らは部族ごとに特殊能力を所持していると言う。


【インベントリーもしくは亜空間収納能力とも言われています】

【おおー】

【主も使えますよ】

【え?マジ】

【彼らのデータから取り込んでおきました、但しこの能力もエネルギーを消耗します】

【どのくらい?】

【大きさによって様々ですが1メートル四方で100kカロリーです】

【洋服一式でカロリーバー半分か、なるほど…】


リリーさんと会話していると、いつの間にか2名共に空間収納の超能力で洋服を取り出すと目の前でそれを着始めた。


「やはり裸では落ち着かないからな」

「何故、搭乗している時は裸だったよな?」

「ハクシオ(博士)の話だと宇宙空間をまたいで瞬間移動する場合、通常の活動エネルギーでは足りないらしい、この生体兵器ガイアギアは皮膚との接触が多いほどエネルギーの取り込み効率も増えると言う話だ」

「なんでバラすの、シンカー!」アマリア

「抵抗するのは無駄みたいだよ、多分彼には抗う事すら無駄のようだ」

「え?」

「アマリアは独身なのか?」

「まだよ、一応相手は決まっているけど、そこにいるシンカーは幼馴染って言うだけよ」

「え?そうだったのか、ショックだ」シンカー

「ほ 本当に抗えないのね…」

(話すつもりなんてなかったのに)


どうやら2名は幼馴染でありシンカーの方はアマリアに好意を抱いていた様子、俺の質問に抗えないように脳の中をロボ化で細工してある為、今まで隠していたことでさえ俺の前では暴露してしまう。

まあそれでも特に2名ともこの状況になってもあまり心配などはしていない様子、どうやらヤコブ族はそういう細かい事は気にしない民族ようだ。

外見も筋骨隆々でアマリアの方も腕の太さはかなりのもの、2人とも腹筋は6つに割れていたりする。


「服を着終えたなら移動しよう」


民族服のような着衣を身につけた二人、地球のような服とは違いかなりゆったり目の布のようにみえる。

この服ならば体型はさほど気にせずに済むが、2人共にその外観もあるが筋肉の発達は見ていてうらやましい限りだ。


《主こちらです》ベジタール守備兵

「二人ともこっちだ」


何人かのライズ族に先導されて食糧管理都市ベジタールの第三倉庫へと移動する。

倉庫の中へは少し坂を下るようになっているがその倉庫内には洗浄システムと除菌システムが有り、植物を洗い選別する装置が組み込まれている。

そして倉庫内での保管をアシストする為のロボットが数機、なるほどヤコブ族の大きさは作業用ロボットとほぼ同じ大きさだった。


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