閑話 母の秘密2
閑話 母の秘密2
宗助が美女二人を連れて家から出て行くと、残された4名は互いの情報を得ようと必死になる。
まあ母だけはさほど焦りもなく、息子を好きになった少女達を実母のように見ていたりする。
「でもどうして、前までは能力者だって教えてくれなかったじゃない」アイリーン
「そうだっけ、多分あの後目覚めたんだと思う」
「そうなんだ…」
「それで百合ちゃんの力ってどんな?」エミリア
「それは秘密」
「え~ケチ」
「多分バリアみたいな能力?」アイリーン
「そんな感じかな、でも自分でもよくわからないの」
「ママさんは?」
「私のはね、能力なのかな~」
【百合ちゃんと違う能力って事にしておくからね】
【あ ありがとう、別な力じゃないとおかしいと思われるかもしれないからですね】
【でもあまりおかしなこと言うと感付かれたり?】
【そう言えば宗ちゃんリンちゃん達もロボ化するとかしないとか・・・】
【うーんそうなるとあまり話すのは宗ちゃんにとってマイナスになっちゃうかもしれないのか~】
【どうします?】
【実はね誰にも話してないけど私他にも能力あるのよね】
呂方美土里は宗助の母である、元小説家であり今は休業中なのだが宇宙人侵略の際彼女は一度死んでいたりする。
それは宗助が救助に来るまでの約10分間と言う短い時間だった、彼女はその時どう見ても死んでいたはずなのだ。
そしてその10分間に不思議な現象が起こった。
その時の事を思い出す美土里、大きな音と共に天井が壁が壊れあっという間に下敷きになった。
足も腕もいつの間にか瓦礫に阻まれ動かすこともできない。
そして急激に寒さが襲う、意識がもうろうとなり呼吸も止まり心臓の音さえ遠ざかって行く。
だが、それからどのくらいたっただろうか、まるで夢の中のような景色にポツンと取り残された。
(ここは)
(再生の地)
(だれ?)
(うふふ)
(なに?)
(この世界は、貴方が元になっているのよ)
(なんのこと?)
(無限の世界)
(私の書いた小説…)
(その主人公はあなた)
(え~はずかしいな~あの小説は私がまだ高校の時に書いたんだから)
(異世界からの訪問者)
(ええ実は自分もそうだったと言う話)
(うふふ)
(笑うとこ?)
(ご自身がそうだと気が付かない?)
(わたしが!ないない、普通の人だもの)
(自分をプロデュ―ス)
(そういう能力を持つ少女の話だっけ)
(その後いくつもの小説を書き、全てがベストセラー)
(苦労もしたけどうまく行ったわ)
(それこそが力)
(でもここにいると言う事は私…)
(ええ、息は止まり心臓の鼓動も止まったわ)
(マジ…ほんとに死んじゃうのか私…)
(そうかもしれないしそうじゃないかもしれない)
(私の物語は確か自分自身をプロデュースする、じゃあ高校の頃から?)
(そうよ、貴方は自分の書いた物語のように自分をプロデュースする事ができる)
(確かにそんな力が欲しいって願ったことがあったわ)
(瓶底メガネで引っ込み思案な美土里ちゃん)おばあちゃん
(変えられるよ)おじいちゃん
(能力、貴女の力)母
(私の力)
(物語は)
(自分で…)
自分の周りから母や祖母の声がする、懐かしい声と微笑んでいる姿。
走馬灯のようにそれらが入れ替わり自分に話しかけて来る。
自分が死ぬ、そしてその場に自分の息子である宗助が助けに来ると言うシナリオを死の間際に描いていた。
だからその力で自分が助かったとしてもあまり驚きはしなかった、ただまさか宗助にも力が発症しているとは思わなかっただけ。
「ええとね、私の力は応援かな…」
「応援?」
とっさに思いついた言葉、多分自分の能力はこれなのではないか?いやそうかもしれないと言う願望、彼女の能力が何時発症したのかはわからないが。
それを聞いて3人の娘たちは何故か納得してしまう。
美土里は少しはにかみながら過去を思い出し3人の娘たちにそう答えた。




