会議室
会議室
そこは今まで行う事が無かった、マザーと各都市の指導者による会議を行う場所。
宗助の提案で国の政をマザーだけに任せていた方式から自分たちの考えを少し反映させる事が可能な方式へと変更させた。
地球でよくみられる議会政治方式へと変える為に、議事堂なるものも作っておくように指令を出しておいた。
但しこの星の人々は話をしなくてもお互いの意思疎通が可能なので、一応現在は形だけという事になる。
これは他の星の人族と話し合うために必要なシステムだ、言葉のやり取りをテレパシーだけに頼らず音声にもしなければ他の星の指導者との話し合いはできない。
勿論他にも色んな改革が必要になって来るだろう、地球の惑星間転移装置が出来上がる前にそういう細かいところを前もって準備して置けば、いらぬ争いを事前に防ぐことにも役立つだろう。
《では会議を行う》
円形の会場、広さは大体30メートルぐらいか、かなり大きめの椅子がその周りに30個以上配置されている。
現在その椅子に座っているのは俺を含めて13名、俺達が来た事で緊急招集令が掛かり急遽呼びだされた面々。
《皆、緊急招集に集まってくれてありがとう》アーロン
《それは構わないわ》
《ああ、俺達は呼ばれるのを待っていたからな》
ほぼ全員普段の仕事は基本的にデスクワークに近い、各部署で働く市民の統括。
単純に言えば中間管理職と同じ、問題がなければ自ら出張ることもなく、報告のみをテレパシーで受けるだけ。
彼らは地球の暮らしを朱里と平太からテレパシーで受け取ってからというもの、現在は早く憧れのアース(地球)ライフを楽しみたくてせっせと指令をこなす毎日。
そんな時に宗助達が来たのだから、招集を掛ければ一目散に集まるのは当然。
《まずは主からごあいさつを》
《おれ?》
《宗ちゃんカッコイイ》
《ゴホン、あー皆、集まってくれてありがとう》
議題は本日帰還する698隻の開拓宇宙戦艦の話、調査は既に住んでおり現在の時点でその戦艦がどのような状態になっているのか、そしてそれが危険なのかどうか?という話。
《では大気圏外に接近移動したと同時にこちらの指令システムへと変更、それでうまく行かなければ強制的に停止させましょう》
《ああそれでいい、これからは帰還する宇宙戦艦は大気圏外で一度検査の為停船するようにしておいてくれ》
《そうね、私達の他にも人類がいるのが分かったのだから、ちゃんと調べないといけないわ》カルミュ
カルミュは120歳、現在は食料生産拠点の統括を任されている。
《それで主はすぐにまた帰られるのですか》
《あーうん仕方ないんだよ、俺はこの星で言う所の訓練生と同じ身分だから》
《主ほどの方が、EAR183では訓練生なのですか?》
《まあ地球は何処もほぼ年功序列方式だからね》
寿命が300歳まである彼ら、しかも思考が共有できるのだから、惑星RIZの宇宙人達には地球人の考えが分からない部分もあるだろう。
自然に生まれて来る生命が増えてくれば彼らにもわかって来るだろうとは思うのだが。
《ただいま到着しました》平太
《平太ちゃん!》
《ママ様お久しぶりです》
《遅くなりました》朱里
《あかりちゃん》百合奈
《ユリナ様》
平太と朱里の2人が加わるとそこからは会議ではなく雑談になって行く、先月からたった1か月ぐらいの時間経過でさほど変化は見られないが。
いつの間にか朱里の頭はツインテールになっており、平太の頭はGIカットになっていたりする、前回もって来た地球製の電気バリカン(市販品)を使用してみたようだ。
ちなみにそれまでは丸坊主用の自動ヘア機械(仮)で全て丸刈りにしかできなかった。
地球のヘアスタイルの自由さを見てからというもの、この星の市民は全員がファッションに目覚めてしまったようだ。




