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黒服がいっぱい

黒服がいっぱい


翌日は何事も無く明けて、父も会社に行く事になっていた。


「あなた、大丈夫なの?」

「何が?」

「会社よ」

「ああうちの会社で被害を被った社屋は今の所無いみたいだ、販売部は数箇所の店舗が壊されたみたいだけどな」

「そうなの?」

「だから逆に行かないわけには行かないんだよ、それに先日のプレゼン一ヶ月後に仕切りなおすみたいだから」


都心のショールームを3日貸切で行なわれたフォーラムとプレゼン、直ぐに開催とまでは行かず少なくとも一ヶ月の猶予が必要になったらしい、勿論会場も別な場所になる予定だとか。

会社上げての新製品のお披露目、しかも新しい技術がてんこ盛りとなる為、各企業とのタイアップも多く。

上手く行けば大手の家電製作会社数社で新製品を導入するかもしれないという話。

それだけにフォーラムとプレゼンをやらないわけには行かないのだとか。


「服はそれでいいの?」

「ああ昨日の荷物から一応ワイシャツだけは取り替えることが出来たから」

「それじゃ俺今日も壊れた家に行って探してみるよ」

「ああ頼む、そうしないと洋服も沢山買わないといけなくなるからな」

「そうね」

「それじゃ行ってくる」

「行ってらっしゃい」


「おはよ~~」

「あいちゃんおはよ~」

「あれパパは?」

「今日も仕事だって」

「そうなんだ~」

「あいちゃんは?」

「中学校は今週中お休みだって」


うちの家もそうだが近辺の家や店舗は数箇所被害に遇い、登校路が危険で通れない通路も数箇所出ていた、倒壊した家 折れ曲がった電信柱、散乱した電線や瓦礫は片付けるのに一月はかかりそうだ、その為妹の中学校は1週間の休校を決めたらしい。

俺の高校とはえらい違いだが、まあ高校の場合は勉強の進み具合なども中学よりシビアになるので、一応生徒の状況を確認しておきたいというのが本音かもしれない。

まあ俺は先週1週間事故後の入院で登校していないから1日登校する事にいやだという気は無いのだが。

自分に起こったことがあまりにも突拍子過ぎて、同級生の顔でも見て安心したいという気持ちもあったりする。


「そっか、じゃあアイも服探しに行くか?」

「いいよ3人で行く?」

「そうしましょ」


着物を入れてきたボックスを4つとも空にすると、それを持って3人で自宅の荷物の引き上げに向かう事になった。

まだ住み慣れていないマンションのエントランスから外に出ると、そこからは徒歩で壊された我が家へ、20分ほどの道のりを歩いていく。

途中には昨日壊されたマンションも見えたが、そこはすでに立ち入り禁止のテープが張られており、近いうちに取り壊される事が決まっていた。

確かに3階と4階の半分近くが抉り取られるような形で壊されていては修復は難しいといえる。

幸いにもそのマンションでは死人が出なかったらしい、俺が助けた事は内緒だけどね。


「見て歩くと結構壊されているよね」

「とんでもないわね、プンプン」

「当分は修理にかかりそうだね」

「そうね道もそうだけど建物は片付けた後も何かとお金も時間もかかるわ」

「そう言えば壊れた家はどうするの?」

「う~ん、一応建て直すつもりよ、でも又ここに住むかは分からないわ」

「どうして?」

「ママね縁起とか少し担ぐ方なの、一度良くない事が起こった場合そこは悪いことが起き易いということなのよ」

「確かにそう考えられなくも無いね」

「10年以上大丈夫だったんだけど、そこで運が切れたとママは思うのよ」

「まあママがそう言うなら特に何も言わないけど…」

「あたしはマンションの方がいいな~」

「自慢できるからだろ」

「あったり~」


もう直ぐ倒壊した自宅に差し掛かるあたりで、違和感を感じ出した。

黒服、いや真っ黒のスーツと言ったところだが、さらに迷彩服を着た自衛隊の隊員の姿も、黒服達は全員がサングラスを着用している。

その向こう側には自衛隊の軽装甲車と見られる車両が数台止まっていた。


「なんだろ?」

「そうちゃん気をつけて」

「うんちょっと見てくる」


俺は2人を残し黒服に近づいた。


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