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突然訪問

突然訪問


タワマンから引っ越しすでに半年が過ぎようとしていた、その間の事は別の機会に書くとして。

2051年11月25日(土)本日は午前中授業、授業と言っても自習の様なものだ。

さ来週の期末試験もあるが高校3年生はこの時期になれば遊ぶ暇など全くなくなる。

俺も午後からは予備校に行って受験のためのノウハウを手に入れる予定だ。

別に予備校など行く必要ないのではと思われるだろうが、行かないと父や周りの大人に心配されてしまうのだから、全く学生という身分は面倒くさい。

しかも百合ちゃんまで同じ予備校に通う事に、その方がしっかり受験勉強をしやすいと言う話だった。

確かに同じ家に住んでいると同じ受験生として雰囲気的に気まずい感じがするのと、現在はアイリーンとエミリアも同居している手前、百合ちゃんと2人で勉強しているところを変に勘繰られても面倒だと言う事で、二人で予備校に行くと言う申し出に俺は賛成した。


【この問題は過去問題です】

【共通一次試験の2049年のデータかなるほど】

【リリーちゃん2050年のデータは?】

【昨年のデータはこちらです】

【ありがとう】


いつの間にかリリーさんを介してデータのやり取りをするようになった俺と百合ちゃん。

衝立のある机の前に参考書やプリントを広げ、目の前のモニターで検索したり書き込んだりと忙しい。

勿論百合ちゃんの座っている机と椅子は俺の場所から4つほど離れている。

たまに予備校の教師が来ては質問している生徒に話しかけていたりするが、俺と百合ちゃんは予備校の教師にする質問はほとんど無いといって良い。


【宗助様、家に蓮華様が来訪しました】

【は?】

【蓮華様ってこないだそうチャンがお呼ばれした時の?】

【何の用だろう…】

【母上と談笑中です】

【今日はこのぐらいにしておくか…】

【じゃあ私も】


予備校に来てから約1時間だが、家に予期せぬ来訪者が訪れたならばそちらが気になって勉強という気分ではなくなってしまった。

(まったく…)

予備校はもちろん最寄りの駅前にある所を選んだので、ここからならば歩いて15分もしないで家につく。

(いったい何の用だろう)

木下&呂方家の前にはスーツ姿の女性が2名、誰が見てもSPだと言うのがわかる容姿で道行く人の好奇の目を集めている。

まあそれほど人通りが多いわけではないが、時間的に散歩したり買い物した帰りの人が多いので、サングラスにスーツと言う姿の女性2名がうちの玄関に仁王立ちしていれば否応なく目につく。


「ご苦労様です」

「ご、ごくろう様」

「は!お帰りなさいませ」


どういう基準で雇っているのかはわからないが2名共に身長は170以上、多分柔道もしくは空手などの武芸もしくは格闘技を習得していると思われる。


「ガチャン」

「ただいま」

「ただいまー」

「お帰りなさーい」

「お客様かな?」

「宗ちゃんにお客様よー」

【例の徳川蓮華さん、来ているわよ】

【ごめん相手してもらって…】

【それは構わないけど】

【何か問題?】

「お邪魔しています~」

「いえいえ、今日はどのような」

「宗ちゃん部屋に行っているわね」

「そちらが百合奈ちゃんね、徳川蓮華ですよろしくね」

「木下百合奈です、どうぞごゆっくり~」


百合ちゃんも最近はロボ化のせいなのか、前より表情の変化が少なくなった。

いや、俺のせいで驚くことが減ったと言った方がいいのかもしれない。

俺は荷物を自室に置き、そのまま制服を脱いで私服に着替える。

その間約5分、蓮華さんは黙ってソファに座り出されたお茶をすすっている。

最初に見た老婆タイプではなく変身後の35歳~45歳前後に見える、黒髪のお姉さんタイプに変身している。


「本日のご用件は?」

「来週私が主催するパーティに参加してほしいの」

「それに参加する意味は?」

「この間の説明をしてくれる女性も参加するし、その他にも何人か出席するわ」

「一応僕は受験生であり再来週は期末試験も控えているのですが」

「完全記憶って聞いているけど」

「記憶することができても使いこなせるかどうかは別だと思いますが?」

「学年トップの成績だと聞いているけど?」

「全部調査済みですか…」

「メアリーから聞いた後全部調べさせてもらったわ、でもお母さまが売れっ子小説家だったなんて初めて聞いたわよ」

「母さん自慢したんだ」

「話さない方が良かった?」

「別に構わないけど」

「ファンなんだって」

「一応全巻揃えたわよ、映画も何回見た事か…」

「そうなんだ、俺の知らない所で有名って…」

「そうなの?」

「家では専業主婦で通していたものですから~」

「じゃあお母さまもご一緒に」

「良いの?」

「多分喜ぶ人が私のほかに5人ぐらいいるかしら…」


そう言いながら指を折って数えだす。


【お母さまのファンは日本だけで1000万人以上です、引退と言っても現在はお休み中という事でドラマやアニメもリバイバルで放映されております】

【へっへ~】

【そこで自慢?】

【別にそういうわけじゃないけど、うれしいじゃないまだファンは見捨てていないってこと】

【引退してないでしょお休み中だと聞いてけど?】

【なによ、いいじゃない別に自慢しても】

【行きたいの?】

【母としては後学の為にも参加してみたいわね、超能力者達のパーティなんて創作意欲をそそるわ】

【分かった、じゃああOKするよ】

「分かりました参加します」


そこにアイリーン姉妹が帰宅する。


「ただいまー」

「たっだいまーンモス、あれ?お客様?」

「あーこちら徳川蓮華さん、こちらがアイリーンウィリアムさんとエミリアウィリアムちゃん」

「蓮華よ、よろしくね、そうだあなたたちも一緒に参加しない?」


何の集まりなのかは分かっている、日本のSVR(超能力者)達の集まりだ。

蓮華さんは彼女らの事もすでに調査済みなのだろう、この機に日本の超能力者の組織に全員まとめて引き込もうと言う腹積りなのかもしれないが、モリソンファミリーの引き抜きとなればUKのSVRに何を言われるかわからない。


「それはどういう?」アイリーン

「彼女らに話しても?」

「いいわよ」


蓮華さんはそう言いながら首を縦に振る。


「日本のSVRの集まりがある、それに参加しないかって誘われたんだけど、アイリーンとエミリアも参加しないかって言う事」

「宗助君が行くなら私も行くわ」

「私も!」

「決まりね、場所と時間は後日連絡するわ」


そう話すと蓮華さんは椅子から立ち上がる、滞在時間は約50分俺と百合ちゃんが帰って来てから10分にも満たない。


「もう帰るの?」母

「これからまだしなければいけない事が有るのよ」

「残念だわ」

「あらうれしいわ、私も名残惜しいけど、パーティに来てくれるならまた会えるし」

「それはそうね」

「それでは皆様またね~」


椅子からすっくと立ちあがるとすぐに玄関へと歩き出す、1階はオープンスペースになっているので、1階にいる全員が蓮華さんの後姿を見送ることに。

どう考えても妖艶な美女と言ったいで立ちであり、見た目だけならば母とほぼ同じ年齢にしか見えない。


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