大きな勘違い?
大きな勘違い?
最初の棘がある内容から少し落ち着き始めた二人、そこで相手の状況を知るために名前を名乗ってもらう事にしたのだが、まさかと言うかやはり宇宙戦艦襲来で再起不能になっていた悲劇のヒロインだった。
間宮ヒカル(26)女優であり、昨年の宇宙戦艦の襲来で致命的な怪我をする、里谷時雨とは劇団で知り合い、恋愛中と噂されたこともあったが現在は宇宙戦艦の殲滅ロボットの攻撃による怪我によって、どこかの病院にいると言う噂は聞いている。
ようやく本人の口から能力と性別が語られた、まあ名前を聞いたことで分かった事なのだが。
《あなたの能力は先読みかそれとも憑依?》
《…》
《ちゃんと調べもしないで、人を悪者扱いしないでほしいな》
《だって私の憑依能力で見たんだもん》
《それは断片的にじゃないのか?》
俺の推測はこうだ、彼女は憑依能力者である、あの宇宙戦艦襲来から今日までで俺が宇宙人と共闘したのは超越者達との連携の時である。
確かにマザーを無害化した事はある、だがそれだとしたら俺が戦っている姿を見たならばすぐにわかるはず相手も宇宙人だったのだから。
俺は今までに宇宙人を含めて直接人を殺した事は無い、これからもそれは貫くつもりだ。
間宮さんは憎い宇宙人達とのつながりがある俺の存在を、そこにいたと言うだけで自分を傷つけた事と、俺が関わっている事を短絡的に結び付け、元凶になる人物が俺なのだと決めつけてしまった。
《それって誰の記憶?それにいつの記憶なの?》
《そ それは…》
《断片的に情報を手に入れてもそれは確実な証拠とは言えないんじゃないのか?》
《え・ヒカルちゃん!そうなのか?》里谷
《…》
(ちゃんと調べもしないで、まじかよ)
《まずは名前を教えてくれ》
《間宮ヒカル》
《もしかして清純派女優の?》
まさか全く知らない所から俺の能力がばれてしまうとか、しかもこれは俺にとって寝耳に水もいい所であり、この後の話によっては罰ゲームに近い頼み事を請け負わなければならなくなるだろう。
《はー》
「宗ちゃん、どうしたの?」百合奈
百合ちゃんが心配して駆けつけた、アイリーン姉妹はイリアにつかまってこちらへは来れない様子。
母は詩音さんにガッチりキープされてしまった。
「どうやら彼は助けてほしいって事みたいだよ」
「えっ、どういう事?」
《そういう事にしておかないとこの場では、ややこしくなる》
《わ 分かった》
「ああ 彼に手を貸してほしいことが有ってね」里谷
《それでこれからどうするんだ?》
《できればすぐ会いたいんだけど》間宮
《あなたは何処にいるんだ?確か事件後入院しているはずだよな》
間宮ヒカルは宇宙人の侵略による殲滅ロボットの攻撃で入院したところまでは知っている、その後どこにいるのかは週刊誌でも知らされていない。
あの事件後、何処の家庭でも大なり小なりその傷跡を背負っている、彼女もその一人なのだろう。
「それじゃあこのパーティが終わってからでも良いか?」
《パーティが終わったらでも良いか?》
《それでいいわ》
「ああそれでいい、俺が案内する」里谷
「私もいっしょに行っていいかな?」百合奈
「え?」
《友人も連れて行くけど構わないか?》
《…》
《女の子だ》
《仕方ないわ、でも…》
《見られたくないなら外で待っていてもらう》
《分かったわ》
多分病院のベットの上で今でも酸素吸入器を取り付けられ、はたから見ればただ眠っているように見えているのだろう。
だが彼女の能力が何であれ、ちゃんとこちらの今までの行動を経緯も含めて説明しておかなければ、いつまでもいらぬ誤解を抱いたままになってしまう。
それに一番の問題は彼女の能力で俺が宇宙人と会っている事がばれてしまった事だ。
彼女が何時どの星の誰の記録を手に入れたのか、そのあたりもしっかり聞いておかないといけない。




