引っ越し
引っ越し
春休みは約2週間、この休みが終われば俺も百合ちゃんも高校3年生になる、成績表はロボスキルのおかげもあってA判定ばかりが並んでいる。
百合ちゃんも同じようだ、まあ少しずるい様な感じがして気が引けるが、超能力で取った点数は約15%だと言っておこう。
「愛ちゃん早くしなさい」
「え~もう?」
「愛ちゃんの荷物を先に入れないと階段が詰まってしまうでしょ」
「すいませ~ん、先に入れるお荷物は?」引越センターのバイト
「ちょっと待って」
「は~できた~」
「あいな 遅いです」メアリー
「ご ごめんなさい~」
そこにはようやく箱詰めできた最後の4箱が玄関先に運ばれて来た。
「これで最後ね」
「それでは先に運んでおきます」引越センター
「頼むわね」
「はい、お任せください!」
俺と百合ちゃんは既に新築の家へと荷物を向かい入れる為に来ていた。
「これで全部かな~」
「いや、愛菜の荷物と父の荷物があるはず」
「もしかしてアイちゃんまだなんだ…」
「あいつ受験終わって羽伸ばしていたからな、まだ荷物を詰めているのかもしれない」
「とりあえず自分の荷物を先に運んでしまいましょう」
「そうしよう」
俺は1階のリビング脇にある部屋を使う事にした、広さは6畳ほどだが机もベッドもシンプルなものを選択したので、それほど大きく目立つ物は無い。
但し、本棚と言うか 棚はやや大きめの物を手に入れた、それはフィギュアを並べる為だが。
「俺の荷物はすぐ終わるからそっちも手伝うよ」
「あ ありがとう」
女の子の荷物は着るものが多い、百合ちゃんの荷物は段ボールで20箱近くある。
7箱は以前の家から一時レンタルBOXに預けておいたものだ。
その箱には彼女の父の持ち物なども含まれる、そういえば彼女がその箱を開けるのは半年ぶりかもしれない。
「これもだよね」
「うん」
階段を何度も往復していると、ようやく最後のトラックが玄関前に到着した。
「お兄~あたしの荷物は~」
「もう運んであるぞ」
「さんきゅ!」
「私も手伝いまーす」メアリー
スキルロボで強化された体を使えば10k程度の荷物などたやすく3階まで何度も運ぶことが可能だ。
百合ちゃんも同じように汗など流すことなくすでに20回以上3階まで行き来している。
「ここまででよろしいですか?」引越センター
「いいわ、後は自分達でやるから」母
トラックには追加の荷物が25箱、愛菜の荷物がほとんどだが父の荷物も10箱含まれている。
外では自衛隊の宇宙人対策班に配属されている石神さんと新しく配属された鎌田浩一郎(三等陸曹)がトラックからの荷下ろしを手伝っている。
「自分が運びますね」
「落とすなよ」
「鎌田三等陸曹荷物を運びます!」
「フフフ」メアリー
何故か新人自衛官はメアリーさんを見て張り切り出した、その気持ちはわからなくはないが…
引っ越し屋さんの人数は3人、だが中への搬入を全部こちらでやると言う形にした。
本来ならば毎日運べばひと月も有ればすべての荷物を人力で運べなくは無かったのだが、引っ越し屋さんを頼んだのは一応引っ越したと言う体を装う事にしたからだ。
中型の5tトラックを3往復、延べ70個以上の段ボール箱には着るもの、本やCDなどと俺の場合はフィギュアが含まれる。
一度家を壊されたおかげで普通の引っ越しより少し荷物は少ないが、それでも半年近くでここまで荷物が増えるとは。
確かにフィギュアは増えている。




