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KO大学総合医療病院

KO大学総合医療病院


ふらつく2人を母と百合ちゃんが支えて、メアリーさんが帰りのタクシーを手配する。

通常のタクシーでは小さいためワンボックスタイプのハイヤーを呼ぶことにしたようだ。

そして俺と今日知り合ったばかりの里谷は別のタクシーに乗り込み一路大学病院へ、どうやらそこに女優の間宮ヒカルが入院しているらしい。

時間的にはまだ面会可能なので里谷はスマホのアプリから病院のサイトへ面会の予約を入れる。


「なんか悪い事をしたみたいだね」

「いいえ、いらぬ誤解は解いておかないと、それに…」

「それに?」

「何でもないです」

「そうだよな、彼女の早とちりだったら、本当にすまない事をした」

「どこでどう間違って記憶しているのか調べないと、間宮さんのような人が他にもいたら俺は悲しいですから」

「そ、そう言う事もあるのか、なるほど」


どうやら今の所彼しか宇宙人の話は知らない様子だ、なにせ彼女(間宮ヒカル)は植物人間状態なのだから。


「着いた」


タクシーのドアがすっと開き俺達は大学病院のエントランスへと歩いて行く、里谷さんは変装の為か帽子とサングラスをかけていたりする。


「本日面会の予約を入れた里谷です」

「少々お待ちください」


面会担当の警備詰所で札を貰い腕に着ける、大きく面会と緑色の字で書かれており帰りには同じ場所へ返しておくのだとか。


「これを付けてくれ」


受け取ってすぐに腕に着けると彼はすぐに歩き出す、この建物は15階建てになっておりいくつかの建物は空中回廊で繋がれている。

普段の病床数は800床、有事の際には2000床まで確保できると言うマンモス病院だ。

1階のエレベーターで5階の個室エリアへと進んで行く、植物人間 医療の現場での状態なので俺は今までそういう状態の病人を見た事は無かった。


《里谷さん!》

《ヒカルちゃん連れて来た》

《怒ってない?》

《それは本人に聞いてくれよ、君の姿を見れば怒るに怒れないと思うけどね》


病室の扉を開けるとベッドの横には生命維持装置が幾つも置かれている、そして窓際には黄色い花といくつもの贈り物が見える。


「ファンからだね」

「ああ」

「俺もテレパシーいいかな?」

「ああ、今つなぐ」


里谷の能力はテレパシーだけではない、彼は相手にもその能力を付与したり取り除いたりできる。

このテレパシーと言う能力、普通は自分の意思を伝える事が出来ても相手の意思を読み取ることはできなかったりする、要するに普通ならば一方通行の能力なのだ。

それを相互にできると言う事は同じ能力を人にも与える事ができると言う事になる。

その部分だけであればもしかしたら俺より優れているのかもしれない。


《来たよ、これまでの事を話してくれないかな》


そこからは里谷さんと一緒に彼女の話を聞くことになった。

記憶の断片を少し聞いたところで、何故誤った認識をしてしまったのが明らかになる。


《それじゃやっぱりおかしいよね》里谷

《そうなの?》

《だって宇宙人の話は断片でしかないし、宇宙人と協力して戦うって所もほんの一部だし》

《だって~》

《まさかその断片を変につなぎ合わせて宗助君に全責任を負わせてしまうなんて…》

《ごめんなさい~》

《ごめん宗助君、俺も彼女の話をうのみにしてしまった、この通りだ》


まさか里谷さんが病室で土下座するとは。


《やめてください、別に怒ってないですよ、そりゃ少しは残念に思いましたけど》

《いやちゃんと謝らせてほしい》


参った、TVの中で見た大河ドラマの主人公が目の前で土下座するのだ、恥ずかしいと言うより逃げ出したくなる。


《それより僕の話も聞いてもらえませんか?》

《もちろん何か俺にできる事なら聞くよ》


目の前に苦しんでいる人が居たら助けたい、だがそうすると俺の能力は彼らにばれてしまう事になる。


《俺の能力で彼女を元通りにすることができるかもしれない、だけどこの事は誰にも話さないようにしてもらいたいんだ》

《それはどういう?》

《彼女に俺の能力を使用する、今まで誰にも話していない能力だ。そうすれば今の状態を改善する事が出来ると思う》

《本当に!》

《多分、前にも何回かやってうまく行った事が有るから》

《どうすればいい?》


簡単な話だ、ただ彼女の手を握るだけ、そして「ロボ発進」と叫べばよい。

最近では心の中で叫ぶだけでロボ化できるようになった、病室内なのに生声で叫ぶなんて恥ずかしくて無理なことだったが、今ならばそこも解決済みだ。


《その代わり里谷さんにも俺の力を使用させてもらうけど良いかな》

《彼女が今より改善するのなら俺は何でもする!》

《じゃあまずは彼女の方からやるよ》


ベッドに横たわる女性は生きている、但し体は全て動かすことができない、生命維持装置が無ければ数分で心臓も肺呼吸も全て止まり死んでしまうだろう。

もし脳内が損傷して彼女の意識まで無くなってしまっていたのならば、俺の力でも元に戻せるかどうかは分からなかったが。

脳の記憶中枢がほぼ無傷ならばロボ化を施して解除することでほぼ元通りになる可能性がある。

その代わり彼女の記憶を少しいじって俺の能力が他人に知られないようにしておくことが最低条件になる。


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