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そこは巣窟

そこは巣窟


タクシーで約20分、時刻は12時を5分ほど過ぎてしまったが、俺達がホテルに着いた後もパーティ参加者らしき人物が続々とホテルのエントランスへと到着する。


「芸能人?」

「と言ってもおかしくないぐらいのオーラを感じるね」

「こういう雰囲気久しぶりかも…」母


フロントへ行くと会場へとボーイが案内してくれるようだ、場所は2階の一番大きい会場と聞いている。


「こちらです」


既に会場の入口には人だかりができており、受付で何やら名札のようなものを配布している。


「こちらにお名前を記入してください」

【宗助様この用紙は超能力が込められています】

【でも書かない訳にはいかない】

【また私の分身を使いましょう】


一応用心の為にUKでサインした時に作ったリリーさん2号の人格を使いサインしてもらった。

そして全員分を代筆する、もし洗脳や呪いのような仕掛けがしてあってもこうすれば問題は回避できるだろう。


「…ではこちらを胸に付けてください」

【名札の方も何か仕掛けがありそうです】

【これは拒否できそうもないな、仕方がないな】

「皆これを付けて」


名前は既に記されており、危険な人物が来た場合や嘘偽りのある参加者等はここで排除することになっているようだ。


「来たわね」蓮華

「ハーイ、宗助」メアリー

「こんにちは蓮華さんメアリーさん」

「…」

「ユリナ綺麗で~す」

「あ 有難う」

(この人?)エミリア

(そうよ私たちの敵)アイリーン

(お 大人の雰囲気、負けないんだから!)バチバチ!

「おーあなたがエミリアね、私がメアリーでーすナイストウミーチュー」

(お兄ちゃんは渡さないんだからね)

「?オーそういう事ねーかわいいーでーす」

「挨拶はそのぐらいで入りましょう」蓮華


会場に入るとすでに100人ぐらいの男女が談笑している、そしてほぼ全員がこちらを向くと拍手と歓声が。


「パチパチパチ」

「皆さんそのままで楽しんで」

(宗助君たちはあそこのテーブルに行っていて)


中央には5つのテーブル、部屋の端にもいくつかのテーブルと椅子が有り。

壁際のテーブルには料理やオードブルそして飲み物が幾つも乗せられていた。

そして壁の中央近くに壇上が有りマイクが置かれている、蓮華さんが近寄ると黒服のウェイターがマイクを渡す。


《本日はお集まりいただき誠にありがとうございます、定例のパーティを執り行います、皆さん本日は楽しく過ごしてくださいね》


司会と言うより挨拶に近い、挨拶が済むとすぐにあちらこちらで談笑する様子が見られる。

参加者の言葉を遮ることが無いよう抑え目のボリュームで音楽が会場の中を漂う。

挨拶が終わると蓮華さんは他の女性と話があるようだ、そこにはやはり上流階級とみられる女性が数人。


「お久しぶり」

「このないだ電話で話したばかりじゃない?」蓮華

「顔を突き合わせて話すのは2年ぶりでしょ」詩音

「そうだった?」

「それより彼は?」

「セッカチね~」


俺のいる場所から10メートルぐらい離れた場所には綺麗なドレスを纏った女性が5人ほどいる。

胸元にはキラキラと輝くネッツクレス、それを見ただけで自分達がこの場所にいるのが場違いだと思わせてくれる。

そして蓮華さんはその女性の内2名を連れてこちらへとやって来た。


「紹介するわ、彼がスーパー高校生の呂方宗助君よ」

「聞いていた通りだわ、今度私とお茶しない?」

「えーと…」

「松田詩音よ」

「松田詩音…」

「松田竜太郎総帥の奥方よ」蓮華

「は!初めまして」

「こちらは?」

「母の呂方美登里です」

「…もしかして香月翠?」

「そうですけど…それは旧姓なのよね」

「やっぱり、私一度サイン会にお邪魔した事が有りますのよ」


芸名と言うか作家名は本名の一部ミドリ(美土里=翠)、名の部分だけ違う文字にして使用していた。

まあ顔を一度でも見たことがあるファンならば知っている人もいるだろう。

引退してから10年位ではほとんど外見に変化はないはず、まさか松田総帥の奥方が母のファンだとは思わなかった。

そしてもう一人の綺麗な女性が俺ではなくアイリーンの方へと近寄って行く。


「私は松田伊里愛、よろしくね」

「どこかで?」アイリーン

「イリアはモデルしていますね~」メアリー

「そう言われれば…」

「よかったわ、覚えてくれていて、あまり仕事場じゃ話さないから私」

「いいえ、私も仕事場ではあまり話さない方なので」

「こちらがエミリアちゃんね」

「あ はい」

「そしてこちらが、純和風ね」

「??」


周りの人物と比べれば百合奈は和風と言えるだろう、黒髪であり今はわざと伊達眼鏡をかけていたりする。

そんな中、一人の男性が宗助を見るとわき目もふらず近づいてきた。


「ちょっと失礼」里谷時雨さとやしぐれ

「何?」

「話が有る、ちょっと顔を貸せ!」


どうやら緊急の様だ、他の参加者の言葉も待たずに俺の腕を取るとすたすたと人が居ない壁際へとひっぱって行く。


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