嘘の情報
嘘の情報
安全の為だからと言ってまるっきり嘘の情報を植え付けると後でボロが出る可能性がある、つじつまが合わなくなってくるからだ。
面倒だが完全記憶とそして軽い治癒能力がある事はそのまま記憶の中に残すことにしたのだが。
病人あるあるの状況がまさに目の前で起こったりする、生命維持装置からいくつかの警報音があふれ出す。
もちろん各種の点滴は既に抜いて酸素マスクも外しているのだから警報が鳴るのは当然だ。
「ピーピーピー」
「バタバタバタ」
おもむろに病室のドアが開け放たれる。
「間宮さん!」看護師
「嘘!眠り姫が起きた!」
間宮さんの事をそう呼んでいたんだなるほど、確かにまだ20代だし女優だし。
看護師が数人病室に入って来るとすぐに担当医を呼ぶ、いままで動く事さえなかった患者がいきなり起きたのだから奇跡と言うしかない。
その前に里谷さんの情報操作も完了したのでタッチの差か、だがこのことが世間に知られたらどうなるのだろう。
《リハビリ頑張って、慣れないだろうけど》
《有難う、本当にありがと~》
《君は救世主だ》里谷
もしかしたらアイリーンや詩音はこの場面をどこかで未来視したのかもしれない。
(最初に俺の事を救世主って言ったのはアイリーンだったよな…)
救世主、その言葉の意味が大きく俺の上にのしかかる、ここは病院であり俺の力を使えばこの病院に入院している患者全員どんな病気でも元通りにできるのだ。
だがそれをした場合どうなるだろう、多分神と呼ばれるより悪魔かもしくは化け物と呼ばれることだろう。
人間の寿命を否定する能力、入院している患者の中には死を予定された者もいる、そんな人物が死なずに生き残ればその家族は喜ぶのかはたまた悲しむのか、俺の力は使う所を間違えてはいけないのだと思う。
ロボ化を使い体は元通り動くことは動く、但し今まで寝たきりだったため筋力は完全に落ちているし。
体を流れる血液の中には成人女性が必要な栄養が足りないのも確かだ、点滴だけで1年半生きて来たのだ、第二の人生だと思って頑張ってほしい。
《ヤッパリ君は宇宙へ行けるのね》
彼女に残した記憶は一部改竄し、足りない部分を補足しておくことにした、一番面倒だったのは彼女の能力が地球以外の生物に限定されている事だった。
それだといくら改竄してもまた宇宙人の記憶を取得するたびに彼女の記憶を改竄しなければならなくなる。
超能力自体を取り除くのは俺にでさえできない、それは下手をするとその人の人格や記憶を破壊してしまうかもしれないからだ。
だから俺が宇宙に行ける事は削除せずに、口外(他人に限定)しないと言う制約を組ませてもらう事にしたが、こうやってテレパシーで俺に話すことは可能にしてある。
そう彼女は超遠隔地生物への憑依能力を持っていた、それは限定的であるがゆえに宗助にとってかなり面倒な能力でもある。
《もしかしてまだ情報がおかしかったりしてます?》
《大丈夫よ、今はちゃんと時系列が繋がっているし宗助君が悪者じゃなく神様みたいな人だってわかったから》
《今はこんな状況だから宗助君に協力するのは無理だけど、良くなったら力になりたい》
《…》
《なんてね、うふふ》
《俺をのけ者にして2人で何?》
《別に~》
《宗助君俺も力になる、テレパシーぐらいしか使えないけど、それでも力になりたい》
《分かりました、お二人の事は考えておきます》
《いつでも連絡してくれ、そのためにテレパシーは付与したままにしておくから》
《分かりました》
ちなみに彼の使っているテレパシーはライズ族(宇宙人)が使用する通信帯と違うので周波数を合わせないと全員まとめてテレパシーで交流することはできなかったりする。
専用の電波帯を今回開通したことにより、いつでもどこでも強く願うと彼とお話ができるようになった、もちろん間宮さんとも同じ通信帯なので話せることになる。
だがこのことがまたもや問題を発生させてしまうのだから超能力って面倒くさい。




