衛星の基地
衛星の基地
データによればこの衛星には基地など無いと思われていた、まあ初期の段階でこの衛星に送られた調査船は詳しく調べたわけでは無かったのだろう。
この衛星には大気が有ってもマイナス70度以下と言う気候であり、氷で閉ざされている為生き物は確認できないと判断したようだ。
だが寒さぐらいで人類がその星を開拓しないと言う事は無い、地球だって火星を開拓するべく何度も宇宙探査船を送っているのだ。
【基地がある】
【そのようですね】
宗助は光学迷彩を使わずに異星人がどういう反応をするのか確かめる事にした。
ヤコブ族のそれはレーダーのような生命の探知能力らしい。
「なんだレーダーに反応があるなまた攻撃か?」
「調査に出ますか?」
「一応調べてみるか」
「パワースーツE1E2出動!」
どうやらこの衛星に基地があることで698隻の宇宙戦艦は事前に察知されUターンさせられたらしい。
それならば手っ取り早くヤコブ族とコンタクトを取るのが一番早い。
異星人の通信システムの周波数をリリーさんにサーチしてもらうと、どうやら地球のシステムに似ているようだ。
一応念のため探索に出て来たこの2機に絞って通信を試みる、基地にいるヤコブ族には聞かれないようにしないと面倒だ。
傍受した電波を解析したところ言語はライズ族とほとんど変わらないようだ、少し訛りもあるが概ね言葉での意思疎通は可能だと判断した。
《あーあー聞こえるか?》
《?なんだ、敵か?》
《敵ではない》
《敵じゃないだと?では何者だ?》
《おれは話し合いに来た》
《話合い?》
《君たちが送り返した戦艦の調査に来ただけだ》
《という事は敵と言う事だな》
《まて、俺はその星をすでに無害化した、俺は別の星から来た人族だ、これを見てくれ》
《?映像か良いだろう、嘘をついているのなら消すのみ》
俺は今までの経緯など映像を交えて彼らに見せた。
どうやら彼らが乗るパワードスーツは映像や音声を増幅し脳に直接見せる機能まで搭載しているようだ。
《そうか、だからと言って今更我々の計画は変わらぬ》
《計画って?》
《すでに惑星RIZ175へ行って2度と攻撃できないように殲滅すると言う計画は始まっている》
《もう無害化したとしてもか?》
《我々に一度でも弓を引くと言う事がどういうことか、わからせる必要がある》
《どうしても殲滅に来ると言うのか?そうなるとどちらも被害が大きくなるばかりか今住む星さえもなくすことになるぞ》
《ふふふ、お前らのような下等な人族と一緒にするな、我らは神と呼ばれてきた一族の末裔だ》
《神か…大きく出たな》
《われらより劣るゴミ風情が生意気な!》
《蹴散らしてくれる》
「ゴウー」
ちなみにこの時点で相手に見えているのは俺の姿のみ、リリーさんには光学迷彩で姿を消してもらい今は地表近くに下りてもらっている。
約10k先の地上にはヤコブ族の作ったドーム状の基地があり、2機はそのドームから飛んできたらしい。
解析機能を使い調べた所、中には4メートル近い人型の生物が搭乗している。
エネルギーはライズ族と同じような各種の未知な機械と超能力を併用しているようだ。
《蹴散らせ!》
「ブン!」
《ウワッ》
「ゴガン!」
《いきなりかよ!》
《まだつぶせぬか?》
《仕方ない》
【リリーさん反撃しよう、なるべく殺さないように】
【かしこまりました、まずはハッキングを試みます】
その大きな機体で超能力を使い俺の目の前で棒のような武器をブンブンと振り回す。
たまに俺の体にその武器がヒットするが、防御レベルを最大の10に上げている為、痛みなどは全くない。
だがその反動は大きく武器が当たるたびに大きく吹き飛ばされる。
《すばしっこいな、おい挟み込むぞ》
【宗助様ハッキング完了しました】
《なんだ、動かん》
《あのさ、よ~く考えてみてよ、俺はあんたらの言葉が分かるわけだ、そして通信システムにも割り込むことができる、これが何を意味するのか分からないのか?》
《惑星RIZも惑星EARも原始人の星じゃないのか?》
《知らないのか…、全ての始まりは全部惑星EAR地球だ、この星の歴史では自分らが何処からここに来たのかもう教えていないのか?》
この星にヤコブ族が住み着いてからすでに5千年以上経つ、どうやらライズ族とたもとを分かった時にそれまでの歴史は廃棄してしまったらしい。
《地球の人類誕生からの歴史は2万年以上も前からだ、オタクらはその中で生まれた新人類だよなそれは認めるよ、過去に地球でも神とあがめられていたが実際には超能力を使えるようになっただけで人類としてそれほど違いはないだろ》
《われらが神となってから5千年、この星は我らが故郷であり攻撃する者は全て殲滅対象だ》
《もうこの星を攻撃させないと誓う》
《そんな話信じられるか!》
《そこを何とかできないのか?》
《無駄だ、我らより劣る人類など家畜と同じ》
【リリーさん】
【かしこまりました】
「キーー」
「ガコン」
《何をする!》
《お得意の超能力で防げないのか?》
《何か入って来た、やめろ!》
【洗脳完了です、2機目に移ります】
《パイロン、どうした返事しろ!》
「キュイーン」
「ガコン」
《うお!ひとりでに…》
【2機目完了です】
《それじゃ二人とも一度基地へ戻ろうか》
《…かしこまりました》
俺は2機のロボット型機械と一緒に衛星にある基地の中へと入って行った。




