暴漢再び
暴漢再び
加藤さんもメアリーさんが35歳と言うのが嘘だと言う事を知っているはずなのだが。
まあタレント事務所の所長と言う肩書はメアリーを特別枠で考えるより、周りとの配分を重視すると言う事の方を優先しているようだ。
古参のUKサバイバーは加藤さんにとっては少し扱いにくいのかもしれない。
【まずは何処で探しますか?】
【中央線沿線だろうな】
【宗助様の自宅からの距離はいかほどに?】
【まあ1・2駅ぐらいがいいんじゃないか?毎日顔を突き合わせるのはまずい気がするし】
【愛情が増加してしまう可能性ですね】
【メアリーさん隙があると体を寄せて来るからな~】
いつの間にか宗助の手を握りしめていたりする、しかも嬉しそうにしているのだから困ったものだ。
地下鉄の駅から新宿を経由して中央線で西へと進む、本来ならば彼女の事を心配することなど無いのだが。
彼女が何をしでかすのかが心配ということも有り、付かず離れずと言うポジションを確保する最適な距離を模索する。
俺の住む町から電車の駅で1・2駅間と言うのが距離的にはちょうどいい、そして駅の北側にするかそれとも南側にするか。
【価格とお部屋の広さはどうします?】
「メアリー部屋の数は?」
「3つは必要でース、広さはあまり気にしないでース、ジャパニーズマンションが良いと思いま~ス、宗助の住んでいるマンション気に入りました~」
「そうなんだ」
一人であの広さは広すぎる、3部屋前後なら後は何階にするかかな、一人暮らしなんだし3部屋以上5部屋未満と言った所か。
【それですと隣の駅から徒歩5分にあるデザイナーズマンションがおすすめです】
脳内で物件データの映像を閲覧する。
【ここは中古か、築15年ならそれほど古くないな、近隣住人は?悪くはなさそうだ、すぐ内覧に行ってみよう】
【かしこまりました、すぐアポイントを取ってみます】
リリーさんと脳内通信でやり取りをしていると、メアリーさんが俺の顔を覗き込む。
「だれかとお話していますか?」
「ん?誰ともしていないけど」
「そう?宗助ヤサシイデース」
「なんで?」
「UKではここまでしてくれる人は全員下心ある人ばかりです」
「日本でも同じだと思うよ」
「そうなのですね、覚えておきマ~ス」
中央線に乗り込むといつもの二人(警官)、そして初めて見るよからぬ組織の人物が数人乗り込んでくる。
六本木へ行くときも数人の尾行が付いていたのを確認していたのだが、帰りはさらに増えているとは思わなかった。
「いけない考えしている人が近寄ってきていまース」
「え?」
まさか白昼堂々襲われるとは思ってもみなかった宗助とメアリー。
ちょうど電車を降りて通路に差し掛かった時、数人の男女がいつの間にか立ちふさがりさらに後ろから別な数人が俺達をトイレの方へと押しやって行く。
その数は思ってもみなかった総勢13人、日本語で「騒ぐな、殺すぞ!」と言われれば一応言う事は聞くのだが、俺としてはこいつらがどこの誰かを知る必要があった。
前に3人後ろに5人、さらにその後ろに数人いて警官2名はその後ろ。
この人数だと護衛の警察官に任せるにも位置的に無理がありそうだ。
「おい!データをよこせ!」
「なんのことだ?」
「痛めつけろ!」
「バキッ!ドンッ!バンッ!」
いやはや、断るとすぐ暴力ってありえ無いだろう、まずは数日考えさせるとか、家族を傷つけるとか言って脅すのが普通だろう。
だが駅の狭いトイレで俺の体がここまで動くとは思わなかった、いくらナイフを突きつけられていても、それを無視して攻撃できると言う事は、ためらう必要が全くないと言う事。
そしてROBO化で強化された体はレベル5でも相手を簡単に持ち上げそして投げ飛ばすことができるパワーがある。
確かにもう一つの能力で全員気絶させることも可能なのだが、そうすると毒ガス事件に相当する大事件のような状況になってしまうだろう。
いきなり気を失う人間が10人以上も出るとなると、そういう事件と間違って取られてしまう。
それより暴漢に襲われたが撃退したと言う形の方が暴行障害事件として立件しやすい。
まずは目の前で脅し文句を極めたバカを秒で撃沈、さらに左右にいた仲間をトイレに押し込めワンツーパンチ。
それを見た他の仲間がとびかかるのを押しのけ、メアリーさんを後ろに隠し。
ちぎっては投げをリアルでやってみる、実際には投げてはいない、相手の腕を握り引き寄せたりひねったり。
同時に蹴りを腹や足に叩き込んだりするのだが、相手がよけようと手をかざしてもその腕ごと弾き飛ばすのだ、避けることなど出来ない。
「ドズン!バキン!ダンッ!」一人目と二人目撃沈
「コノヤロl」三人目
「バスン!」
「クソッ!」四人目
「ドン!」
「シネ!」五人目
「バキャ!」
「宗助!」
「メアリーさんは後ろで見ていて」
「宗助強いですね、ワンダフル!」
メアリーさんを表に出せば、もしかしたら魅了の力で相手を怯ませることはできそうだが。
このスペースでは狭すぎるのと、相手が多すぎるのがメアリーさんとの共闘は少し無理ではと言う事で、早いうちに却下。
(メアリーさんの力も見てみたいが…警官も見ているんだよな~)
数分後…
「お 覚えていろ!」泣き
「覚えるのは面倒なので、気絶してろ!」
「ガスッ!」
「グエッ!」
狭い場所では刃物を振りかざしても刺すことぐらいしかできない。
だがいくら刺しても刺さるどころか宗助の体に触れると全部折れ曲がってしまう、もちろん服や持ち物にもロボ化を適用しておくことは忘れていない。
面倒なのは相手がそのぐらい強い力でナイフを差し込んでいる事、まるで本気で俺を殺す勢いだ。
最初の3人は腕や足を折らせて貰った、次の2人は腹に蹴りを入れ、その後は2人ずつ顔や胸に拳を叩き込み、突進してくる奴は腕を取ったり首投げで床に這いつくばらせたり、そして腹に膝蹴りを入れたまま床にたたきつけたり。
最後の3人はその光景を見て逃げ出す始末。
「あら~出番がないわ」田村警部
「スゲーな」森本警部補
「ア~ まさか過剰防衛とかないですよね、正当防衛ですよね」
「ばっちり見ていたわよ、完全に正当防衛ね それにしても何なの?」
「多分CNの工作員とその下部組織に雇われたチンピラでしょうか…」
「そうなの、まったく懲りないわね」
「でもすごいな、普通こうはならないんだが…」
「う~~ 痛い~ あ 足が…」
ナイフは全て折曲がり2度と使えないようになっていた、だから血が出ていたとしても怪我をしたのはこいつらの手だけ。
素早く刃物を取りあげ、そして腕を折り曲げ投げ飛ばす、スタンガンを持った奴には素早くその腕を払いのけスタンガンを踏みつぶす、又はそのまま相手に押し付ける。
腹を蹴り飛ばしたり足を踏んづけたり、基本的には全員1か所は骨折しているはずだ。
ちなみにスタンガンを当てられても効かないのではなくアースで逃しているが正しい。
「ごめんね~また署まで来てもらわないと…」
「良いですよ、その代わり事情聴取は早めにお願いしますね」
「宗助どこに行くの?」
「この2名は日本のポリスマンだよ」
「お~そうなのですね、分かりました」




