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憑依能力

憑依能力


いきなり腕を掴まれたが、だからと言って拒否するのはこの場にそぐわない。

まあ失礼だとは言えなくもないが、だからと言って腕を振りほどくまではいかない。

何故ならその人物は有名な芸能人だったから。


《話すフリだけで良い》

《テレパシーか?》

「初めまして、里谷時雨だ」

「あー映画俳優の、俺は呂方宗助と言います」

《そんな事知っている》


どうやら少し興奮しているのか端正な顔立ちとは裏腹に、やや怒気がこもった声が宗助に浴びせ掛けられる。


《ここからはテレパシーで話そう、そうしないとおれが怒っているように見えてしまう》


確かにその声は大きくアクセントもかなり強い、初めて会う人に怒鳴られるような事はしていないはず。

声を出して話しているとまるで宗助が一方的に文句を言われているように見えるだろう。


《なんです話って?》

《お前宇宙人に何をした!》

《何を?》

《知っているぞ、全部お前が計画したのか?》

《その前に落ち着きましょうよ》

《俺は惑星YAK、そして惑星RIZにお前が行って何をしたのか全部知っているぞ!》


どうやってそれを知ったのか?今まで母と百合ちゃんにしか話したことなど無い、行ったことは事実だがこの雰囲気はまるで俺が宇宙戦艦を地球によこした張本人だと断定してしまっているようだ。


《何の事?》

《お前がたきつけたんだろ!》

《は?》

《昨年の宇宙戦艦襲来も惑星YAKの宇宙人達を殲滅する為の作戦も!》

《ちょっと待て!どういう経緯だ?その話は何処から聞いた?》

《俺の友人だ》

《その話、本当だと思うのか?》

《もちろんだ、俺も見たからな》


どうやら彼は誰かからこの話を聞いたうえでその内容を間違って伝えられているようだ、しかもその内容はかなり偏った情報であり、何らかの悪意を感じてしまう。


《その話が本当だとして、俺にとって宇宙人をたきつけて何の得がある?》

《お前USAやUKから多額の金を貰っているだろう!》

《そこからか…》


どうやら俺の超能力によって得られた収入が宇宙人絡みだと言う事だけを知ったようだ、だがそれだけでどうして俺が地球侵略を計画したことだと結びつけてしまうのか。


《それでその話を信じたとしてどうするんだ?》

《金を貰うと言う事はその国を脅していると言う事だよな》

《あ~ そうか、なるほどそれで?》

《お前は殺人者だ!》

《お前の友人は詐欺師か何かなのか?》

《なんだと!》

《まずはその友人とやらを連れて来い!あんたを使って罠を仕掛けたりせず自分で文句を言いに来いってな》

《そう来たか》謎の声

《だれだ!》

《私はそこには行けないんだよ》

《なんで?》

《ベッドの上からはね》

《ベッド?病人、怪我か?》

《ああ、医者からは二度と動けないと言われた、体は動かないし目も耳も口も動かない、だが頭だけはちゃんと機能している》

《それで何がしたい?》

《私をこんな姿にしたのはお前じゃないか!》

《言っておくが俺が能力に目覚めたのは宇宙戦艦が襲来した日から1週間前の秋葉のエレベーター事故だ》


秋葉原のエレベーター事故、宇宙戦艦の襲来よりも少し前の話、宇宙戦艦の陰に隠れて今では思い出す人も少なくなったが、

ニュースにはなったので世間の出来事に相当疎い人でなければ知っているはずだ。


《え?》

《宇宙戦艦は惑星RIZから地球に来るまで1年かかる、どうやって俺が仕組むんだ?》

《…》

《どういうこと》

《どこかで間違って記憶してないか?》


話の内容を精査すると目の前にいるイケメン俳優は病床にいる友人から今回の話を聞いて、俺に直接文句を言いに来たらしい。

だが俺には何のことだかさっぱりだ、だが彼がテレパシーを使えると言う事で、内容はともあれ情報を断片的にではあるが病床にいる友人から手に入れた事は本当らしい。

しかも、もう一人は彼を仲介してテレパシーを使用しているのだろう、外見が朧気おぼろげなのでテレパシーでは性別も分からない。

それが彼なのかそれとも彼女なのか、彼の超能力であるテレパシーでは相手の怒気と内容は伝わるのだが、その言葉はかなり乱暴であるため人物像までは判断できなかった。


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