交換条件とは
交換条件とは
まさか俺の能力を話せと言われるかと思ったのだが、彼女の話だとアイリーンとエミリアに化粧品のコマーシャルに出てくれるよう説得をしてくれないかと言う事だった。
それはそれで何かまた無理難題のフラッグが立ちそうだが、彼女の能力を知りたい気持ちの方が少し勝ってしまった。
「少しぐらいなら構いませんが、彼女らはUSSJに所属しているのでは?」
「もちろんそっちにも話は通すわよ、根回しって一つや二つは当たり前なのよ、私は確実に仕事をしたいのよね」
「さすがです、勉強になります」
「あなたって本当に高校生?」
「そのつもりですが、イリアさんの言っている事は分かるつもりです」
「大学卒業したら私の元に来ない?」
「今から青田買いですか?」
「はやいかな~」
「確かに野球ならドラフトはこの時期ですけど、いったい何の能力を買われているのでしょうか?」
「超能力を一つ持っていればそれだけで引き抜く理由になるわ、しかも私の勘は貴方が持つ能力は3つ以上と見立てているんだけどね」
【宗助様不味いですね、後で記憶操作してしまいますか?】
【いやイリアさんの持つ能力を知ってからの方がよさそうだ】
【かしこまりました】
【下手に探って敵対認定されたら面倒な気がする】
彼女は自分から能力をばらすと言って来た、知りたければ協力してほしいと。
人が欲しい情報をうまく利用して相手に難しい仕事を押し付ける、いや押し付けるのではなく仕事を有利に運ぶための枷を嵌めるのかもしれない。
だが彼女の言葉にもそのしぐさにもこれと行って俺の脳へ侵入するようなハッキング能力は無いと思われる。
そういう能力だった場合すぐにでもリリーさんから侵入されたとの報告があるはずだから。
「ここじゃ話しづらいからまた後でね」
「お客さん着きましたよ」タクシー運転手
「有難う、これでお願い」
俺が支払おうとする前に自分からさっとカードを出してくる、しかもブラックカードだ。
「バタン」
「もう帰って来ているはずよね、お邪魔しても良いかしら」
「ええ多分」
【百合ちゃんそっちは?】
【居間でお話し中】
【メアリーちゃんもいるわよ】母
さてさて、まさかこれから6人もの美女に囲まれて俺は何を話していいのやら。
勿論ここまでの話を母と百合ちゃんに脳内通信で説明しながらアイリーン姉妹とも話をしなければならず。
しかも今回アイリーン姉妹が気絶する元凶になった組織の一員であるイリアさんの片棒を担がなければならないのか、それとも他にもっと良い作戦が思い浮かぶだろうか。
そんなことを考えていると家の扉を開けるのが少ししんどくなってくる。




