港区某所
港区某所
その建物は50階建てビル、いくつもの企業がオフィスを構える高層ビル、その建物は松田財閥が所有しているだけではない。
近場には議員宿舎や各国の大使館など、国際機関のオフィスビルなども点在している。
その建物の最上階に松田竜太郎の細君である詩音のオフィスがあった。
「奥様いよいよ2日後です」秘書(地頭アリス)
「そうね、聞いた話ではイケメンだと言う事ですが…」
「まさかまた色仕掛けなさるのですか?」
「それは分からないわ~」汗
御年73歳の言葉とは思いたくないが、彼女は外見だけなら20歳は若く見える。
持っている能力は超が付くほど強力な予知能力だが、彼女の周りには他にも能力者がいる。
彼女の名前を取ってシオン会と呼ばれている組織がある、旦那である竜太郎がバックアップしている超能力者の集団。
今までも要人警護や敵の無力化など、松田財閥及び政府の推進する事業の障害を陰日向になり支えてきた。
その組織の統括及び運営は彼女が行っていたりする、そしてその組織には自分の家族も数人所属している。
「ようやく孫の結婚相手が見つかりそうなんだもの、何もしないと言う手はないわ」
「伊里愛様はもう26歳になられるのですよね」
「そうだけど年齢なんて関係ないと思わない?」
「そうは申しましても先日だってイリア様に文句を言われたばかりだったのでは?」
「なんで文句が出たら諦めなければならないのよ、私が提示したお見合い相手を20人も拒否しているんだもの、納得出来る訳ないでしょう」
「確か相手はおじさんばかりでは…」
「あら、お金を持っている殿方は全員年齢が高くなるのは仕方のない話でしょ」
「シオン様はイリア様の心情をあまりお考えにならないから…」
「考えているからこそこうなるのです!」
「ですが…」
「もういいわ、だから今度の相手は高校生にしたのですよ」
「それは逆に相手がかわいそうでは?」
「そんなことございません」
「どちらにしても当人同士がどう思うかですよね」
松田詩音の孫、松田伊里愛は現在化粧品会社の役員をしており現役のモデルでもある。
所属する事務所はUSSJ(ウルトラスーパーサバイバ―ジャパン)ではなく、さらに古くからあるNMC(日本モデルクラブ)と言う事務所。
300人を超えるタレントやモデルを抱える業界でもトップの事務所であり、バックには当然のことながら松田財閥が控えている。
そのモデル事務所に所属している孫の伊里愛だが、彼女はいわゆる仕事人間であり、外見では分からないぐらいのやり手だった。
そして彼女の所属する都内某所にある化粧品会社のオフィスでは。
「明後日?」
「ハイ詩音様から出席するようにと」九条沙織(部下)
こちらは化粧品会社の宣伝部にある伊里愛の部屋、一応26歳と言う若さで役員(宣伝部長職)を担っている。
能力だけではなく才色兼備だからこそ、そのポストに収まっているのだが、彼女の親は化粧品会社の部長職と言う位に対して人生経験してくれさえすれば良いぐらいの感覚だった。
「そういえばモリソンさんの娘も来るのよね」
「そちらですか?」
「今度の化粧品CMはできれば私がいる事務所からの起用は避けたいのよ」
「あ~確かに押しが強いですよね」
宣伝部長と言う肩書だが所属するタレント事務所との噛み合いで今まではそこのタレントを優先的に使って来たのだが、最近は化粧品の売り上げが下がってきており新たな顔として新人を使用したいと思っていた所だ。
「確かUSSJの所属よね」
「ハイそう伺っています」
「ですがパーティには詩音様も参加すると言われております」
「何か問題でも?」
「詩音様の前で仕事の話までできるのでしょうか?」
「あなたは私が仕事人間だと言う事を知っているでしょ!」
「イリア様に仕事をするなと言う方がおかしいとは思いますが、果たしてそれをシオン様が受け入れて下さるでしょうか?」
「関係ないわ、お婆さまの外見を20歳、若返らせたのは私の力なんだから」
その能力は魔法で言う所のヒーリングやトリートに近い、治癒と似ているが少し違うのがミソ。
現在彼女が若返らせることができるのは20歳が限界らしい、能力はまだ発展途上でもあるので今後の訓練次第ではまだ伸び代があるようだ。
メアリーや蓮華とは少し違った能力、生気を吸うのではなく与える能力。
彼女はその生気を植物や他の動物から移す力を持っているらしい。




