神の武器
神の武器
ヤコブ族の超能力はパワー系が多い、その体格も有るが強化系の能力者の末裔が多く精神系の能力者は少ない。
そして当然ながら彼らの中にも超越者はいる、その殆どが3つ以上の能力を持つ。
彼らの中では持っている能力の数で地位が決まるらしい、生まれて3年経つと洗礼式を行い。
超能力の系統を調べる、5歳になるとその系統による能力を伸ばすための訓練を始め。
10歳になると多重能力が出た者と単一能力の者を選別する。
現在3つ以上の能力を持つ超能力者は千人以上いるが、この星の規則で超能力の使用には2つまでと限定されており、3つ目から先の能力は一定の条件下でなければ使用許可が出ない。
そうしなければ貧富の差や力の差が大きくなりすぎて、働かなくなる者や能力を使用してズルをする者が増えてしまうからだ。
基本的には5歳までに全員が何らかの能力を発現するのだが、100%とは言えないのはどの世界でも同じ事。
神王となった12人は最低4つ以上の超能力を持つ、念動力・テレパシー・予知能力・精神操作・変身能力・治癒能力・瞬間移動・強化能力、これらが基礎能力となりさらに細かい枝分かれした超能力を発症する。
「どうだ?うまく行っているか?」
「船内の改造は今のところ順調ですが、やや狭いですね」
ライズ族から奪った葉巻型の戦闘母艦は、中に5機の小型宇宙艇を収納している。
そして倉庫になる場所には千機のロボット型殲滅機械を収納している、一つの小型宇宙艇に20機の攻撃ロボットを乗せ地上へと運ぶことができるのだが。
この宇宙戦艦、ライズ族は人間を乗せる場合内部を丸ごと交換することで対応するが、ヤコブ族にはその内部を交換できるユニットが無い。
そうなると一から自分たちが乗る場所を構築しなければならず、彼らでもそれを簡単に作れるわけでは無い。
奪った宇宙船に乗船するには船体の横にある装置に干渉し船内に入る、そこには本来瞬間移動で内部へと入る装置が組まれているが。
高さの指定が2メートル未満とやや低く、ヤコブ族が船内に入るには時間がかかった。
彼らの大きさでは船内に入るための転送装置が動かないように指定してあったからだ。
内部のコンピューターを自分たち用に設定変更するためにはさらに数日を要し、徐々にではあるがライズ族のテクノロジーを取得して行った。
宗助のようななんでも一人でやってくれるAI(人工知能)と言う器械の発想はこの星にはまだ浸透していなかった。
「バトルスーツは持ち込めるのか?」
「いいえあれは大きすぎます」
「だが生身では常に能力を使わなければいけなくなる」
「それもそうですが、この船にあれを摘むと搭乗人員を半分に減らさないといけなくなります」
バトルスーツそれは全高15メートルもあるいわゆるパワードスーツ。
超能力を使い動かす一人乗りのロボット。
特殊な金属を使用した戦闘用の武器だ、彼らはもっぱらそれを害獣駆除に使用しているが、現在この星には保護区以外で害獣は見かけなくなっている。
この星に先住していた害獣、全長30メートルを超す竜のような生き物、この星にはそれらの生き物が元々暮らしていた。
原種である竜は保護区に追いやられ3万匹まで数が減らされており、一時は絶滅する所まで数が減っていた時もあった。
一部の竜種は改良されたうえで現在は家畜として生かされていたりする。
最初彼らヤコブ族は超能力だけで30メートルを超える竜種を退治して行ったのだが。
超能力だけでその怪物を殲滅するには難しいと考え、この星で取れる特殊な金属を利用し、自分達が操ることのできる大きなロボット型戦闘機械を作り出した。
この星の科学はライズ族よりは遅れているが、大型の人型機械を操るための発明はこちらの方が進んでいたりする。
その技術により30メートルを超えるこの星に先住していた竜種をたやすく殲滅できるようになった。
「構わない」
「そうなると50人が限界です」
「そうか?ではバトルスーツ100と戦闘員100人が乗り込めるよう内部を改造しておいてくれ」
「かしこまりました」
全長500メートルを超す宇宙戦闘母艦が2隻、そこに身長3メートル近い巨人が合計100人。
そしてパワードスーツも予備を含めて110機、もちろん参加するのはこの星でもエリートに近い者達ばかり。
コールドスリープの機械は予備も含めて60個ずつ計120個設置されることになった。
さらに必要とされたのは、メカニックのブース。
もしパワードスーツが故障した場合も含めて船内を5つの区画に分けることにした。
「これが出来上がりの図案か?」
「はい、ですが本当に行けるのでしょうか?」
「一応船内は気密性を高めたバルン仕様を使う、そうすれば外が真空だとしても対応可能だ」
自動調節可能な立体金属の部屋を5つ作りそれぞれに別の気圧を設定できる。
超能力を使用できる彼らならば気圧さえも操作可能なのだから。




