周芭千(シュウバオチェ)
周芭千
街は受験真っただ中、神妙な顔をした学生ばかりが目に付くが、そんな巷の雰囲気とはまるで関係なく。
福岡空港にある人物が到着した、常に2名のボディガードらしき人間を連れている。
その目は鋭く、いかにもと言えるような容貌をしていた。
素性がばれる事を嫌ったのか?出迎えは福岡空港ではなく、新横浜駅で出迎える予定になっていた。
周芭千特務諜報軍のNO2であり、今回のハッキングアプリや転移装置の情報を得るために活動している部隊のトップである。
「ニーハオ」
「よく来ていただきました 師よ」
「よしてくれ別に君の師匠になったつもりはないぞ」
ここは中華街にある特級飯店、劉黄元が経営するこの町でも有名な店だ。
「それでは再会を祝してお祝いしましょう」
「そうか、悪いな」
「パンパン」
手を叩くとテーブルの上に次々と運ばれてくる、どの皿の料理も全てが高級中華料理だ。
「ところでデータはどうなっている?」
「申し分けございません、こちらの警察に邪魔されまして…」
「日本の警察など色仕掛けですぐになんとかなるだろう、我らが関わった事件も酒を飲ませてしまえばすぐにもみ消すことができるはずだ」
「それがどうもそれだけではないようで…」
「何があった?」
「例の情報を得るため使用した黒犬達まですぐにつかまりまして」
どうやら裏バイトで雇ったごろつきたちの事を黒犬と呼んでいるようだ。
確かに尻尾を振って餌に食らいつく犬達と言えなくもない。
「それでレイランは?」
「それが…」
一応レイランの2名は専属で情報提供すると言ってある、だが幹部はそれを無視してさらに別動隊を繰り出したためレイラン経由で逆に脅しを掛けられたと言う話。
「相手は日本の高校生なんだろう!」
「そのはずなんですが…」
「なんだ、他にもまだ問題があるのか?」
「…何回もターゲットに対し攻撃、いや襲撃を仕掛けたのですが全員アクシデントに会いまして…」
「アクシデントとは?」
「不幸に会うのですよ、頭上から物が降ってきたり、何もないところで足を滑らせてしまったり、それが1日に何回もですから…」
「そう言えばターゲットは超能力だったか?その力だと言うのか?」
「それは分かりません、ターゲットは完全記憶と言う能力があると聞いています、ですが他にも能力があるのかも、もしかしてその能力が呪いと言う可能性があります」
「呪いだと?風水は調べているのか?」
「ちゃんと調べました!」
「調べたのに失敗とは?」
「ですから呪いとしか考えられないのです」
「何を言っているんだ、本国でもそんな話は聞いたことが無いぞ」
「ですが、これ以上は…」
「それじゃ明日接触したことのあるレイラン2名を呼べ、その2名に話を聞けばもう少し何かわかるだろう」
「は わかりました、本日はこちらのホテルに部屋を取ってあります」
「あの薬を使おう、そうすればその高校生を必ず鹵獲しなければいけなくなるはずだ」
「久々に使いますか?」
「何を言ってる、どうせ君も普段から使っているのだろう?」
「はは ばれましたか、まあたまに ですけどね」
「おぬしも好き者だな」
「師匠こそ」
「ははははは」
そう言って劉は鍵を渡す、横浜にある高級ホテルの名前が入ったカード鍵だ。
劉の眼に仕掛けられた仮想カメラとマイク、そこからのデータはすぐにリリーの元に記録されて行く。
最近はそれぞれのデータを個体ごとに分けて記憶しており、リリーさんがそれらを重要な部分だけ抜き取り宗助に見せることで、数ある映像から重要な物だけをピンポイントで簡単に探し出すことができるようになっている。
映像データも多くなってくると記憶容量に空きが少なくなる、宗助の場合各フィギュアに分けて記憶させることでそれは回避できるが、そのうち他の方法も考えておかないといけない気がする。




