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日本のドン

日本のドン


その頃宗助はメアリーに付き添われ初めての慣れない料亭へと足を運んでいた。

高校生で料亭、それは端から見てもミスマッチだろう、だが鋼の心臓を手に入れた宗助は割とクールに対応していた。

(異性に対してはまだまだなのがたまにキズ)


「それでは私についてきて下サ~イ」メアリー


日曜日の午後6時、夕食には割と早い時間ではあるが宗助は酒を飲むわけでもなく、こういう会合が夜でなければいけない理由など無いのだがなどと思いながら参加することに同意した。

TVやニュースでは見ていた、大人達の仕事はこの時間帯からが本番だと言う事は知っている。

宗助は本日の会合が食事会だと思って参加しに来ている、もちろん自分が主賓だとは考えていない。

相手は先日リモートで接見した相川伊之助(首相)、そして自分だけ会っていないと苦言を呈した、新任である経産省大臣の高橋卓(52)。

そして今や日本のドンと言われている財界のトップ松田財閥の松田竜太郎(88)。

その3名がすでに宗助が到着するのを待っていた。

お出迎えの黒塗りハイヤーを降りると料亭の入口ではすでに数名のSPが所々で目を光らせており。

この先に待っている人物が、只者ではないと言う事を認識させられるのに十分だった。

警備のSPは10名を超えていた、全員が何らかの武術経験者であり、物腰や動き方にも隙が無い。


「こちらです」


中居とみられる女性が俺達2名を案内する、建物の中に入り廊下を数メートル進むと座敷の戸が中居の手ですっと開けられる。


「お見えになりました」

「こちらです」


座敷の広さは10畳以上有った、奥の方には掛け軸や高そうな壺が置かれており窓からは日本式の庭園が見える。


「ようこそ、まずは腰掛けてくれたまえ」


中居が俺たち二人に座る場所を案内し、そこに座ると先ずは掛け軸を背にしていた人物が話し出す。


「私が松田財閥、現当主 松田竜太郎です、忙しいところすまないね」

「いいえ、お呼びいただき光栄です、呂方宗助と申します」

「そちらの女性も一応紹介していただけますか」高橋

「こちらはUKの大臣補佐官メアリーエドモンドさんです」

「マイネームイズメアリーエドモンド、ナイストゥーミーチュー」

「ま マイネームイズスグルタカハシミーチュー」

「私と松田会長とは何度か会っているので省くことにしましょう」

「堅苦しい挨拶はここまでにして、ここからは相川君から呂方君に尋ねると良い」松田


松田会長は既にメアリーさんから俺の話を聞いているらしい、どういう関係なのか少し気になるが、今それを口にしても意味がないので俺は質問に答える事を優先することにした。

前回メアリーさんの記憶から読み解いた松田会長と言う人物は、まだ会長が15歳の当時であり70年以上前の情報だ。

その後は数回UKに置いて貿易関係の契約や財界との橋渡しなど、10年間隔で会長と会っていると言う記憶があった。

という事は、会長はメアリーさんが何らかの能力者だと言う事は知っている可能性がある、メアリーさんの記憶の中には会長がまだ若い時メアリーさんを口説いている場面などもあった。


「今回ここに呂方君を呼んだのは会長と高橋大臣からの要望があったからだが、もちろん聞きたいのは先日私が聞いた話からここまでの経緯だと思う、もちろん言えない事は口を噤んでくれても構わない」首相

「そうですか、ではまずはハッキングアプリの件をご報告させていただきます」宗助


今回、高橋大臣と松田会長はアプリの件を小耳には挟んでいるだろう、だが詳しい事までは知らないはず。

宗助はまずそこに至るまでの経緯を話すことにした。


「本当なのか?」高橋

「能力に関しては信じるかどうかはお任せします、ハッキングアプリに関しては本当だと申し上げておきます」

「すごいな、私もそういう能力が欲しいぐらいだ」

「それは私も同じだよ」松田


御年88歳だと言う松田財閥総帥、終始ニコニコしているのだが目は笑っていないのが逆に不気味だ、漂うオーラがただものじゃないと言う雰囲気を醸し出している。

どう考えても彼は何らかの能力者だと思われる、但し彼の体に触れてもいない今の状況でその能力を推し量ることは難しい。


「ところでそちらの美女はUKからの代理人と見てよろしいのでしょうか?」高橋

「わたしは宗助の友人でーす、UKでは彼に助けてもらいました」

「それはどういういきさつで?」

「ヤ、いま~UKは東の国と情報戦をしていまーす、先日宗助と一緒に巻き込まれたのでーす」

「そうなのか?」

「そういえば旅客機襲撃の事件があったが」

「それもそっち絡みと言う話です、詳しいことは僕も分かりませんが」宗助

「そういえば惑星間転移装置は呂方君もメアリー君も見に来られるのだよね」松田

「はい」

「私も行きま~す」

「そうか、僕はそちらの方が楽しみなのだけどね」


そう言うとニヤっと微笑む88歳、確かに惑星間転移装置が出来上がり、その機械を使えば生き物も瞬間的に移動可能になる、そうすれば輸送革命とエネルギー革命が同時に起こる。

人類が待ち望んだ宇宙旅行が一気に身近になって行くのだ。

彼は多分そう考えているのだろう、だがそれと同時に世界規模で問題が起こることも考えておかなければ。


「ところで皆さんは宇宙人の事をどうお考えですか?」宗助

「できれば友好的に済ませたいが、攻めて来るならば敵対するしかないと私は考えている」首相

「ではもし彼らが敵ではなくなったらどうします?」

「…それは今ここで答えは出せないと思うが」

「呂方君はどう思っているのかね」

「僕は起こした罪を償ってもらう、その後は彼らと和平を結ぶのが妥当ではと考えます」

「そんな事可能なのかね」

「僕は可能だと考えます、彼らの持っていたデータの中には地球人が持つデータと似通った情報がかなり含まれています、語り合い信じあえることさえできれば人類は全て友好関係を築くことが可能なのでは?と考えています」

「だがそれを考えるのは彼らと直接会ってみなければ分からないだろう」

「もちろんその通りですが」


一応可能性として示しておくことは忘れない、もし宇宙人がすでに危険性のない者達に変わっていたならば、この星の指導者達は彼らに何を求めそして彼らに何を課すのか。

なにせ彼らが放った宇宙戦艦は地球全土を破壊の渦に巻き込もうとしたのだ、その解決を一国の指導者のみで決めてしまうことなどできない。

各国の指導者と接見するたびに宗助はこの話を投げかけなければと思っていたりする。


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