あと少しで一月も後半
あと少しで一月も後半
学校への道をいつものように歩いて行く、同じ時間帯に登校して来る生徒達。
いつものようにクラスの仲間が集まって行く。
「ういっす」米田
「宗助君おはよう」委員長
「おはよう足立さん」
「おはよう百合ちゃん」
「おはよう貴美ちゃん」
「宗助君UK行って来たのよね?」
「ああ」
「飛行機平気だったの?」
「それそれ、俺も聞きたい」東山
「相変わらずだな」
「おはよう皆」金山
「金山君おはよう」
「墜落した分けじゃないからな」
「そうなんだ、映像見た時はびっくりしたけどな」
「乗客名簿にお前の名前が有って、心配したんだぜ」
「それはどうも有難う、この通り怪我もなくピンピンしているよ」
「おみやは?」
「後であげるからせかすなよ…」
ロンドンの空港で買ったのはユニオンジャックのミサンガ、最近では日本でも手にはいる品物だ。
デイバックに詰められるお土産と言う事で、これといくつかのスナックぐらいしか買う事が出来なかった。
まあ余分に欲しければスナックバー2つでいつでも買いに行けるのだが、その時は百合ちゃんか母が同行する時だろう。
本日は月曜日と言う事で土日の気分が少し残っている生徒が数人、眠そうな目をしながら授業を受けている。
1時間目は現代国語、渋い白髪の先生が担当している、あと数日すれば本格的な受験シーズンが始まり、俺たちはその間学力テストとやらが待ち構えている。
「であるからして、この4文字熟語は覚えておくように」
「キンコンカンコン」
「ちょうど終わりか、来週から学力テスト始まるから勉強さぼるなよ」
「は~い」
学力テスト、受験の指針となる大学ランクを決めるテストだ。
期末試験はさらに一か月後となるので学力テストとはまた違う勉強が必要となるが、今のところ個別に勉強する必要はないと思われる。
まあそれは宗助に限っての事であり、通常の受験生は学力テストの方が今後の進路に大きく作用して来ると言って良い。
「呂方君」
「何?」
「あの飛行機に乗っていたのよね」南田
「そうだよ」
「だれも怪我しなかったってほんと?」
「いや かすり傷ぐらいはあったよ、映像見たんでしょ」
「うん 飛行機の真ん中あたりが吹き飛んで、座席が見えていたよ~」
「どこかのテロリストがロケット砲を発射したみたいだよ、でも当たり所が良かったんだね」
「そうなの?ニュースでは奇跡だって」
「そう なんだ…」
「まあ無事でよかったわよね」
「その通り、危ないのはもう勘弁してほしいよ」
南田さん、南田祥子は石井さんと仲がいい普通の女子生徒、いつもは委員長や百合ちゃんの手前あまり話に入ってこないが、今回はどうしても聞きたいことがあったようだ。
まさか本当のことなど言えないし、言っても信じる奴はいない。
【宗ちゃん本当の所はどうなの?】百合奈
【ああそれだけど飛行機にロボスキル使って強化しておいたんだよ】
【やっぱり】
【だって心配ジャン】
【宗助君の事だから何か事前に考えていたりするだろうなって思ったけど…】
【スキル使わなければ大爆発だっただろうね】そう考えると汗が…
【やっぱりそうだったの?】
【西側製の熱感知ミサイルで、着陸直後に狙われたからまだよかったけど、飛んでいでる時だったらやばかったかもしれない】
空中分解した場合、ほぼ宗助以外は助からなかったと言える。
「宗助君ってやばい事件にばかり合ってない?」
「そうか?」
「だって夏にエスカレーター事故に巻き込まれたでしょ」
「そういえばそうだった、もう忘れかけていたよ」
「そうなんだ?のんきね~」
「俺の事なんて宇宙人の襲撃を考えたら、たいしたこと無いでしょ」
「確かにそうかもね」
「ピンポロンパンポン」
2時間目の授業が始まる知らせが鳴り響き、今度は歴史の教科書を机の上に出す。
窓の外を見ると最近は自衛隊の軽装甲車はなりを潜め、普通の乗用車が校門の脇に常駐するようになった。
目の倍率を上げてフロントガラスから覗いて見ると、そこには先日電車でチンピラを逮捕した警部と警部補の姿が。
どうやら俺の護衛は完全に自衛隊から警視庁に変更されたらしい。
家の方はまだ自衛隊の宇宙対策班である小山さんと鎌田さん、そして石神さんが交代で見張っている。
そして父の方にはUSAのエージェントであるシルビアとノアが通訳として研究所に潜入していたりする。




