惑星RIZ食糧管理都市(ベジタール)
惑星RIZ食糧管理都市
毎月1回、最近ではつい先日訪れた惑星リズ、大気圏外からは緑色一色に見えるこの星だが、そこへ徐々にではあるが青色も交じり始めた。
汚れ切っていたはずの海が本来の色を取り戻しつつあるからだ、確かに様々な浄化装置を沢山投入したおかげなのだが、科学力が進んでいるとこんなに早く浄化できるとは思ってもみなかった。
《朱里!平太!》
《主!いらしたのですか!》
《ああ敵が侵入したって言う情報を聞いたんだが、どんな状況だ?》
《現在は膠着状態です》
《膠着状態?食料管理都市だったよな、今すぐ行く》
《お待ちしております》
マザーがいる中央都市から数百キロ、俺は中央都市ではなく大気圏外からすぐに食糧管理都市の一つベジタールの郊外へと転移した。
約5k離れた場所には緑が生い茂り、かなり植物が増えた事が分かるが、これでは足で移動するのが難しい。
すぐにエアサイクロンエンジンと重力制御装置を稼働させて地面から約5メートルの空間を移動するように設定する。
【植物がすごいな】
【初期に生息していた植物ではなく別の船からもたらされた植物ではないかと思われます】
その植物は葉っぱが少なく棘が多い、いわゆるサボテンに近い。
確かに今のこの星は平均気温が30度を超えており湿度も高いと聞いている。
【この気温と湿度が原因か…】
【確かにそのようです】リリー
《主!》
《敵の様子は?》
《どうやら敵はエネルギー切れの様です》
《それなら取り囲めばすぐ捕獲できるんじゃないのか?》
《どうやらセキュリティシステムが働き、中の操縦者の意思とは関係なく防御攻撃を始めるようです》
《自動防御システムか…》
《半径30メートル以内に近寄ると動き始めます》
《俺のフィギュア、カラフル戦隊リリーズを使う、皆は何もせず待機していてくれ》
《かしこまりました》
思念を読み取り場所を特定するとすぐに俺は移動を始める、目の前には壊されたと思われる地上の出入り口、この食料管理都市も地下にある。
地下にいる事で外気の毒や放射能を防ぐことができるが、惑星リズの住人も空気(酸素)だけは大気から取り入れなければならない、それは育てている食料系の植物も同じ事。
そして空気はこの地上に出ているダクトから取り入れる為、都市のある地上にはいくつもの吸気排気口がある。
その大きさは一つ直径30メートルもある建造物のように見える。
外から見るとそのいくつかが壊され、煙のようなものが上空へと上がっている。
【耐熱防護、耐炎装置展開、呼吸支援装置始動、防護レベル10へ変更】
【行こう】
【かしこまりました】リリー
【はい】アーバン
【ワクワクします~】クリスタル
カラフル戦隊リリーズの30センチフィギュア2体を引き連れて黒煙が上がっている吸気口からの潜入を試みる。
瞬間移動をするにはテレパシーでの座標確認が不安定だからだ、行動している対象者が
多いのもあるが何処に移動するのか決めにくい。
それならば侵入者がたどった跡をなぞった方が良いのかもと考えた。
「グオングオン」
【なんだ、この音】
【換気装置の音では】
中に入って行くと換気のための口が2つに分かれている、現在は排気口とみられる場所から黒い煙が、そして吸気口の方には壊されたダクトから半分が吸い込まれてしまい、これでは吸気できても半分は黒煙にまみれてしまう。
【こちらに制御の出入りポータルがございます】
【俺の認証コードで動くのか?】
【宗助様は全権を任されておりますので全システムフリーパスです、手をかざしてみてください】
白いコンクリートのような壁に一か所だけ金属のようなパネルがある、その表面はなめらかでどこかのタッチパネルを思い出すが、違うのはそれ以外他に何も無い事だ。
俺がそのパネルに手をかざすと、パネルに幾何学模様の光が走り、ポッカリと縦2メートル幅1メートルの穴が開く。
【この先か】
【はい】
少し進むと後ろのパネルが閉じ、今度は先のパネルが開くと言った状況、内部のシステムまでは壊されていないようだ。
内部は薄く青白い光が灯っているので通路を進むことに問題はなさそうだ。
そうやって通路を先へと移動すると、目の前に食料生産拠点である広大な空間が現れる。
ここは天井にある移動パイプの中、超能力で移動する彼らは歩くと言う概念がないため。
俺もエアサイクロンエンジンを使用してパイプの中を移動することにした。
パイプの中から見る都市空間、空気を取り入れる為に開いている天井の穴が壊されている、多分そこから侵入したのだろう。




