閑話 木下&呂方家 新築
閑話 木下&呂方家 新築
呂方家と木下家の引っ越しが済んで、次の日にはいよいよアイリーンとエミリア姉妹がやって来た。
こちらは5tトラック1台、中には段ボールだけでなくベッドも含まれていた。
「着いた」
「ピンポーン」
「はーい」
前日に自分たちの引っ越しを終え、次の日は朝から荷物整理をしていた。
既に朝10時となり、到着するアイリーン姉妹を待っていた宗助、当然だが百合奈とエミリアは今日会うのが初めてだ。
「おはよー」
「おはようございます」
「それじゃ、運んでしまおう」
「あ お願いします」
昨日の内に段ボール箱は既に各部屋へ搬入は済んでいる為、1階のリビングには荷物受け入れの余裕がある。
まずはそこへアイリーン達の段ボールを運び入れ、先にベッドを2階の8畳間へと運んでいく。
一応そこは引っ越し屋さん3人に任せることに。
「どこに運びます」引越クラブバイト
「2階の手前の部屋までお願いします」
「かしこまりました!」
大きな荷物を数個運び入れると、アイリーン達の荷物はこれで全部らしい。
ベッドと本棚、そして勉強机が2つずつ。
それは割とシンプルでいて、そして懐かしい感じがする家具だった。
「まずは位置を決めちゃいましょう!」
本日新築の家にいるのは母と百合ちゃん そして俺の3人、父は今日会合があるとかですでに出かけている。
俺も午後5時には大臣と会うと言う約束がある。
「久しぶり~」エミリア
「そうだね、もう4か月ぶりかな」
「お兄ちゃんの言っていたこと、役に立ったよ」
「何の事?」
「服装の事」
「あ~」
確かにあれだけ強調していた胸を本日はしっかりと隠している。
それでもこの大きさは隠しようが無いのだが…
「初めましてエミリアちゃん」
「初めまして~」
「こちらがこの家の主、木下百合奈さん」
「わたしが噂のエミリア国生です」
「何よ、噂って!」アイリーン
「え~ お姉ちゃん私の話はしたんでしょう?」
「したわよ、面倒かける妹がいるってね」
「なにそれ、信じらんない、別に私面倒なんて掛けないわ」
「まあまあ、そのぐらいで挨拶も済んだし、早く運んでしまいましょう」
女三人寄ると姦しいとはいうが、百合ちゃんはあえて話を広げないようにしたらしい。
確かにエミリアは魅了と予知の能力を持ってはいるが、本日ちゃんと予定通り来たと言う事は、特にここまでの道程でまずいことなどを予知しなかったのだろう。
俺は黙って下から荷物を運んでいく、本当は2・3個イッペンに運んでも良いのだが、そうすると普通の高校生には見られない可能性があるので却下だ。
段ボールは使い終わると捨てないで1階に束ねておく、後で引っ越し屋さんが回収しに来ると言う。
汚しさえしなければ消毒した後で再利用するらしい。
「おもい~」
「あんたの胸は見せかけ?」
「ちがうもん、て 言うかこれは筋肉じゃないし!」
「ここは百合ちゃんの家なんだから、わがまま言わないの、ちゃんと運ぼう」
「は~い」
胸が大きいからと言って筋肉が詰まっているわけじゃない、だがエミリアは弱音を吐くのが少し癖になっているのかもしれない。
ちやほやしてくれる男子が周りにいる状態が多かったのだろう、だが今はそう言う環境を変えることにしたようだ。
約2時間、机と本棚の位置を少し調整すると2階の8畳間には2名分の生活空間が出来上がった。
「後は自分達でやるから」
「分かった、俺は下にいるから何かあったら呼んで」
「有難う、おにいちゃん!」
「もう、調子いいんだから」
1階では母がキッチン周りの方付けをしており、一応位置決めは済んでいるのだが、細かい道具などの収納場所で悩んでいるようだ。
「宗ちゃんお箸は何処に置いた方が良いと思う?」
「皿や茶碗の下の引き出しかな~」
「そうよね、でも洗い終わった後は?」
「それだと食洗器の横の籠に専用の箸立てが有れば良いかも…」
「そうよね、買ってこなくちゃ」
そう言うとメモ用紙に足りない家具を書き込んで行く、今回マンションにはほとんどの家具は置いてきた。
元々添えつけてあったものは別として、後から買いそろえた小物も新しくするつもりでそのままおいて来たりしている。
「おにいちゃん」
「エミちゃん、どうした?」
「えへへ~ なんでもない」
テーブルをはさんで反対側に座るとその重そうな胸をテーブルの上に乗せ、両肘をテーブルの上に置き手を組んだ上に顎を乗せたままじっとこちらを見ている。
「何か?」
「ヤッパリかっこいい…」
「こら エミさぼってないで手伝いなよ!」
「あ やば」
「トイレって言っていたのに もう~」
「ダダダ」
「ごめんね、宗助君邪魔しちゃって」
「あ~うん 構わないよ」
「いよいよ同居だね」
「そうだね」
「なんか夢みたい」
「大学へは?」
「電車で渋谷乗り換えだったかな…」
「そうなんだ」
「ごめんなさいね、押し掛けちゃったみたいで…」
「まあモリソンさんの気持ちは分からなくもないから」
「向こうが落ち着けばパパもこっちに戻って来られるからそれまでだけどね」
2人で話していると階段から百合ちゃんが下りて来る。
「もしかして告白?」
「そんなことしないわよ…」
「ウフッ」微笑む
「ゆりちゃん」
「あ~ ごめん私は片付けに戻ります」アイリーン
そう言うとアイリーンは又2階の部屋へと戻って行く。
「どう?3階の眺めは」
「とっても良いよ、宗助君学校からのメール見た?」
「いや 何か来てたの?」
「クラス分け決まったみたいよ」
3年生が卒業し俺達はこれから新しい3年生となるが、ようやくクラス分けが決まったようだ。




